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俺とチート能力と

「…………」


「よう、お帰り」


「…………」


「で、どうだったよ第二の人生。ニコポ、チート能力、きゃー!かっこいー!」


「…………殺す」


「えー、なにー?きこえなーい」


「殺す殺す殺す殺せなくても殺す!」




 殺す。


 神野郎に向って宝具の雨あられを触らす俺。


 殺す。


 当然だ。


 殺す。


 まったく神野郎に届かない幾つもの刃。


 でも殺す殺す殺す!!!





「ぜーはー、ぜーはー……」


「ワッシがくれた能力で、ワッシがやられるわけなかろうがよ」


「わかってはいた!でもやらずにはいられねえ!!」


「いっただろーに。これは、ワッシの暇つぶしで、シリアスはそこまでだって」


「ああああああああああ!!!そういうことだよなこんちくしょおおお!!!」











 自分が転送されて、目の前にあったのはどこかの洞窟のような場所で、何かの魔法陣の上だった。


 魔力を感じる。

 それが魔力だと理解できるのが、今の自分だった。


 俺は来たのだ。

 魔法とモンスターたちの躍動する、ファンタジー世界に。


 感動を抑えつつ、現状を理解しようとあたりを見回す。


 魔法陣ということは、召還をされたかたちなのだろうか、ときょろきょろとしていると――



 モゾゴモゴゾモゾモゾモゾ……と耳に這うような音が足元から聞こえてきた。


 なんだろうと、足元をみると、



「げぇ!スライム!?」



 いきなりのモンスターかよ、とアメーバ状にうごめくソレ。



「モゾゴモゴゾゾモゾモジ!」


「ゾモゴゾゾモゾゾモモ!」


「ゾモゴモゾゾゾモゾゾモモ!」


「モゾモズズモジゾゾジズモゾモ!」


「ゾズモゴゾゾモゾゾモズ!」



さらに沢山出てきた。


俺は警戒を強め、そっこうで能力の確認か、と与えられた能力の試運転をしようとする、が。



「モズー!」


「グズジモー」


「モズー!」


「グズジモー」




なぜかわからないが、そのスライムたちは俺に敵意は持っていないようで、俺の周りを囲みはするが近づいてこない。


さらに、これが言語理解能力のせいなのか、徐々に言葉らしきものを理解していく。


といっても、現状ではなんとなくでしかないが。



すると、一匹?だけ異色を放っていたピンク色のスライムが、俺に近づいてくる。



「モズー…」



そして、ゆっくりと俺の手に触手をのばし、案内するかのように優しく引っ張る。

俺はそのあり方に、とりあえず敵ではないのではと思い、そのスライムについていくことにした。









結論から言おう。



この世界は、たしかに魔法!モンスター!なファンタジー世界だった。












モンスターしか居なかった。









人間型とかいなかった。








というかスライム系ばっかりだった。








言語をある程度理解したあたりで、俺を召還したという王族っぽいスライムちゃんに聞いてみた。



「私を召還したものよ。……君は王女なのか?」



「王女?なにそれー?」



俺の口調が違うのは雰囲気重視です。

なお俺もスライムちゃんの言葉もある程度意訳してます。

王女って単語がこの時点では俺は理解してなかったので、あれやこれや説明したうえで訊いてました。




「えと……王族、なんだよな?」


「えらいよー。みんなをまとめてるよー。一番えらいのは私の一個前だよー」


「……前?」


「そだよー。王女ってなーに?オスってなーに?メスってなーに?」


「すまない、一つ聞かせてくれ。……君達はどうやって増えてる?」


「気に入った個体にお願いして一部をもらって、それを自分のとまぜまぜしたあとに分裂するよー。自分とちょっと違うのが生まれるよー。増えるよー」










よし。俺、詰んだ。

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