その時俺は鶏の気持ちを思い知ったのだった
「姉貴っ!無事か!?」
思わず声を荒げる。さすがに落ち着いている余裕はない。
恐らくは俺が家に着く前から寒さに震えていたのだろう。声も出ない様子で頭を上下させる。
……?錯乱していて気がつかなかったが姉貴の側にもう一人いる。
姉貴が庇うようにして抱いていたのは恐らくこの子だろう。
やけに厚着をしていて性別は分からないが片手で抱えられる程の小さな子だ。姉貴の友達だろうか?
まあ良い、深く考えるのは後でも出来る。
布団ごと姉貴を背負い小さな子を両手で抱える。糞重い。痩せろアホ姉貴。俺考案のラップ現象ダイエットがオススメだ。成果と命は保証できないが。
抱えるほどに近くで見て初めて分かったが姉貴もこの子も顔色が不味い。一刻を争う、というやつだろう。
緊急時だ、しょうがない。ベランダから飛び降りる事にする。
自宅の二階の高さなんて分からないが3メートルくらいだろうし着地に失敗しなければ命は助かるだろう。
とにかく、だ。……行くしかない。正直に言うとインドア派の俺にとってはめちゃくちゃ怖い。けど行くしかない。二人にはもう時間がないことぐらい義務教育上がって2年しか経ってない俺でもわかる。
大丈夫だ、慎重に窓を開けて。死にはしない、室外機に上り。俺ならいけるさ、ベランダの手すりに足をかけ。グッドラック!姉貴と厚着の子を落とさないようにしっかり力を入れて。
跳んだ。
と、言うより落ちた。
翼の無い人類には空は強敵だった。
滞空時間は思ったよりも短く、俺の情け無い悲鳴は恐らく町内中に聞こえただろう。




