「協力」
ワープした先は無人島のような場所だった。
木がいっぱいあって…。
ここは砂浜。
見渡すと人が一人倒れていた。
「誰か倒れてる!」
俺たちはその倒れてる人のほうへ走っていった。
そいつは話によくでてくる男に見た目そっくり。
そう思った途端そいつを目にしたみんなが叫んだ。
「ウミ!!!」
そう…その倒れてる奴はウミだった。
あの日悠里を連れて行った日からちっとも変わらない。
「ん…?」
ウミがおきた。
そして俺らをみると悲鳴をあげた。
「うわあああああああ!?」
かなり警戒している。
こうしてみるとウミ少しやつれたかな?
俺らはウミを少し囲むように見ていた。
ウミは慌てて俺らの輪の中から抜けて俺らにむかって叫んだ。
「なんでお前らがここにいる!?」
すごく必死だ。
「世界を滅ぼすのを阻止しにきたのよ!!」
アリスも負けずに叫び返す。
「ふっ…ははははははははははは!!!」
ウミが笑い出した。
狂ったように。
その光景はなんだか異様だった。
「世界なんてもう僕は滅ぼせない!!悠里は捕まってしまった!!!」
ウミはずっと笑い続けていた。
俺はギクッとした。
悠里が…つかまった!?
「おい…!!悠里が捕まったってどういうことだよ!?」
俺はウミのむなぐらをつかんで揺さぶった。
「つかまったんだよ。狂った帽子屋に。もう終わりだ。世界は滅びる。僕と共に。悠里は戻ってこない。永遠に。会えたとしてももう悠里は悠里じゃなくなってる。絶対に」
ウミの目から涙が零れ落ちてきた。
なんだ…?
こんなに人間味のあるやつだったのか…?
「ウミ…」
アリスも驚いているようだった。
悠里が変えたのだろうか?
こいつを。
ウミを。
その悠里が狂った帽子屋につかまった?
「その話…詳しくしてくれ」
俺はウミの胸倉を離して肩に手をおいた。
ウミの目にはもうなんの光もなかった。