入学
初作品になります。
描写、表現ができてない駄文となりますが、
読んでくれると嬉しいです。
更新は不定期になります。
この世界の誰もが、結果の可視化をする。
十人十色とはよく言ったものだが、見えるものはたったの2色だ。
勝ちと負け。
ただそれだけに囚われて、人間は生きている。
「入学式……。バカにしてんのか」
星谷昴は手に持った専門学校までの地図を苦渋の顔で見ていた。
昴もまた、そんな世界に囚われている1人だ。
2034年、東京に昴は生を受けた。両親は待望の息子にそれはもう喜んだが、世界は残酷だ。生まれたばかりの昴を残し、両親は事故で他界。滞りなく式が執り行われ、昴はその後母方の両親に引き取られて生活をしていた。
物心が付く頃には、自分に両親がいないということも理解していたが、それを祖父母に問いかけることはしなかった。
小、中学は地元の学校に進み、友達もでき、普通の少年として生活ができていた。
中学3年の冬までは。
「……っと、ここか」
周りにちらほらいる入学生らしき人々も、皆一様に体育館のような建物に入って行くのを見て、昴もそれに倣い足を運ぶ。
東区専門学校。
東京の東に位置する東西南北10㎞に渡る土地に存在する一つの巨大な学校だ。生徒が在籍する校舎は三階建て、1学年4クラスとなっており、生徒総数は500人を越える。
また、広大な土地の約8割を占めるのが第1から第5まである巨大な実技試験場だ。
この施設では、まさにこの専門学校に収集された者に与えられた第六感を使い試験を行う会場だ。
専門学校に入学するにあたり、この実技試験場での内容で自分の未来が大きく変わると言えるだろう。
「それにしてもムダにデカイ場所だなこりゃ。……人も多い」
昴は前方のステージ付近に多数設置されてあるパイプ椅子の後方に腰掛けながら、辺りを見回した。
目測でざっと150人くらいだろうか。
日本のこの年にも能力が目覚めた人間がこんなにもいるのか、昴は驚きと共に時が流れを感じた。
「ん?」
周りに視線を向けると、ふと体育館の右端に人の気配を感じた。
「気のせい、か……」
『えー、静かに。話すなよ。今から式を始める』
だれかが居るような気がするも、重圧を感じる野太い声により思考は遮断され、昴は仕方なくこれから始まる式に意識を向けた。