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生まれて初めてのバイト、その朝

電話の着信音で、私は叩き起こされた。見知らぬ番号からである。

「ん~もしもし」

「タカナシです。今日はお疲れ様でした。」

 安眠妨害にも程がある……と思って時計を見たら、まだ20時だった。

「で、早速、仕事の案件なんだけど……」

 なんだなんだ?

「宅配便の、仕分けと配達をお願いできるかな?」

 え~っと、仮にも、魔法少女ですよね? それが、魔法少女の仕事?

「まずはいろんな仕事を経験して欲しいと思ってね。一番最初だから、君の家の近くのセンターを案内しておいた。センター長には、魔法少女が来るって話は通してあるから、いぶかしがることはまずないと思うから。」

 なんか、私の知らないところで話が進んでるんですけど。

「時間は、朝5時から始まって、10時までとなっている。10時より前に仕事が終わっても、その分の給料が保証される『定時保証』というのをつけておいた。もちろん、時間オーバーした分はちゃんと残業代出すから。」

 ふむふむ。……え~っ!? 朝5時? 普段だったら、そろそろ寝ましょうかね~という時間なのに!

「で、いつからなんですか?」

「早速、明日の朝から行って欲しい。」

 なんでも、そんな急に!?

「たまたま、そこのセンター長と話をしていたら、君の話になってね。ほら、向こうもそろそろ繁忙期に入るだろ? いい人材がいないか、っていう時に、うちで魔法少女を雇ったという話になって、じゃあ、その勤務先の第1号になろうかって。君としても、まずはやってみないと話にならないし、それが早いか遅いかだけなんだ、せっかくなら、早く魔法少女スーツになれたほうがいいだろ? このスーツの効果、目の当たりにしたいだろ? 少なくとも僕は、早くスーツの効果が見たい。」

 もはや、反論の余地もないようだ。

「……やります!」

「ありがとう! それじゃ、地図は後ほどメールしておくから、それじゃ、よろしく~!」

 電話を切った5分後くらいに、勤務条件と、地図が添付されたメールが届いた。確かにうちのすぐ近所だ。品物の配送のために持ち込んだこともある。幸い、うちの町でなく、隣町のセンターだから、ドライバーとは直接面識があるわけではない。

 それにしても、いきなり今日の明日か、急すぎるよ。気持ちの準備というのもあるし。それに、5時からスタートということは、4時くらいには起きてなきゃならないし。もう、このまま寝てしまえ。先程、魔法少女スーツのままゴロンとしていたから、このまま。朝、着替える時間も省けるしね。スーツを体になじませる……あれ、逆だったかな? の目的も達成できるし。それでは、目覚ましを4時に設定して、寝るとしますか……


 早朝4時過ぎ。

 普段の私からすると、いともすんなりと目が覚めたもんだ。人生初のバイトというのは、こういうもんなのだろうか。しかも、『魔法少女』として、宅配便のバイトをやるのだ。魔法少女と宅配便、なんとも違和感しか感じられない取合せではあるが、まあ、ただでさえネタまみれの人生を送ってきた私のことである。初バイトというのも、これくらいネタまみれであってもいいだろう。

 朝食は……こんな時間に台所をガサゴソしていると親に何か言われかねないから、省く。身支度……服は、仕事着として以前に、既に寝間着替わりになっている魔法少女スーツと、社長の話によると、仕分け及び配達、すなわち接客もしなきゃなので、髪を整え、メイクもそれなりにやっておく。準備完了。魔法少女スーツの上にジャケットをはおり、下駄箱に置いておいたら場所をとる上親に何か言われかねないという理由で部屋に持って帰っている、魔法少女の衣装の一部であるブーツ、特に持ち物らしい持ち物はいらないと言われているので、これで、人生初バイトに出かけるとする。

 もはや季節は12月。いくらジャケットを羽織っているとはいえ、その下は、お肌が露出しまくりの、あの魔法少女スーツなのだから、体がしばれる。そして、まだ5時前。外は真っ暗。お星様も出ている。子供の頃から、星を見るのは好きだ。天体観測までガッツリといったものじゃないけどね。星に願いをかけてみたり。これからのバイト人生、うまくいくようにねって。柄じゃないか。

 うちから宅配便のセンターまでは、直線距離ではすぐそばだが、間を高速道路が走っているため、幾分遠回りになる。いっそ、飛んで行けたらいいのに。いくらこの『魔法少女スーツ』でも、そこまでの性能はないか。まだ時間はあるのだし。のんびり行くことにするか。

 私の家のすぐそばに湾岸の倉庫街・工業地帯があり、早朝から、そこを行き来するトラックが多く、今までは、うるさい・道路が揺れる・等の思いしかなかったのだが、こうして考えると、こんな朝っぱらから、ドライバーは様々な思いを胸に抱いて走っており、積んだ荷物もまた、荷主さんの色々な思いを抱いている、まだ働いてもいないのに、頭の中だけは、生意気にも仕事モードだ。

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