「気持ち」
「さて…それじゃあそろそろはじめましょ」
「え…?」
アリスが突然俺の方へ手を伸ばしてきた。
その手をおでこの前で止める。
「拓斗の能力を覚醒させるの」
アリスの目は真剣そのもの。
俺はゴクリと唾をのみこんだ。
心臓がどきどきいってる。
緊張してるんだ。
俺の能力って何なんだろう?
こんな非現実的なことってあるのだろうか?
すごすぎる。
俺はやっと悠里と同じ条件に立てるんだ。
そしてアリスはウミを助ける。
俺らが戦う理由は世界のためなんかじゃないんだ。
大事な人のため。
そうか…俺らの世界のために戦うんだ。
俺には悠里が、アリスにはウミがいる。
そんな世界を守る…俺らだけの世界を守るために戦うんだ!
世界のためなんて所詮は偽善。
俺らのために戦う。
要は私的理由。
自己中心的な俺ら。
それでも世界全体を救うことになるんだから。
世界中の皆さん、どうか応援していてください!
俺とアリスを…。
そして祈っていて…。
世界のハッピーエンドな結末を。
さあ…俺の能力でてこい!
アリスの手からはなんか光ってる煙みたいのがでている。
それが俺をつつむ。
俺は…
俺の能力は…?
きっとみんなの気持ちが人を救うって…そう思うんだ。
だから悠里もウミも絶対俺らのところに戻ってくる。
だから…さ、頑張ろう?
なあ…?
アリス…。
一瞬で俺の頭は真っ白になった。
そして気づくと俺の中の何かが変わっていた。
そう…能力の開花だ。