第06話:撃たれる管理官
京子は例の番号に電話をかけた。
相手が電話に出る。
「はい?」
「殺して欲しい人がいます」
「ほう。誰を殺せばいいんだ?」
「警視庁捜査一課、滝川です」
「殺害方法は?」
「心臓を一発、正面から拳銃で撃ち抜いて下さい」
「時刻は?」
「登庁の時間がいいですね」
「料金は後日請求させていただきます」
電話が切れる。
「山上さん、かなり無茶な要求しますね」
「防弾チョッキ忘れないでね」
京子はそう言うと、滝川と別れた。
そして、翌朝の登庁時刻。
滝川が警視庁の前にやって来ると、フルフェイスの何者かが正面に現れ、拳銃を取り出して発砲した。
弾丸を受けて倒れる滝川。
狙撃犯は逃げようとするが。
「行かせないわよ!」
拳銃を構えた京子が現れた。
「よくもやってくれたな!」
滝川も起き上がり、拳銃を構える。
「ツラを拝まさせてもらうわよ」
京子がそう言ってメットを外すと、その下から現れたのは。
「やはり貴方でしたか、山本管理官」
「貴様ら、俺をはめたのか?」
「山本管理官、貴方を殺人未遂の現行犯で逮捕します」
その時、山本管理官の頭部に風穴が開き、彼は倒れた。
「山本管理官!?」
京子は弾丸の飛来した方向を見た。しかし、その先にはもう誰もいない。
「滝川くん、救急車!」
「はい!」
滝川が救急車を呼んだ。
だが、山本管理官は搬送先の病院で死亡が確認されたという。
死体安置室。
京子は亡くなっているはずの山本管理官を見た。
「山本管理官、親玉は誰です!?」
「お前、俺が見えるのか?」
「俺も死者ですから」
「は?」
「如月 晴男。それが俺の名だ」
「そうか」
山本管理官はそう言って消える。
「おい、消えんなよ!」
そこへ滝川が入ってくる。
「山上さん、何一人で叫んでるんですか?」
「どうしたの?」
「あ……いや、山本管理官のご家族の方が」
「入れてあげてくれる?」
滝川は扉を開けた。
女性が入って来る。
「貴方!」
管理官の遺体にしがみつく女性。
「あの、主人は何で殺されたんですか? 誰が殺したんですか?」
「管理官はこれの関係者のようですよ」
京子は女性に例の黒い紙を見せた。
「殺し屋本舗?」
「管理官は殺し屋なんです」
「え、そんな!?」
「何か心当たりはございませんか?」
「いいえ……」
「そうですか」
「山上さん、僕は管理官の銀行口座調べてきます」
「分かったわ」
滝川が部屋を出て行く。
「さあ、奥さん……」
京子と女性も部屋を出る。
「家まで送りますね」
京子は女性を自宅まで送り届けた。
家へ入って行く女性。
と、そこへ電話がかかってくる。
京子は携帯を取り出して応答した。
「山上さん、管理官の口座を調べたんですが、多額の現金が振り込まれた形跡ありました。振込名義人は川島 稔となってます」
「合流するわ」
京子は滝川と合流した。
「序でに川島 稔の口座も洗っておきました。住所は渋谷区です」
「行ってみましょう」
二人は渋谷へ向かった。