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D・H  作者: ララ
123/137

二日前

なんかイライラする。



感情がないわけじゃないから厄介。




僕(悠里)は世界に対して何も思わない。




だけど今目の前にいるこいつに対してはすごく腹が立ってるんだ。




狂った魔術師に対しては。




「アンタ…一体なんなんだよ?」




僕が後ろから狂った魔術師に話しかけると狂った魔術師は少し驚いたように振り返った。




「何が?」




慌てる様子もなくただ一言だけ僕に聞き返した。




何が?だってさ。




わかってるくせに。





「なんでそんな寂しそうにする?」




僕は狂った魔術師を睨んだ。



あの日拓斗たちに会って宣戦布告して以来どことなくコイツは寂しそうにしている。




ため息も頻繁についていて。




それが腹立つ。




コイツがため息一つつくたびにイライラする。




心の中がもやもやする。




無性に腹が立つ。




僕の心をとったコイツ。




何を悩むことがある?




なんで自分ばかり世界のことで悩む?




僕は悩むことすらもうできない。




心をとられたから僕の存在理由は世界を滅ぼすことと狂った魔術師のそばにいるしかないっていうのに。




コイツがいなくなったら僕はどうづればいい?




一人で世界を滅ぼすなんて無理だ。




そうしたら僕の存在理由がなくなっちゃうじゃないか。




なのにコイツと来たら迷ってる。




僕にはそれが許せなくて憎くて憎くてたまらないんだ。




「別になんでもないよ」



狂った魔術師が微笑む。




なんでもない?




だったらなんでそんな寂しそうな微妙な顔するわけ?




馬鹿にしてんの?




「だったらなんでそんな顔してんだよ!なんで寂しそうに…!」





キッと狂った魔術師を睨みつける。





「別に寂しそうになんかしてないよ。やけにからむじゃないか」





「からむよ!!僕はアンタが心をとった所為でもう世界に対して何も感じない。これってどういうことかわかる?」




「…」



狂った魔術師は黙りこんでしまった。




「僕は感じたくてももう世界を愛おしいとも憎いとも思わない。僕は自分が今生きてる世界について何も感じないんだ。そうしたら僕はなんでいきてる?楽しいことなんかないこの世界でなんで…!!!」




叫びすぎて息切れした。



狂った魔術師はまだキョトンとしている。




「つまり今僕の存在理由は世界を滅ぼすこととアンタのそばにいることしかないんだよ!!!!!」




狂った魔術師がハッとした顔をした。




やっと気付いてくれた?




アンタがいなきゃなにもできない僕の存在に。



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