3日前
勢いよく僕(悠太)はドアを開けた。
「ただいまー」
そしていつもみたいに真っ先に部屋にかばんを置く。
それからリビングへ。
「母さんただいま」
母さんははっとこっちを向いた。
「おかえり。遅かったじゃない。昼には帰るって言ったのに!最近外泊多いし…」
母さんが心配そうな目を僕にむける。
最近母さんは特に神経質だ。
まぁ仕方ない。
兄ちゃんがいなくなったんだから。
ねえ母さん?僕兄ちゃんに今日会ったんだよ?
でも別人だったよ。
早くもとにもどしてあげなきゃ。
ね?母さん。
…こんなこと言えるわけないけど。
いよいよ3日後。
明日で全部決まる!
絶対に負けない。
負ける気がしない。
もうすぐで兄ちゃんに会えるんだよ?母さん。
やっと兄ちゃんに。
楽しみだね!
「ねー母さんおなかすいた」
「昼まだなの?」
母さんがいつもの調子に戻った。
「うん。オムライス作ってー」
「はいはい」
そうめんどくさそうにいいながらも顔は笑顔だ。
兄ちゃんがいなくなってから最近まで僕は笑うことすらしなかったから、最近元気になった僕のことが嬉しくて仕方ないみたい。
ある程度の頼み事は聞いてくれる。
「そうそう、悠太、今日は夜遊びに行くんじゃないわよー?父さん早く帰ってくるからね、外食いくから」
「え〜!?ダメダメ!!今日は手作りじゃなきゃ!」
僕はあせった。
だってだって今日で…ありえないけど今日で母さんの料理最後かもしれないんだもん…。
僕は今日夜こっそり家を抜け出して家出するつもりだ。
手紙を残して。
その手紙には世界が滅びるかもしれないことや、兄ちゃんのこと、全部かいていくつもりだ。
馬鹿らしいって本気にしないかもしれないけど書いておくね。
それからすごく心配掛けると思う。
ごめんね。
だけど僕は世界を救うから!
だから…今は見逃して。
だけど世界がもし滅びちゃったら…
滅びる寸前まで母さんも父さんも僕と兄ちゃんのこと考えていて!
決して忘れないで!!
お願いします…。
嗚呼…こんなこと考えてたら悲しくなってきちゃったよ…。
目がじわ〜っと湿ってあつくなる。
あくびでそれをごまかした。
世界のことを考えるのはもうやめよう。
兄ちゃんが帰ってきてまた家族4人で暮らせることを考えよう。
楽しいことだけ考えて悲しい未来は捨てるんだ。
決心がゆるがないように。