3日前
「おちついたみたいねー…」
「うん…」
「どうしたの?」
「うん…」
俺は「うん」ばかり言ってた。
それしか言いたくなかった。
「うんじゃわかんないよ?」
母さん…。
本当は話したい。
話していいかな?
「俺…」
少し沈黙が続く。
「何?言っちゃいなさい?」
「俺…俺…すごく今大変なんだ…!明日から俺2日間学校にいけない。悠里が…悠里を俺が連れ戻さなきゃいけないんだ!じゃないとみんななくなっちゃうんだ。俺、怖い。すごく不安なんだ!もし俺らが失敗したらって考えると怖いんだ!!もし母さんともう会えなくなるかもしれないと思うと…」
言ってしまった。
「どういうこと?あえなくなるって?」
母さんが怪訝な顔をする。
もう言わなきゃ。
「あと3日で…世界が滅びるんだ。悠里のせいで!」
「悠里君のせいで世界が滅びる…?」
「そう。前に言ったろ?能力の話!悠里の能力は人の心をとるんだ。心をとられた人間は人形みたいになる」
俺の真剣な目をみて母さんが少し戸惑った。
「悠里君が悪い事をしようとしてるって言ってたけど…それって世界を滅ぼすことなの?」
「そうだよ。俺の能力は奇跡をおこす力。俺…悠里を救いたいってずっと思ってた!だけどいざ悠里が世界を滅ぼすってなったら、悠里が憎くて憎くてたまらないんだ!!!!!」
俺はまた泣けてきた。
母さんはびくっりしてる。
「明日…拓斗はどこにいくの?」
「みんなと特訓」
母さんは少し迷ってるみたいだった。
「いかせ…ないっていいたいとこだけど…無理なのね?」
母さんの目が涙ぐんでる。
「無理。俺も行きたくないけど無理だよ母さん…。俺が行かなきゃ悠里も世界もなくなっちゃうんだ…」
俺はもう涙を流していた。
母さんが俺を抱きしめる。
さらに涙がでる。
母さんも泣いてる。
ずっとずっと長い間泣いていた。
ご飯は途中のまま。
もうさめてる。
ずっと泣いて泣いて泣いて。
少しだけ寝た。
母さんはキッチンにいたみたいだった。
起きたらリビングのテーブルの上にはお弁当がのっていた。
「母さん…」
俺はまた涙がでてきた。
なんか感動しちゃって…。
リビングから母さんがでてきた。
目が赤い。
「いくんでしょ?お弁当食べて頑張んなさい。ほら、食べてない晩ごはん食べるわよ」
「母さん…ありがとう!」
俺は食卓に着いた。
母さんも。
今日の晩ごはんの量は半端なかった。
バイキングみたいだ。
ハンバーグの他にスパゲッティとかもある。
俺が少し寝てる間に追加して作ったらしい。
俺はなるべく全種類たべようと頑張った。
母さんの料理。
俺の大好きな。
母さん、本当にありがとう。
俺、あなたの息子で本当に本当に良かったよ。
昨日は散々泣いてゴメン。
不安なんてもう消えた。
世界は絶対守らなきゃいけないんだ。
大事な人を守るため。
未来を掴むため。
そんな俺の大事な世界を壊そうとする悠里が正直憎いよ。
でもやっぱり完全に憎めない。
悠里…お前に奇跡を起こしてやるよ。
俺は世界に奇跡を起こす。
俺の世界を元に戻す。
母さんと父さんと悠里と…大事な人たちに囲まれた俺の世界。
絶対に守ってみせる。
もう負けごとなんか言わない。
ただ進むだけ。
皆を信じて一緒に戦う。
悠里と狂った魔術師と!!