「たくらみ」
オーストラリアの子どもの心を全部とってから2日後。
ウミは中国の子どもを狙い、悠里はオーストラリアの大人の4分の一くらいの心をとっていた。
「悠里!大丈夫か?」
ウミが心配そうな顔をして悠里に呼びかける。
当の悠里は草むらにねころび、少し苦しそうにしていた。
息遣いが荒い。
「う…ん。大丈夫…」
「力を使いすぎだ!」
ウミが少し怒ったようにいう。
「う…ん。ごめん…」
悠里は少し罰の悪そうな顔をしている。
「なんで急いでるの?悠里は」
「…なんだか嫌な予感がして…。なんでかわからないけど早く世界を滅ぼさなきゃ一生滅ぼせなく気がするんだ…。不安なんだよ。一生世界を滅ぼせないってことは…一生僕らはこの狂った世界の中で生きなきゃならないんだ。目的が達成されるまで」
悠里は涙目だ。
「悠里…。大丈夫だよ。そんなに頑張らなくても。アリスたちのことなら心配しなくていいよ?あの二人くらいどうにだってできる。何も心配することなんかないよ?ね?」
優しくウミが悠里をなだめる。
「うん…」
悠里はそのまま眠ってしまった。
悠里が何かを恐れてる…。
これは虫の知らせか何か?
僕が世界を滅ぼすって直接言ったのはあいつ…「狂った魔術師」だけ…。
そういえばなんでアリスが知ってた?
世界を滅ぼすって…。
そうか…あいつ…「狂った魔術師」か…。
あいつが言いふらしてるんだ!!
裏切ったな!
向こうの世界の奴らがこの騒ぎに便乗するのを楽しんでいるのか…?
でも今のところ知っていたのはアリスだけ。
どういうことだ…?
「狂った魔術師」は何を考えている?
なにをたくらんでるんだ…?