「和解」
「さすが…狂った魔術師と技も似てるんだね」
ウミが怜をみてほくそ笑む。
「…」
怜は黙ったままだ。
「君の事は聞いてたから大体どんな能力かわかってたけど」
ウミはまだ続ける。
「ろくなこときいてないだろ…」
怜はウミと目をあわせようとしない。
「僕は君が嫌いだ」
ウミが突然に嫌いという。
「なんでかわかるよね?君みたいなのがいるから世界は汚いんだよ?怜」
ウミはまっすぐ怜を見ている。
「…っ」
怜はウミに背をむけて走っていってしまった。
「怜!!」
焔とリンがあとをおっかける。
ウミの奴なんで怜に変なこといってんだよ??
俺も黙ってはいなかった。
「おい!!ウミ!!なんなんだよ!?あの態度」
「拓斗か…。君たち何も知らないんだね。そんなんでよく僕と悠里を倒しにきたもんだ」
「っ…!!いいから答えろよ!!なんでそんなに怜が嫌いなんだ!?俺が嫌いなわけはわかったけど…」
「じゃあ教えてやるよ。軽蔑しなきゃいいけどね」
ウミはニヤリと笑った。
俺は甘く見ていた。
ウミたちの世界を。
みんないつも明るいし…。
だけど闇が多い世界っていうのは傷も沢山つくってことだったんだ。
「怜と怜の親は最低なんだよ」
ウミが一言だけ言う。
「それじゃあわかんねぇよ!」
俺はイライラしてきた。
「最低なんだ。狂った魔術師はすごく強い。それ、どういうことかわかる?」
「…?天才…とか?」
「ははっ最高にプラス思考だね。違うよ。危険って事さ」
「危険…」
「そう。狂った魔術師みたいに小さい頃から強かったり僕みたいに特殊な能力がある人間は狙われやすいんだ。危険なやつははやめにつぶすとか仲間に引き入れるとか…まあいろんな意味でね。それでも僕は特殊な能力だからつぶすとかよりは仲間にっていうのが多かったわけで…母親も7歳になるまで育ててくれた。そうそう、僕らの世界で子育てをするのは大体母親一人なんだ。ここまでわかった?」
「う…ん」
正直少しこんがらがりそうになったけど早く先をききたかったから聞き返さなかった。
核心はこれじゃない。