「終末にむけて…」
「もう遅いよ。ウミは今頃仲間を探してる。アンタもう一週間ねてたんだからねぇ。それにウミは相当アンタを恨んでたみたいだし…?大丈夫…どうしても会いたいなら私に方法がある」
「方法?」
僕はゆっくり狂った魔術師を振り返る。
「そ…。私とアンタがウミより先に世界を滅ぼそうとするの。そうしたらウミはでてくる…」
「じゃあ今すぐ滅ぼそう!!」
「まだ無理。悠里の力はまだ使っちゃ駄目。安静にしてなきゃ」
「どれくらい?」
「ん〜…まだまだww」
「でも…じゃあウミが先に世界を滅ぼしちゃったらどうするの??ここはきっと…僕のいた世界じゃないよね??」
「大当たりwwここはウミのいた世界。やっぱ空気違うよねぇ。それと私は予知能力があるからウミがいつ世界を滅ぼし終わるかなんてすぐにわかる」
狂った魔術師はそういうとウインクをした。
「でも…でも…」
それでも僕は不安を抑え切れなかった。
僕は独りになってしまった。
そんな気持ちを読んだのか狂った魔術師はそっと僕につぶやいた。
「大丈夫…。私がいる…。悠里は独りなんかじゃない」
その言葉をきくと涙が出てきた。
ウミにおいてかれたっていう悲しみ。
そして狂った魔術師がいるっていう奇妙な安心感が入り混じった涙。
でもその安心感はきっと人工的なものなんだ。
弱い僕につけこんだ狂った魔術師の術…。
それがわかってても僕はその術からぬけられそうにない。
「さぁ…涙を拭いて?一緒にもう一度行こう」
「どこへ…?」
泣きじゃくりながら僕は聞いた。
「悠里のいた世界へ。ほら…そこで力をためるんだよ
」
「うん…」
僕は中々涙が止まらなかった。
「まーったく…。本当に人間らしいというか…素直というか…私達の世界にはいないタイプだねぇ」
そういうといきなり狂った魔術師は僕を抱きしめ始めた。
「!?」
僕は赤くなった。
他人にだきしめられるなんてないし…。
この人の性別はどっちなんだろう…と少し疑問に思った。
一人称は「私」だけど声は低めだし。
そんなこんなでびっくりした僕の涙は止まっていた。
「泣き止んだみたいだね」
狂った魔術師はニコっと笑った。
「うん…」
僕はうんとしか言えなかった。
「じゃ、このままワープするね」
といってすぐに狂った魔術師はワープに入っちゃった。
「うわ!?」
僕はしっかり狂った魔術師に捕まった。
こうして僕とウミはそれぞれ終末にむかって歩みだしたんだ。
お互いの状況も知らずに。