エピソード1
「また戦争ですって」
「またですか?国は一体何を考えているんでしょうか。」
そんな声が周りからちらほら聞こえてくる。歴史の教科書で見たような建物、それに戦争とかまるで過去にきたような…
「おい、これは一体どうなってる」
その元凶となっていると思われる少女に問いかけてみた。
「はい。ここはあなたのいた世界の何十年か前の時間軸だと推測します。」
「いやいや、推測します。じゃなくてな!?」
一旦落ち着こう。周囲の視線が痛い。ただでさえ人見知りな俺には少々つらすぎる。
「なあ、てことは俺たちは時間を遡ったということでいいんだな?」
「はいその通りです。理解が早くて助かります。」
とりあえず状況を整理しよう。ここは何十年か前の日本、恐らく元の時代に戻るには彼女の協力が不可欠だ。彼女と協力関係になることが先決だろう。
「すまん、名前きいてもいいか?俺は松村誠也。」
「ニィナと申します。」
彼女は答えた。ニィナ?明らかに日本人ではない、イギリスとかその辺か?このさいどうでもいいか…
「それで、その…ニィナききたいことがあるんだけど…」
ニィナって呼び捨てたけど大丈夫か?仲良くもない女の子に俺はなんて図々しい。意外にも彼女は嫌がる素振りもせず答えた。
「はい。なんでしょうか?誠也?」
え?俺も呼び捨てかよ!ヤバい、俺の初めて奪ってくれちゃったよこの子!
「俺が、この時代にきたのは君の仕業なの?」
「その通りです。私は誠也のいた時代よりも先の時代からやってきました。」
俺の時代よりも先の時代?未来からきただって。だが、この時代の人からしたら俺も未来人か…これには納得するしかないかな。
「待ってくれ、さっぱりわからんのだが。どんな原因で俺まで時間を遡ることになった?」
「正直、ただの事故としか言い様が有りません。本当は最初からこの時代にくる予定でしたので。」
つまり、俺はただ巻き込まれただけてことか…ニィナが続けて話をする。
「時間を遡る間、誠也のいた時間軸から何らかの干渉をうけました。恐らくそれが原因でしょう。それでは、私はこれで。」
それだけづらづら話をして彼女は俺を放っておいてどこかに行こうとする。まずいな、このまま放置されたら非常にまずい。どうにかして彼女について行かなければ。
「おい、ニィナ待ってくれ!」
「まだなにか?私はやるべきことがあるので。」
「やるべきこと?それって一体なに?」
今まであまり表情を変えていない彼女が、少し困った表情を見せた。
「あなたには関係のないことです。」
まずいな、何か言わないと彼女は本当に行ってしまうぞ。
「ニィナの時間移動の影響で、俺はこんな世界にとばされたんだ。面倒ぐらいみてくれよ。それに帰る方法もわからん。」
「それはその通りですが。」
ニィナは迷っているらしい。ここは無理やりにでも頼むしかない!
「お願い!多分迷惑はかけないから!」
「わかりました。原因は私にありますので。」
「ありがとうニィナ!とりあえず元の時代に戻るまでよろしくな。」
「はい、よろしくお願いします。」
どうにかなったな。戻りかたも全く分からないけどとりあえずはこの子と行動しておこう。
この二人の出会いが、現代、未来に色々な影響を与えてしまうことになるとは、二人は考えていませんでした。
誤字、脱字等あったらすいません。
2/23 文章を少し直しました。