3日前
「じゃあそろそろいこうか」
狂った魔術師は悠里に問いかけた。
「うん。アンタがもういいなら」
悠里は静かに頷く。
待って!!
って叫びたいのに言葉がでてこない。
悠太君は泣きじゃくっている。
そして狂った魔術師が背をむけたと同時に焔が叫んだ。
「拓斗!!!力!!」
そうか!!
忘れてた!!
俺には奇跡を呼ぶ力がある!!!
でも無理だった。
隙のない狂った魔術師のシールドによって能力は無効となった。
「そんな…」
俺はへにゃっと地面に座り込んだ。
「最後の3日間有意義に使うんだよ?悠里以外の大事な人に会いに行ったりしたら良いんじゃない?」
狂った魔術師はそう俺らに言い残して消えようとした。
…が、それを怜がとめた。
「待って!!!」
怜の顔は切羽つまってた。
狂った魔術師は一瞬怜を振り返った…が、すぐにまた背をむけ消えてった。
怜は狂った魔術師が消えた場所をずっと悲しそうな目でみていた。
ウミは落胆していた。
俺と悠太君も。
アリスとリンと焔はそれを悲しそうにみていた。
世界滅亡まであと3日。
ワープの途中で悠里が私(狂った魔術師)にするどいことをいってきた。
「ねぇ…さいごに言ってた言葉あるじゃん。『最後の3日間有意義に使うんだよ?悠里以外の大事な人に会いに行ったりしたら良いんじゃない?』ってやつ。あれさー、自分も会いに行ったの?」
悠里が私をじっとみる。
「会いにいったって?」
その質問の意味はわかったけどあえてわからないふりをした。
でも悠里は見逃してくれなかった。
「怜…だっけ?弟なんでしょ?最後にあの人に会いにいったんだ?」
少しの間何もいえなかった。
違うといえばうそになる。
悠里には嘘をつきたくなかった。
「違うっていったら嘘になるね」
私は曖昧な返事をした。
何も感じていないようで悠里は何か感じているのかな?
また新しい世界を形成してる?
完全に世界に対する心をとったのになぁ…。
でも今回は新しい世界を形成できないよ。
だってその前に世界と滅びるんだから…。