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D・H  作者: ララ
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3日前

リンに家まで送ってもらって俺と悠太君はそのままそれぞれ家に帰った。




リンはこれからアレックスに会いに行くって言ってた。



どこにいるかわかんないけど、俺があげた世界のガイドブックみて見覚えのある建物があるとこいくってさ。



すごく大変そうだけどでもやっぱり会いたいだろうから。




だからがんばってるんだ。




俺らは結局エゴのために戦う。



俺は悠里をすくい大事な人を守りたいから。


悠太君とウミも同じ。


アリスは大好きなこの世界を守るため。


焔も。


怜は多分そんな焔を守り狂った魔術師と対峙するため。


リンは大好きな人を世界を守るため。




俺は正直世界全体なんてわかんない。



オーストラリアの人たちの心がなくなっても俺は悠里のことばかり考えてた。



でもみんなそんなもんなんだよ。



みんな自分の世界のために戦うんだ。



世界全体のためじゃない。



ねぇ、こんな俺だけど神様、



いるなら俺と俺の愛しい人たちを守って。



そして世界を救う力を俺に下さい。



がんばるから



がんばるから…さ






深呼吸をして扉を開ける。



何事もなかったかのように「ただいま」と明るく大きな声で言う。



母さんがひょっこり玄関に顔をだす。



今日は仕事休み。



俺は笑顔を作る。



母さんは俺の荷物をもって



俺はリビングにむかう母さんの後をついていく。



母さんの背中をみるとなんだか泣けてきた。



さりげなく袖で涙をぬぐおう。



それから鼻をすする。



「ズズッ」



母さんが不意に後ろをむく。



「あら?アンタ風邪?」



俺は少し笑って答える。



「違うよ」



そして「腹減ったー」といってどかっとソファに座る。



時刻は1時。



昼ごはんはまだ食べてない。



「俺母さんの作ったチャーハン食べたいな…」



ボソッとさりげなくリクエストしてみた。



「いいわよー」



母さんはチャーハンを作ってくれるみたいだ。



もしかしたら最後になるかもしれない母さんのチャーハン。



俺はかあさんのチャーハンがすきだ。


チャーハンなんて誰が作っても同じだろうと思うかもしれないけどそれが違うんだ。


なんかいろいろ調味料をMIXして…。


そんな母さんのチャーハンが俺は小さい頃から大好きで…



また泣けてきた。



何だって言うんだ??


縁起悪いじゃん。


でもどうしても切なくなる。



だって俺らが世界救える保障なんてないんだから。



もしかしたら世界は悠里たちによって滅びるかもしれない。



そうだろ?



その可能性だってあるんだから。



どんどんマイナス思考になっていく。



怖い。



もし母さんを守れなかったら?



父さんは今単身赴任。



もし世界を守れなかったら母さんと父さんは二度と会えない。



もし俺が…



「はい!チャーハン!!」



何も知らない母さんが明るくチャーハンを運んできた。



「…どうしたの?拓斗」



このときの俺の顔は相当暗かったんだろうな…。



「うんん。なんでもない…」




また笑顔を作った。



不自然だったかもしれないけどこれが俺の精一杯だった。



母さんに対する俺の精一杯の思いやり。




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