第5章「尋ね人」
リン・焔・怜の三人は短く長いワープから開放されやっと陸地にたどり着いた。
「でっけー泉〜〜〜〜!!!」
焔が口をあんぐりさせて(焔曰く)「泉」のほうをみた。
「なんか…大きなものがいっぱい浮かんでる…」
怜はきょろきょろと周りを見渡した。
三人がついたところはかたい灰色の陸地。
要はコンクリートの上だった。
まわりには大きな大きな(焔曰く)泉が広がっていてその水面にはいくつかの大きなものが浮いている。
網なんかがのっかっているのもある。
先端がとがっていて横には何か文字がかいてある。
「それは海ってーのよ。焔ちゃん。そんでその大きいのは船よ〜。怜ちゃん」
こちらの世界に詳しいリンが二人が疑問に思ったものの説明をしてやる。
そう、焔がいっていたでっかい「泉」とは「海」のことであり、怜がいっていた「大きな浮かんでるもの」は「船」だったのである。
ここは港だ。
時刻は昼くらい。
人がちらほらいる。
リンたちが丁度ワープしてついたところは船の影になっていたので人々に騒がれることなくすんだ。
少し歩いていくと海岸があり、人々が海で泳いだり砂で遊んだりしていた。
「おっ?なんかやってるぞ〜!あいつら!」
焔が好奇心たっぷりの輝いた目を怜に向けた。
「あんまちょっかいかけるなよ〜」
そう怜がいったそばからもう焔は海の中へジャブジャブ入っていった。
「うひゃ〜!気持ち〜ww」
そういや焔泳げないんじゃなかったっけ…?
不意にそんな疑問が怜の頭に浮かんだ…
と同時くらいに焔の悲鳴が聞こえた。
「うびゃ〜〜〜〜っ!!おぼれっ…!!」
それからばしゃばしゃっていう効果音も。
「赤…焔!!!」
怜が慌てて助けに行くのを見ながらリンは波打ちぎわで足を冷やした。
「きーもち〜っ!本当は泳ぎたいんだけどね〜」
泳ぎたいがリンは泳ぎだすと止まらないので自制していた。
なのに焔ときたらばしゃばしゃ入っていくので少し恨めしくなってしまう。
「げへげへっ!!あ〜;;死ぬかと思った〜;;」
焔が真っ青な顔で怜に引きずられリンのとこまでやってきた。
「ふんっ!泳げもしないのにばしゃばしゃ入ってくからよ!」
自制しているリンは少しいらだっている。
「何〜っ!!いっいきなり深くなっつたんだよっ!!は〜っ;;」
焔はまだ苦しそうだ。
「ってか俺まで溺れるかと思った…;;赤…焔…思い切りつかんで暴れるから…;」
怜はまだ「焔」と呼ぶのに慣れていないようで最初少しつっかかる。
「もう。私なんか水我慢してるのに。」
リンが少しすねた目で二人をみる。
「なんで?入ればいーじゃん?」
焔がリンにぽかんとした顔で入るようにいった。
それに対してリンの顔はますます険しくなる。
「あんた…馬鹿?私は水使いよ!したがって水が大好き。そんな私が水に入ったらずーっと数日はでてこないわよ。それでも良いなら入らせてもらうけど?」
「そりゃ困る!;」
リンがいなければ銀髪のところへは行けない。
それがわかっているから焔と怜の二人はとても慌てた。
こんなとこではしゃいでいる内に世界を滅ぼされたらそれこそ困る。
(巻き添え食らうのも嫌だし)
しぶしぶ焔は海から完璧に上がり、三人は海から離れた。
「さて…一応ここは私達の世界の私達がいた場所に近いとこなのよね〜。こちらの世界での日本って場所」
「にほん?」
焔と怜はほぼ同時にその地名をリピートした。