十で神童十五で才子二十過ぎればただの人
「勇者召喚の儀式は星の巡り合わせからして一ヶ月後の新月の晩がよろしいでしょう」
星読みの術師の報告に私は頭を抱かえた。
思っていたより早すぎるのだ。
この世界「アルベタ」では100年の周期で異世界人を勇者又は聖女として召喚する儀式がある。
かく言う私も前世は異世界の住人で、召喚された転移ではなく転生というやつである。
金物屋の長女として産まれた私「サラ・フェロニエーレ」は前世知識のおかげで齢3才にして読み書き計算の出来る天才少女として街で噂される期待の星であった。
しかし、所詮は前世の貯金である。
首都の高等学校に通う頃にはメッキも剥がれ、周囲の評価は知識のあるガリ勉娘程度の物だった。
前世でもそこそこの成績でギリギリ地元の駅弁国立に受かった程度の私が、転生したからといってチート知識で異世界無双なんて甘い話になるわけがない。
そこそこの成績で学問を修めた私は、それなりに頑張って国の下級役人に収まっている。
大人になればだだの人という訳である。
そんなうだつの上がらない木っ端役人である私に勇者様接待と言う大役が回ってきたのは運が良かったのか悪かったのか悩む所ではある。
今回召喚される勇者は私の前世と同じ日本人である為、前世知識のある私が接待する事になったのだった。
同郷のよしみなので出来る限りの事はしてあげたい。
しかし後1ヶ月というのは頭が痛い。
星読みの術師が退室した後、私は盛大なため息と共に不安を吐き捨て、接待計画に取りかかった。
「まずは美少女を集めてハーレム要員を確保しなくちゃね。」