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D・H  作者: ララ
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皆と皆の気持ちと決意と

朝ご飯をたべながら、不意に狂った魔術師にうちあけようと思った。




僕(悠里)の今の気持ち。




「あのね僕…」




その先がつまる。




「なぁに?」



狂った魔術師が微笑む。



僕とは対照的に。




「僕は最近世界のことを思い出すと切なくなる。あまり…前みたいに…憎んでるって気持ちが…少なくなってる…そんな気がする」




思ったよりすらすら言えた。



狂った魔術師の前へでると全部話してしまいたいような衝動に駆られる。



なんでかわかんないけど多分目かな。



狂った魔術師の目は鏡みたいなんだ。



自分を映し出す。



「切ない…ね。その気持ちが何かわかる?」



狂った魔術師が僕をじっとみた。



切ない気持ちが何か…?



わかんないよ…。



僕は首を横にふった。



そしたら狂った魔術師は少し…ほんの少しだけ寂しそうに笑って言った。



「懐かしいってことだよ」




懐かしい?



世界が?



そんなのありえない…。



世界に対する心なんてもうほとんど無いはずなのに。



僕は驚いてそのまま呆然としてしまった。



「僕が…世界を懐かしんでる?」



ぼーっとする心を振り払って狂った魔術師に聞く。




「そうだよ」



狂った魔術師はきっぱり答えた。




「でも…なんで?」




「だってウミのかけた術がとけかけてるからね」




「それ…僕の世界に対する心が戻ってきてるってこと…?」




僕は自分で笑えるくらいあせっていた。



だって信じられないよ!



もしかして拓斗の夢をみたのもその前兆?



そういわれてみれば…確かに世界に対する心に憎しみとかなくなってきてて…なんも感じないってこともない。



切ない。



「そういうことだね。もともとウミは君の世界に対する心を完全にとったわけじゃないからね。ウミといることによって新たな世界を形成した君の心は術がとれやすくなってたのかもね」




「こ…困るよ。こんな中途半端な心…。だって…世界を完璧に許したっていうか…なんていうかそういうわけじゃないし、だからっていって世界を滅ぼしたいって聞かれれば…そうでもない。これじゃ人の心も満足にとれない。ウミに会えない…」




なんだか泣けてきた。



どこまでも中途半端。



「まぁ…術がとれるのも無理ない。だって悠里あんな無茶をして体こわしてさ。体も精神的にも弱ってからね。術をかけたウミも精神的に弱ってたし…。それに今ウミは…あ、なんでもない…」



ウミのこと今いった…?



いったよね!!



なんでそんな中途半端なとこでとめんの??




「今ウミっていったよね!!ウミが何??ウミがどうしたの?」



一瞬狂った魔術師がニヤリと笑った気がした。



「でも…これを言ったら悠里が傷ついちゃう…」



そして困ったように目線を泳がせる。



なんなの?



「いいから!!なに?」



僕ははやくいってほしかった。



なんだか嫌な予感がした。



「しょうがないなぁ…」



そういいながら狂った魔術師は少し嬉しそうに笑った…気がした。




「悠里、落ち着くんだよ?ウミはねぇ…僕らを倒しにくるよ」





「え…?」



あまりにも残酷な答えに僕は信じることができなかった。




「ウミは悠里を裏切ったんだ」




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