最終章 DARK HEART
朝早めに目がさめた。(と思う)
時計がないからわかんないけど今ってきっと朝の5時くらい?
僕(悠里)はのびをすると隣をみた。
狂った魔術師が寝ている。
おきそうにない。
僕はなんでこんな早く起きたんだろ?
もしかして緊張してる?
それともわくわくしてるのかな?
よくわかんないや。
うーんとのびをして顔を洗った。
すっきりする。
少し空気が寒かったから顔がひんやりとした。
「今日か〜」
何かが心に引っかかる。
それが何かは僕には分かる。
罪悪感。
多分心の奥底にのこってる罪悪感だ。
でもそんなものもう知らない。
今日で全部終わりだ。
世界も僕もみんなおしまい。
綺麗な最後を迎えるんだ。
皆は心を失って僕も心を失って。
幸せな最後。
恐怖もなーんもないんだよ?
それってすごくない?
そんなこと僕はできちゃうんだ!
ははっ!!
すごいよね!!
今日その力を全部解放する!
それで終わりだ!
全部全部!!
おわりなんだ!!
なんでだろう。
朝早くに目が覚めた。
時計をみるとまだ朝の5時だった。
俺(拓斗)はなんでこんな早くおきちゃったんだろ?
緊張してんのかな?
不安なのかも。
だってさ、考えてみろよ。
この世に絶対なんてないんだ。
もし…もしもみんなの力が不調だったら?
もし俺の奇跡の力が発動しなかったら?
もし心とられちゃったら?
どうしよう。
こんなこと考えちゃ駄目だってわかってるのに一度考え出したらとまんない。
どうしようどうしようどうしよう。
なんか震えてきて少し気持ち悪くなってきた。
「早いな」
後ろから声がした。
振り返るとウミがいた。
「あ…おはよ」
俺はぼけっと返事をする。
ウミが俺の隣に来て座った。
少し沈黙。
俺は気まずさから砂いじりをはじめた。
砂を触るとさらさらしていてそれで少し冷たい。
「緊張する?怖い?」
ウミが俺をみる。
俺もウミをみた。
「…緊張…するし…怖い」
素直に気持ちを表した。
多分その時の俺の顔はすんごい間抜けだったと思う。
ウミはにっこり笑った。
俺はそれにびっくりした。
俺に笑うなんてそんなこと今まで全然なかったからだ。
俺はなんていっていいかわかんなくてそのまま黙っていた。
そしたらウミが意外なことをいった。
「僕も怖いよ」
「え!?」
驚きを隠せずについ口にだしてしまった。
だって意外すぎるんだもん。
「え!?ってなんだよ」
ウミが怪訝な顔をする。
「いや…だってさ、そんな…ねえ?」
俺は混乱。
ウミが怖がるだなんてやっぱり信じられないからさ。
オレの前に現れて世界を滅ぼすといっていたウミとは別人のようだった。
「そんなって…。僕だって怖いよ。僕は戦うことは別に怖くない。心をとられたっていい。だけど僕は僕等が勝って心を取り戻した悠里が怖いんだ」
ウミは俺から目をそらし海をみた。
波の音が響く。
ざーん
ざざーん
どこか懐かしくて心地よい波の音。
「ウミ…」
俺とウミの気持ちがシンクロしたと思った。
俺もそう思ってたんだ。