第二章一節「始まり」
僕(悠里)はたった今生まれてはじめての体験をした。
ワープだ。
なんか世界がぐにゃんぐにゃんでわけがわからなかったけど、なんだか不思議な感じがして面白かった。
感情が消えたわけじゃなかったんだな。
人間に対する感情が消えちゃったのかな?
まあいいや。
ふっとぐにゃんぐにゃんが消えて僕たちは地面に降り立った。
「・・・ここどこ?」
僕がそうきくと銀髪少年は微笑して答える。
「わからないよ。 地名なんて。 ただいえるのは地球でもっともきれいな場所だよ・・」
そして銀髪少年は真顔になると周りをみわたした。
前には海がみえた。
人類・・・いや、すべての生き物の命の源・・。
世界を滅ぼそうっていう銀髪少年がそれらを美しいという・・・。
なんか変な感じがした。
「ねえ・・。 君の事なんてよんだらいい? 銀髪少年じゃ呼びにくいよ・・」
「名前は無いっていったろ? 好きな風に呼んでよ」
「そんな・・・; 僕が名前つけるの? 君に?」
僕は少し戸惑った。
名前なんて人につけたことない。
「そういうことになるね。 なんだっていいよ?」
「じゃ〜・・・ウミ!」
単純な僕に思いつくのは残念ながらこの程度。
でもみんなそんなもんだろ?
所詮ぼくだって人間なんだから。
無能なんだよ。
「ウミ・・・? それが僕の名前?」
「そう。 だって海みながらきれいだっていってたから」
「ふーん・・。 単純な名前だね」
くすっと銀髪少年・・・いや、ウミは笑った。
笑顔らしい笑顔だった。
僕はそんなウミをみて一緒に微笑んでしまった。
僕の心は完全に闇の中にはいったわけじゃないのかな?
でもこんなきれいな景色を見た今でも僕は世界が滅びてもかまわないって思ってるんだ。
本当にそう思ってしまうんだ。