二日前
クッキーを食べながらいろいろなことを話した。
俺の故郷の話や特訓の話、そんで拓斗の話。
今、なんだかアリスのこと好きそうだってことも話した。
だっていいよな?本当のことだもん。
めっちゃ仲いいし。
そしたらおばさんはなんだか喜んでた。
やっぱ楽しい時間ってあっという間で、おばさんにとってはどうか知らないけど、俺にとっては本当に短く思えたんだ。
こんなのって初めてかも。
もう残り2時間になった。
「ふ〜…それにしてもやっぱり寂しいわ〜…」
拓斗の母さんはため息をついた。
寂しいって…拓斗のことだよな…?
「拓斗のこと?大丈夫!すぐ帰ってくるから!」
俺は拓斗の母さんを励ました。
だけどその後拓斗の母さんの口からすごく俺が期待してて嬉しくてでも言ってもらえないって思ってた言葉が飛び出した。
「拓斗もだけど…焔君も」
その言葉を聴いた途端ドキリとした。
俺も?
俺もっていった?
「え…?」
これしかいえなかった。
あまりにもびっくりして。
「そう。息子が二人もいなくなっちゃう感じ。勿論帰ってくるって信じてるんだけどね」
拓斗の母さんはそういって少し寂しそうな顔をした。
「その…息子のうちの一人って…俺?」
勇気をだしてきいてみた。
「当たり前じゃない!」
拓斗の母さんはそういってくれた。
どうしよう。
すんげー嬉しい。
そんでもってこんな幸せっていう環境がすごく愛おしくて切ない。
愛おしい時間ももうすぐ終わり。
シンデレラが12時になると帰らなきゃならないみたいに俺ももうすぐ行かなきゃ。
行きたくない。
心が重い。
未練たっぷり。
けど行かなきゃ。
じゃないと拓斗の母さん守れないもんな!!
あと時間ある。
できるだけ拓斗の母さんが作ってくれたクッキーとかたくさんくっとこ!!
「そんな一気にたべるとのどにつまるよ?」
拓斗の母さんがふふっと笑った。
「へーきへーき♪」
どんどんつめこんだ。
「でも焔君が拓斗につててくれるから安心だわ〜。あの子昔からちょっとすぐにかっとなったり…どっかぬけてるとこがあったから」
拓斗の母さんは懐かしいといったかんじで少し空をみつめた。
やっぱ結局最後まで一番心配なのは拓斗だよな。
まぁそりゃそーだけど…。
俺の母さんは心配してくれてんのかな?
俺のこと。
むこうの世界は大丈夫なのだろうか?
狂った魔術師は向こうの世界には興味ないようだったけど…。
あいつが何を考えてるのか本当にわからない。
一体なんだって言うんだろう?
何がしたいんだろう?
俺がぼ〜っとしてるのを見て拓斗の母さんが俺の名前をよんでいた。
「焔君?」
「あ…ぼーっとしてた」
俺が笑うと拓斗の母さんも一緒に笑った。
最後にクッキーの作り方を教えてもらった。
俺に作れるかわかんないけど…ってか果たして向こうの世界で作れるのかわかんないけど教えてもらった。
(まぁ材料は怜に召喚してもらえるだろう)
「大体覚えた♪ありがとな!」
「ううん。というか言ってくれればいつでも作ってあげるのに」
「うん。ありがと」
拓斗の母さんには俺らが例え世界を守ってももうあまりあえなくなるだろうということは言っていない。
なんか言いづらいし…。
いわなくてもいいかなって。
そしたら楽しい思い出だけでおわれるし…。
覚えててくれればそれでいいんだ。