2.自分の欲
人はなぜ、恋をするのか。
なぜ傷つくかもしれないと知りながら、もう一度やりたいと思うのだろうか
私は恋と死は対義語であり、類義語だと考える。
クラスで人気者に恋をしていた。
だが、意外にもその恋は簡単に成立してしまった。
恋愛漫画のようなものに憧れていたのに、と少し物足りなさを感じた。
季節が一つ移り変わる頃
私と彼女はただの友達のような距離感だった。
私も一人の男だ。恋人ができたらハグなどしたい年頃でもある。
そんなことを思いながら付き合っていく内に、だんだん自分は
彼女の何が好きで付き合ったのかが分からなくなってきた。
最初は彼女の優しさに惹かれたのに、今では当たり前のように感じてきた。
そんなあやふやな思いで付き合っているうちに事態は起こった。
彼女が一度振った男にデートの誘いをした
私のもとに話が回ってくるまで一瞬の出来事だった。
なぜ、彼女は私に何も相談せずに誘ったのか、一瞬で嫌になった。
私にも悪かったところはあったと思う。
だが、反省なんてものは後からするものであって、
その時の俺は復讐心のような思いでいっぱいだった。
気が狂ったように友に愚痴を言っては広めるように頼んだ。
俺は彼女のことを最底辺まで落とそうと考えていた。
過去の俺がされたように、男子の中で「関わってはいけない奴」にしようとしていた。
俺があの件を忘れて少しした頃だ。
彼女の友から、彼女に関する話を聞いた。
「ショックを受けて、泣いてたってよ。」
俺はひどいことをしたんだな。
私は笑いを堪えるのに必死だった。
俺の発言で一人の人生が大変なことになった。
でも、俺は被害者であいつが加害者だ。
俺と彼女は別々の高校に進んだ。
そこで彼女は新しい恋を探しているらしい。
私は恋をするのがばかばかしいと思った。
自分の人生の中で数時間しか共に過ごしていない者が
俺のことを一番知っている顔をできるのが溜まらなく気持ち悪いからだ。
実際、私は彼女のことをあまり知らない。
だが、皆は私が知っているものだと思い、情報を渡してくる。
彼女もまた同じ状況だっただろう。
皆が口を揃えて羨ましいと言いながら情報を渡してくる。
その時の感覚はとんでもなくいい気分だ。
致した後のそれに似たものを感じる。
神経がマヒして、飛んでいるような感覚がする。
その代わり、すべてがなくなって地に足がついた途端に相手は敵になり、
私の情報を持った悪意のある敵になる。
しかし、私たちはそれを知りながらもまた欲のままに「恋」をする。
これほどに愚かで快感なことは人生でいくつあるだろう。
人生で自分が主人公だった瞬間を経験をしたことのある人は少ないだろう。
それを疑似的に味わえるのが恋で、
それと似たことに性行為があると考える。
人生には必ず死が待っている。死ぬ瞬間、人は快感を感じるそうだ。
体が静かに空へと羽ばたくような快感。
恋をしているときの快楽に似ているではないか。
人はつらくなった際に死を選ぶ。
それは逃げているわけでなく、選択できる中で一番の快楽が死だからだ。
私は死ぬが怖いと思ったことはない。
恋以上に快感なものがそこにはあると思っているからだ。
後悔のある恋はもう勘弁だ。
だから俺は後悔のない人生と死を選ぶ。
太陽は俺の歩く方向に昇ってきている。
この作品はノンフィクションです。




