出会い
路地裏に逃れ一息つく俺。
さっきから俺を追ってきてる奴らは、まだ俺の事を探しているようだ。
「どこに行った?!」
「まだ近くにいるはずだ!」
「キキキキ! おーいどこ行った〜?すっぱりさっぱり、痛みを感じる間も無く綺麗にぶった切ってやるから早く出てこい!!」
……刃物使ってる奴だけキャラ強すぎだろ。
そんなこと言われて出て行く奴がいるかっての。
しかし何だっていきなり命を狙われなきゃならんのだ。
普通に下校してたはずが、気づいたらこんなわけのわからん世界に来てしまっていた。
あいつらが日本語を喋っているから、一応、ここは日本なんだろう。
だけど、たった今全力で駆け抜けてきた市街地は何処もかしこもボロボロで、あいつらは爆弾、銃、刃物もガンガン使ってるし、どうにも俺の知ってる日本じゃない。
昔読んだ漫画に、核戦争で荒廃した世界を舞台にしたものがあったが、まさにそんな感じだ。
「……ったく、早くあいつらどっか行ってくれねぇかなぁ」
その漫画の主人公は、一子相伝の拳法の達人で、今俺を追ってきてるような奴らも簡単に倒してしまうんだが、あいにく俺にはそんな大層な力は無い。
逃げる。それが今の俺に出来る唯一の選択肢だ。
「おい! こっちに血の跡があるぞ!」
やべぇ、爆弾野郎のやつ、気づきやがった。
普通の高校生である俺があいつらに追われて無傷ではいられる筈がない。
致命傷では無いものの、俺の体には無数の傷が出来ていた。
「いい加減動くのもキツイし、そろそろ終わりか……」
いや。
いや、こんなわけのわからん世界で死ねるか。
疲労困憊の身体を気合いで動かす。
奴らが近づいてくる音がする。
なんとか躱して逃げ切ってやる。
「全く手間かけさせやがって、もう鬼ごっこはおしまいだ」
爆弾野郎が迫ってくる。
「いーや、まだまだ付き合ってもらうぜ。なんせ命懸けの鬼ごっこだ、こっちもそう簡単には止められねぇ」
俺は両足に最後の力を集め、一気に爆発させ、奴らに向かって突っ込んだ。
近距離では爆弾は使えない、銃も密集していれば誤射を恐れて使えない、問題は……
「ヒャッハー!!」
お前だよ、刃物野郎!!
奴はとにかく首を狙ってくる。
一か八か、そこを狙ってくるのを読んで躱すしかねぇ!
「やっぱりすっぱりさっぱりきっぱり、首ちょんぱぁ!」
よし、首だ!読みは当たった、あとはこれを躱せば……!
しかし、限界を超えて動かしてきた俺の体が遂に言うことを聞かなくなった。
俺の首に迫る刃。
ああ、なんてこった、死んじまうのか、俺は。
死の直前、スローモーションになった世界の中、俺は静かに目を閉じた。
だが、いつまでたっても刃は俺に到達しない。
何だ、一体何が起こった。
俺は目を開けた。
俺の喉元に迫った刃を、同じく刃で押し返す
女の子が、そこには居た。




