「駒」
ー悠里…よかった…。もう大丈夫だー
誰かの声が聞こえる…。
薄い意識の中悠里はなんとか声だけは聞き取ることができた。
しかしその声が誰かは特定できなかったのだが。
そして思い出していた。
小さい頃に似たようなことがあったな…と。
その時はまだ小学校の…低学年くらいだった。
あれはどうしたんだっけ?
そうだ…ジャングルジムの上で…拓斗とふざけてたんだ。
そしたら上から落ちちゃって…。
気を失っちゃったんだ。
拓斗一晩中僕(悠里)のそばにいてくれて…。
嬉しかったな…。
拓斗…。
悠里は無意識にその名前を口にしていた。
看病してくれているウミの前で。
それは良いことではなかった。
ウミを怒らせ落胆させるには十分だった…。
「拓斗…」
その名前に拓斗はすぐに反応した。
その途端ウミは悠里の手を離した。
そして腹立たしさでいっぱいになった。
「なんで…なんで拓斗がでてくるんだ!?看病してるのは僕なのに!!!なんで…?」
それと同時に恐ろしさがこみ上げてきた。
もしも悠里が世界への感情を思い出し取り戻してしまったら悠里は自分の前から去ってしまうと。
「愚かだねぇ…」
後ろをみると狂った魔術師が立っていた。
満足気な笑みを浮かばせて。
「何が…愚かなんだ?」
必死に怒りを抑え狂った魔術師に問う。
「この悠里の世界に対する心…全部とらなかっただろう?だからこんな風に世界を思い出しているんだよ
?」
狂った魔術師が少し首を傾げるようなしぐさをした。
「わかってる…!でも全部とったら…悠里の心はほとんど無くなって…悠里が悠里じゃなくなるだろ!?」
「それが?」
狂った魔術師は真顔になった。
「それがって…;」
そんな狂った魔術師にウミは何も言い返せなかった。
「やーめたっ!!」
いきなり狂った魔術師は話をとばした。
「やめたって…何が?」
嫌な予感がした。
きっととんでもないことを言おうとしている。
ウミはそう思った。
「約束!世界の終わりを見るってやつ。あれやめた」
「うん…?」
ウミにはわけが分からなかった。
それが今どうしたっていうんだろう?
しかし次の瞬間疑問は絶望の答えへと変わった。
「私が世界を滅ぼす。悠里と二人でね」
信じられない狂った魔術師の言葉にウミは愕然とした。
「なんだって????」
「銀髪…今はウミだっけ?前に予知で見たけど。君のやり方じゃ世界は滅ぼせない。だから変わりに私が悠里と世界を滅ぼすの」
そう言い放った狂った魔術師に勿論ウミは言い返そうとした…が、さえぎられた。
「そんなっ…!!!!!!」
一言発するとウミは倒れてしまった。
「おやすみww」
これも狂った魔術師の能力だったようだ。
そしてウミは転送された。
元いた場所…悠里と住んでいた場所へ。
「これで駒はそろった。むこうもこっちもww嗚呼面白くなってきたねぇwさぁウミ、死に物狂いで悠里を取り返しにきなさいwwま、その頃には世界も滅びちゃってるかもだけどねぇ」
そういうと狂った魔術師は狂ったように笑い続けた。
お久しぶりです^^;ララです★
待っててくださった方がいらしたら申し訳ないです;;
更新遅すぎで;;
また、評価してくださった方々ほんとうにありがとうございます!
わたしも評価に参りますので^^
それではここまで読んでくださりありがとうございましたww
これからもよろしくお願いします★