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D・H  作者: ララ
113/137

3日前

「拓斗?どうした?」



「う…」



駄目だ。



涙が出てくる…。



とまれとまれ!



上を向いてティッシュで鼻を押さえてなんとか声をだした。



「なんでもないよ…」



「お前泣いてるのか?」



父さんの声が少し動揺してるかんじ。



「違うよ。まさか」



なんとか冷静を装う。




「そうか?なんか悩みがあるんじゃないのか?」



悩み?



ぶちまけたいこと沢山あるよ?



沢山あるんだ!!



だけど…そんなの言えないよ。




「うんん。ただ久しぶりに父さんどうしてるかな?って思っただけなんだ。泣いてるように聞こえたのはきっと今風邪気味だからだよ」



これなら父さんも信じてくれるだろう。




「そうか…?なんか悩みがあったら…父さんに言うんだぞ?」



父さん…!



やめてよそんなこと言わないでよ!



だって…




涙とまんないじゃん…。




「父さん…ありがと…。父さんが俺の父さんでよかったって俺はそう思ってるよ!」



普段なら絶対言わない言葉。



…というよりこんなことでもなければ一生言っていないと思う言葉。



「なんだぁ?いきなりー…」



父さんがすごく戸惑ってる。



もう切ろう。



本当はずっとずっと話してたいけど…



でもそんなの無理だ。



どんどん寂しく恋しくなるだけ。



俺が冷静を保っていられる内にもう切るよ。



「じゃ…そろそろきるね」



「お、おう…」



「じゃぁね。おやすみ…」






ブチッ。





ツー




ツー



……。




終わった。



父さんと俺の最後かもしれない会話が。



電話を切った途端涙がぶわっとまたあふれてきて止まらなくなった。



「ふっ…うっ…」



声も抑えられない。



「ずずっ…」



鼻水だってとまんない。



思い切り声をだして泣きたかった。



けど無理。



無理。



無理。



なんとか涙を抑えて部屋をでた。





リビングに行った時にはもう30分くらいたっていた。




「母さん…ごめん」




「いいよ」



いつもなら「遅い」とか文句言う母さんだけど今日は優しかった。



泣いてたの気付かれたんだと思う。



だって目赤いし。



理由は多分悠里のことだって思ってるんじゃないかな?



席についてご飯を食べる。



今日はハンバーグ。



なんでか知らないけどご飯を食べてるうちに涙がでてきて止まらなくなった。



「うっ…」




ボロボロポロポロ流れてきた。



ぼやけた視界の中に母さんが見えた。



少し驚いた顔をしていたけど察してくれたようで俺の席の隣(昔は父さんが座ってた席)に腰をかけると頭を撫でてくれた。



そしたらさらに涙がでてきた。



そしてとうとう大きな声をだして泣いてしまった。



うわーんうわーんと泣き声が響く。



もう顔はぐっしゃぐしゃ。



やっと落ち着いたのは30分たってから。



おなかがすいたっていう感覚も戻ってきた。




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