皆と皆の気持ちと決意と
「何…それ?冗談きついよ…」
僕はまだ信じられない。
だってウミが…だってウミは…そうだよ!僕に言ったんだ!!
「でも、でもウミは僕にいったよ!?」
「なんて?」
「僕は悠里を裏切らないって!!!」
僕は狂った魔術師を睨んだ。
なんでそんな嘘言うんだろ?
ウミが僕を裏切ったなんて。
ありえないよ。
「…言葉なんかいくらでもいえるよ?私だって言える。私は悠里を裏切らない」
もう限界だった。
なんだってそんな意地の悪いことばっかり言うんだ??
狂った魔術師に背を向けて外へでようとした。
だけどすぐに腕をつかまれた。
そしたらなんだかウミと会ったばっかり時を思い出しちゃった。
あの時つかまれたのは肩だったっけな…。
「言っても信じてもらえないみたいだねぇ…。これをみたらわかるよ?」
そういうと狂った魔術師は洞窟の壁に映像をうつしだした。
ウミと…あれは…あ!
あの時の女の子!!
ピンクの髪の…ウミにすんごい怒ってた子だ!
それから赤い髪の男の子が映った。
そして青髪碧髪…。
みんなウミと一緒だ。
誰?
この人たち…。
それから映った姿は僕が想像し得ない人たちだった。
まさかって思った。
だってありえないよ。
なんで?
どうしてこいつらといるの?
だってこれって…
拓斗と悠太じゃん…。
「これがウミの新しい仲間。みえる?」
狂った魔術師は笑顔だ。
僕の表情には勿論笑みなんてなかった。
「嘘…これ…これ魔術でしょ?嘘でしょ?」
「嘘なわけないでしょ。これは今のウミの様子。音声無くてごめんね?」
「嘘…」
映っているウミの顔はなんだか楽しそう。
拓斗と悠太も。
僕の事なんか忘れて笑ってるんだ!!!
ふつふつとはらわたが煮えくり返るようだった。
腹が立つ。
「ね?そしてね、世界をやっぱり滅ぼしたくないって言ったウミはこいつらの仲間になったんだよ。これは…みんな友だちらしいね」
「…弟がいる…。幼馴染も…」
「奇遇だね。私の弟もいるよ」
「え…?」
「子どもながらに私を殺そうとした弟。青髪の魔術師」
「青髪…弟?」
もう頭ん中ごちゃごちゃで何がなんだかわかんない。
「そ。強すぎる力をもった僕をね、母親が監禁して弟が殺そうとしたんだ。厄介だから」
「可哀想…」
僕の目から涙がでてきた。
狂った魔術師が僕の頬に手をおき僕に残酷な問いかけをする。
「可哀想って…悠里が?私が?」
わかんない。
僕は僕が可哀想で泣いてるのかも。
いや、僕だけじゃない。
「僕ら二人とも…二人ともだよ」
その答えに狂った魔術師は満足したらしい。
「…良い子だね。悠里のそういうとこ好きだよ?」
「ははは…!!もうそんな言葉いってくれるのはくーちゃんだけだよ。僕は世界に取り残された!拓斗も悠太も僕の事を倒そうとしてる!!ウミまで!!裏切らないっていったくせに!!裏切らないっていったくせに!!なんでお前が裏切るんだ!!ウミ!!!」
僕は怒り狂った。
悲鳴にも似たようなものをずっと発した。
信じたくない。
ケド信じるしかない。
だってあの女の子は世界を守るっていってた。
ウミを敵にまわしても。
そんな子とウミが一緒にいるってことはウミは僕を裏切ったってこと。
しかも…拓斗と悠太まで!!!
なんであいつらがいる?
あの女がよんだ?
それともまさか…
ウミが?