「終末にむけて…」
「ウミはね…力を使いすぎた悠里を背負って私のところに来た。悠里を助けるためにね」
「ウミが僕を助けるために??」
僕はつい笑顔になった。
ウミが僕を助けるためにここにきたって聞いただけですごく嬉しかった。
僕とウミの絆を確認したみたいだったから。
「すっごい喜んじゃって…。全く気持ち悪いほど馴れ合っちゃってるね」
いきなりそいつ…狂った魔術師は冷たい目で僕をみた。
さっきまでニコニコしてたくせになんだっていうんだ?
「私にはわからないね…そういう絆ってやつ?理解したくもないよ」
そして僕の頭から手を離してシルクハット(みたいなの)をくいっと上に上げた。
何かあったんだろうか?
誰かに裏切られたとか?
ってかそれよりウミの居場所!!
「で、ウミの居場所は??」
僕はイライラしてきた。
でも期待してた。
ウミは僕の回復を待ってどこかにいるって。
だって僕を助けようとしたんだから。
早くウミに会いたかった。
一人じゃないって分かるから。
一緒に世界を滅ぼそうよ。
僕はもうこれ以上前の世界を見たくない。
胸がぎゅ〜ってなるから。
だから早く…。
ね?
「ウミは悠里をおいてでてったよ」
「え…?」
一瞬頭が白くなった。
それってどういうこと?
「要するにあんたを見捨ててったの」
もう何も考えられない。
「嘘…だ…!なんで…?だって理由がないよ…。そうだよ…だって僕を助けるためにここにつれてきてくれたんだし…」
多分その時の僕の言葉は自分に言い聞かせてたんだと思う。
きっとそう。
「そうだねぇ…。でもアンタは中々目覚めなかったし…それに…悠里自分がどんな寝言いってたか覚えてる?」
「寝言…?」
なんか思い出せそうな気がした。
でも頭が混乱しててうまく思い出せない。
「アンタのいた世界の…あれは友だち?兄弟?なんだか知らないけど拓斗って名前をだしてた」
拓斗!!
その名前を聞いた途端鼓動が早くなった。
できれば思い出したくなかったのに…なんで僕は夢にみてたんだろ?
「そんな…僕が…?」
信じたくなかった。
あっちの世界は完璧に捨てたはずなのに…。
なんで?
「そう…。それでウミが怒ったの…っていうより落胆したんだね。もう使えないからいらないって言ってでてったよ」
そう言うと狂った魔術師はニヤニヤ笑った。
「そんな…僕…ウミを追っかけなきゃ…!!」
僕が立ち上がると狂った魔術師は後ろから僕を捕まえた。