「友達」
それでも世界全体をみたってけしてもかまわないって思うのはウミが僕の世界に対する心をとったからなんだろうけど。
「じゃあワープするからつかまって。」
「うん…」
ウミは無敵にみえる。
僕がオーストラリアにいってまた世界が愛おしくなる可能性だってあるかもしれないのに平気で新天地だなんていっちゃって僕の好奇心を煽ってくれる。
ぐにゃんぐにゃんとまわりの景色がゆがむ。
二度目のワープだ。
ワープの途中に僕はきいてみた。
「僕がオーストラリアを好きになって、そしてもし僕が世界をすきになってしまったらウミはどうするの?」
ウミは無言だった。
ウミが口を開いたのはオーストラリアについてからだった。
「もし…悠里が世界をなんて…残念だけどありえないよ」
「…僕の世界に対する心をとったから?」
「そう」
「だよね〜…」
僕の世界はほんの1部とはいえども結局ウミは僕の世界に対する感情をとったんだよな…。
一番強くとられたのが僕の一部の世界ってことなんだから。
だけど今は世界に対して何もおもわなくたって、こちらで育った僕はどうも奇跡というものを信じてしまう。
もしかしたら…って考えることが多い。
もし世界中の人間がもうじき世界が滅びるってわかってたら奇跡を願うだろうね。
そんな僕の気持ちを感じ取ったのかウミは少し機嫌が悪そうだ…。
そーいやこんなウミもはじめてみた。
そーいや希望とかそういうの嫌いっていってたもんな…。
ウミが育った世界を僕はみてみたい。
どんなとこ?
やっぱ真っ暗?
友達はいたのかな?
どんな友達?
そんなことを考えていると…後ろから声が…。
「おい!!!」
振り返ると女の子。
日本語だ。
「あぁ…」
ウミが返事をする。
って…ウミの知り合い!?
二人(ウミとその女の子)はじっと見つめあってる。
僕は事情がのみこめない…。
一体何???知り合い???
「ウミ…?知り合い…?」
「まあ…。知り合い?」
疑問系でウミが答える。
「なんでハテナつけんだよ!」
女の子が怒ってる。
ちょっと…こわい…;
「なにしにきたの?」
ウミが真顔になってる…。
「わかるでしょう?」
女の子はかなり怒ってるみたい…。
「ねぇウミ…もしかしてこの子もウミの世界の子?」
そしておどおどしてる僕。
微妙な雰囲気が流れてる…。
「ってかアンタ…ウミって…もしかして名前ってやつ?」
「そうだよ…」
「名前までつけてもらってこっちの人間と仲良くしてなのにあんたは…!この人でなし!」
ますます何がなにやらわからない・・。
さっきの質問はスルーされたし・・・。
「人でなしって・・。何か勘違いしていない?」
「勘違いなんてしてない!この人間の子を裏切る気でしょう!?」
女の子はすごく怒ってる。
しかも僕が裏切られるってどういう意味???
ねぇウミ・・・裏切りなんかしないよね?
そんな僕の複雑そうな顔をみたウミは笑顔で僕に言った。
「心配しないで。僕は君を裏切ったりしない。絶対に。」
本当?と僕がきこうとしたらまたもや女の子にさえぎられた。
「嘘!!!だって・・・だってコイツ(ウミ)はここの世界を滅ぼそうとしてるんだから!!!」
すごい剣幕でウミを指差しながら僕のほうをぐるっとむいた。
「え・・・と・・そのことなら・・しってるよ・・・
?」
僕はしどろもどろ女の子に言う。
女の子がこんなに怖いなんて初めてだ。
それにしてもウミといい女の子といい髪の色がすごい。
この女の子は髪がピンクだ。
目はくりっとしてて・・・怒ってたら怖いけど顔は可愛い・・・。
「しってるの!?!?」
目がすごく大きくなってく。
眉はどんどんつりあがって・・。
やっぱ怖い・・・;
「う、うん・・;」
ウミがすっと僕と女の子の前に入る。
「悠里はね僕と一緒に世界を滅ぼすんだ。」
にこっと笑った。
邪悪な笑顔で・・。