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アラサー魔法少女、派遣します!  作者: ふたぐちぴょん
第2案件『官公庁の電話受付』
6/21

官公庁で仕事?そんなの、私にできるわけ・・・・・・

 元旦。例年だと、部屋に引きこもって、ネット生放送か、ネットゲームをやっているところなのだが、今年は、両親に新年の挨拶をしようと思う。

「あけましておめでとう。これ、少ないけど、受け取って。」

 いくらかお札を入れたポチ袋を渡す。両親はともに、キョトンとしている。私が年末バイトしていたことは知っていたであろうが、例年ではありえない行動にびっくりしていただろうか。今までは、親の目を避けてこそこそ生活をしていたのだが、今年は、堂々と親の顔をまともに見れる。こんな私でも、ちょっとは成長したのかしら。

 とはいえ、前回の仕事は1ヶ月、繁忙期限定の仕事であったため、期間が終わると、再びニート、ネット生放送でリスナーからからかわれたとおりだ。タカナシ社長は、新しい案件が来次第連絡をすると言っていたが、果たしてどうなることやら。

 そんなわけで3が日が過ぎ、1月4日になったところ、電話が鳴る。派遣会社からだ。

「新年明けましておめでとう。年明けは、どうお過ごしかな?」

 結局、親と会話したのは元旦だけで、それ以来、ずっとネットゲームやってたわけだが。

「早速本題だが、新しい仕事の案件だ」

 お、待ってました!

「官公庁の、電話受付なんだが」

 は?

「もっと詳しく言うと、東京国税局で、確定申告の電話相談受付だ」

 え?そんな、私にできるわけ……

「確定申告前になると、税務署に多くの相談が舞い込む。なので、国税局内に臨時のコールセンターを設営し、要件ごとに、担当の税理士や税務署に振り分ける仕事だそうだ。元々は大手派遣会社の仕事で、人数が足りないから、下請けとして、うちを利用したと、そういうことだ。」

 それって、難しい知識とかが必要なんじゃ……

「いや、ちゃんと研修期間を設けて、丁寧に教えてくれるらしい。去年は、年配の方も結構いたとのことだ。元請の派遣会社に君のことを言ったところ、その子なら確実にできる、むしろ、その子にできなければ、誰にもできないと言ってきた。そういえば君、ネット生放送やってたよね?」

 え?なんで知ってるんですかそれ?

「履歴書の、趣味・特技欄に書いてあったじゃないか」

 そういえば、そんな欄があったな。その場しのぎで適当に埋めようと、そんなことを書いたような……

「そこでしゃべる感覚でいいそうだ。勤務は来週、11日から開始、期間は3月半ばまでの期間限定とのことだ。長期の仕事よりも、ある程度期間を区切ったほうが、君にとってやりやすいと思うのだが。出来るね?」

 また、『反論も許さない命令』が出たよ。確かに不安ではあるが、どうせ暇でやることないし、ちょっとやってみるとしますか。

「ありがたい! それでは、先方に伝えておくよ。それじゃ」

 いつもどおり、一方的に切られた。どうしてあいつ、いっつもそんななんだか。


 久しぶりの満員電車。

 官公庁の仕事ということもあって、初日は、スーツなどのフォーマルな服装で来るように、とのことだったらしい。私の場合、スーツといっても『魔法少女スーツ』がフォーマルな服装とのことで、初日からこれ着て来いと社長の奴が言ってた。まあどのみち、仕事上必要になるので、まあいいけど。魔法少女スーツの上に、コートを羽織っているのだが、みんな、私のことをジロジロ見ているような……私、露出狂じゃないし。むしろ私、魅力あるのかも。いや、今のは却下。どうせ、コートの下に魔法少女スーツを着ているのがバレバレで、それが物珍しく見ているだけなのだろう。もし、痴漢にあったら……魔法でぶっ飛ばすか。まあ、このスーツにそんな力はないのだけれど。それじゃ、物理的にぶっ飛ばすか。いや、そんな力もないし。女性専用車という選択肢もあったが、ホームの端まで歩かなきゃならなかったので、必然的にこの選択肢は却下された。というわけで、駅に到着するまで、周りの視線を我慢しなければならない。

 地下鉄の駅に着く。ここは、いろいろな路線が乗り入れしているターミナル駅で、駅の中が、ゲームに出てくるダンジョンみたい。まさか、モンスターなんか出てこないよね? う~む、全くゲーム脳な私。

 地上に出る。ここはいろんな省庁があるところで、周りを歩いている人が、皆エリートに見える。本当に、私なんかがいて、いいのだろうか?歩いてすぐの、国税局の駐車場が、集合場所になっている。すでに大勢の人が来ている。当然のことながら、みんな『一般的なスーツ』で来ている。私一人だけ、非常に浮いているのがまるわかりだ。恥ずかしい……

 元請の派遣会社の人が点呼を取り、門が開くまでしばらく待っているように言われる。いくらコートを着ているとはいえ、その下が『布地の面積が非常に小さい』魔法少女スーツであるため、真冬の寒空はさすがにこたえる。早く中に入りたい。そんなことを思っているうちに、門が開き、中に入るように言われる。

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