「糸」
僕は走っていた。
無我夢中になって走っていた。
息がきれる。
それでも走り続ける。
人がいないところへ向かって。
独りになりたかった。
皆いなくなればいいと思った。
僕に不都合な世界なんていらないと思った。
公園であった銀髪の子が似たようなこと言ってたっけ?
「一緒に世界を滅ぼさないかい?」
とか。
今なら消えたって本当にかまわないや。
友達もいなくなったんだから。
人通りの少ない裏道で僕は泣きながらほくそ笑んだ。
(こんな世の中いらない・・)
「じゃあやっぱり一緒に世界を滅ぼそう?」
ドキン!
びっくりして心臓が止まりそうになった。
後ろから声がしたんだよね?
今。
なんとなく予感がした。
こんなこというのあの子しかいない。
そ〜っと振り返ると・・・
やっぱり。
銀髪少年だ。
髪が月明かりに照らされてきらきら光ってる。
「また驚いたね?」
また嫌な笑みを銀髪少年は僕に向けた。
「・・・なんだよ。 なんでまた僕の前に現れるんだ?」
「誘いにきたんだよ。だって君は適合者だからさ。世界を一緒に滅ぼしてみる気はない?」
ニコッと少年は笑う。
「いいよ。 やれるんならね。 僕はこんな世界いらない」
僕の答えはイエス。
本当に世界なんて滅ぼせるわけないって思ってた。
でももしも滅ぼせたとしても別にいいって思ってた。
悲しいことが多すぎたから。
今日は。
数々の可能性を無視して悪い考えだけとった僕が下した決断は「罪」そのものだった。
きっと僕とその「罪」とは何かで繋がってたんだ。
これも運命の糸っていうのかな・・・。