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第03話:もう一人の上松

 捜査一課で会議中、京子の携帯が鳴る。

「すみません」

 京子は部屋を出て電話に応答した。

「晴男、鑑識の猫田だ」

「何だ?」

「指紋が一致したぞ」

「そうか」

 電話を切る。

 そこへ滝川が出て来る。

「山上さん、事件です」

「場所は?」

「上松さんの自宅です」

「上松さんの? まさか、被害者が?」

「ええ」

「行きましょう」

 二人は上松の自宅へ向かう。

 上松はパソコンの前に座り、毒を飲んで亡くなっていた。

 パソコンの画面には遺書と思しき文面が表示されている。

 加山を殺したのは私だ。死んで償う。

「青酸カリか。苦しかったろうに……」

「本当に自殺かしら」

「山上さんは他殺だとお思いで?」

「恐らくね」

鑑識さん──と、京子。「これ、指紋の採取お願いね」

「分かりました」

 鑑識がキーボードから指紋の採取を始める。

「山上警部!」

 部下の刑事が二枚の免許証を持って来た。

 顔写真の部分に上松と同じ顔が写っており、名前の箇所には灰島はいじま 哲生てつおと書かれているものと、もう一枚には上松の名が表記されていた。

「これって同じ顔ですよね?」

「そうね……。取り敢えず、周辺で聞き込み」

「了解」

 部下の刑事が聞き込みに向かった。

 現場には鑑識を除き、京子と滝川が残った。

「我々はどうします?」

「灰島さんを捜してみましょう?」

 京子と滝川は灰島を捜しに行った。



 その夜、灰島はホストクラブで働いていた。

 そこへ京子がやって来る。

「いらっしゃいませ!」

 京子が店員に警察手帳を見せる。

「灰島さんを呼んでもらえますか?」

「刑事さんが何か?」

「ちょっとね」

 店員が灰島を呼んだ。

「何すか?」

「こちらの刑事さんが話があるんだと」

「刑事?」

 京子は灰島にも手帳を見せた。

「灰島 哲生さんですね?」

「ああ、そうだけど」

 京子は灰島に上松の写真を見せる。

「洋一さん。貴方の双子の弟さんです」

「洋一がどうかしたんすか?」

「毒を飲んで亡くなりました」

「え!?」

「司法解剖の結果、洋一さんが亡くなったのは今日の午後五時頃だそうです。その時間の前後、貴方はどちらに?」

「俺はここへ来る途中でしたよ」

「そうですか」

「刑事さんは俺を疑ってるんすか?」

「いや、形式的な質問なんで」

「そうすか。もういいすか? 忙しいんすよ」

「すみません。では、最後に一つだけ。貴方は最近、洋一さんの自宅を訪ねたことは?」

「いいえ、ありませんけど」

「変ですねえ……。被害者の自宅には貴方の免許証がありましたよ?」

「そ、それは……」

「灰島さん?」

「すみません。もう仕事に戻らないと」

 灰島は走り去った。

 京子は店を出た。


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