第9話 出現せし時空を繋ぎし扉【ポータル】
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
マリンが夢の中で出会った“”黒い靄の状態の存在"”が言っていた。
試練と難題・・・
それは・・・すぐ現実のものとなってしまった。
神恋島へ向かった心奏は、内心途轍もない不安に駆られていた。
それと同時刻、私立蕾学園に居る月夜見先生と“”黒い靄の状態の存在“”と接触した心奏の幼馴染の三雲マリンは、神恋島に居る千歳輝夜からのボイスメッセージの内容を、心奏の母の早紀に伝えようと理事長兼校長室に向かっていた。
だが...心奏の母の早紀は、まるで一部始終を見ていたかのように、二人が到着して内容を話そうとした瞬間に唇に指を当て”話は大まかに把握しているから話さなくていいよ”と二人に向かいテレパシーを送ってきた。
思わず呆気に取られてしまう二人に早紀は、思わぬことを口にした。
「あの子にだけは無理をさせないでね。」
早紀は、そう言って自身の抱えている仕事に取り掛かるのであった。
二人は、邪魔にならないように理事長兼校長室を後にするのだった。
一方その頃・・・心奏は大急ぎで神恋島へ向かっていた。
「後十五分は掛かってしまう。だけど、これ以上彼女を待たせるわけにはいかない。」
心奏は独り言の様にそう呟くと能力を解放して聖少女の姿になり、魔力を今より出力を上げて解放してスピードを上げるのであった。
だが...心奏のこの決断がこの先大きく影響してまさかの事態になるとは、全く知る由もないのであった。
そして、神恋島の方では千歳輝夜が心奏の到着を今か今かと待っていた。
その矢先の事、神恋島のすぐ近くにある無人島の方から、物凄い圧を感じさせる程の魔力を感知する。
「噓でしょ。。。ここから例の無人島までは、軽く五キロメートルは離れているはず。それでいてこの威圧感を感じさせる魔力...一体何者なのかしら?この魔力を放っている奴は…。」
思わず心のうちに秘めていた言葉が漏れ出てしまう輝夜。
そこへ聖少女の姿の心奏が到着する。
「輝夜さん。お持たせ致しました。向かいましょうか...例の島へ」
そう言って心奏は、おもむろに輝夜をお姫様抱っこして、いざ出発しようとすると・・・
「えっ…///。ちょっとこの状態で向かうのですか?」
輝夜は、心奏にお姫様抱っこされているという事実に、羞恥心を覚えてしまうが・・・
即座に心奏は、真剣な表情で輝夜に語りかけるように
「僕にしっかり掴まっていてください。大急ぎで向かうのですぐ着きます。」
"えっ?"と軽く輝夜の心の整理が着く前に、心奏はお姫様抱っこする前に展開していた魔法陣に脚を掛けて、魔力を感じる方角に目を向け脚に力を込めて、勢い良く神恋島を飛び出す。
勢い良く飛び出した心奏は、例の島に向かいながら神恋島に居る父の神翔に向けて何やらかの内容をテレパシーで送り先を急ぐのであった。
ー 神恋島より南東に五キロ 名も無き無人島 ー
神恋島からものの三分で到着した心奏と輝夜。
心奏が島の地に脚をつけると優しくお姫様抱っこしていた輝夜をおろして、肌で感じる魔力を頼りに一歩進もうとした時、輝夜は急に頬を赤らめて心奏に聴こえない位の声で心の声を漏らしてしまう。
「もう・・・///。こんなことされるの初めてなんだから...ね。」
独り言の様に呟いてしまう輝夜であったが、心奏の一歩後を歩むように島の中へ入っていくのであった。
名も無き無人島言うのもあってかうっそうと茂る緑は、心奏や輝夜の身長の高さとほぼ同じ位であり二人は、草木をかき分けるようにして歩く事、約五分。
突如として目の前に、明らかに可笑しな光景が広がっていた。
「これは扉?でも何故こんな場所に...」
心奏は目の前に広がる光景に、声が出てしまう。
「謎ですね。明らかに人はおろか野生動物すらの痕跡がないこの島に、扉は可笑しいです。まるで扉がポンと湧いて出たみたいな事が無い限り説明のつかない現象ですね。」
輝夜も目の前に広がる光景に、つい声が出てしまうのだが...
突然、扉から威圧感を感じてしまう程の魔力が漏れ出し心奏と輝夜は、思わず臨戦態勢を取ってしまうが...
すぐに威圧感が消え去り不思議に思った心奏が謎の扉に近付いて輝夜に手招きをする。
そして手招きをされた輝夜は、心奏に一歩一歩と近付き心奏の右横で歩みを止めた瞬間であった。
謎の扉が少し開いたかと思いったが矢先に、心奏と輝夜は、ブラックホールに吸い込まれるような勢いで、謎の扉の中へ吸い込まれてしまった。
それからどれ位の時間が過ぎたのであろうか…。
気が付くと心奏と輝夜は、どこかの都市部の公園に倒れていた。
先に心奏が起き上がり倒れている輝夜に声を掛ける。
「輝夜さん。大丈夫ですか?起き上がれますか?」
すると、輝夜は頭を抑えながらゆっくり起き上がろうとしてふら付いてしまうが、すかさず心奏が手を差し伸べて輝夜を抱き寄せて、近くにあるベンチに腰かける。
「ごめんなさい。もう大丈夫よ。でも何処なのかしら?見覚えがあるような気がするんだけど・・・」
輝夜が一言心奏に謝りそして、周りを見渡し謎に感じる既視感に軽く戸惑っていた。
心奏も輝夜と同じ心境であり、何処か既視感を感じる景色に思考を巡らせていた。
そんな時・・・遠くの方で何か獣が鳴くような聲が聞こえて心奏と輝夜は、思わず顔を見合わせてしまうのであった。
果たして、心奏と輝夜は謎の既視感の正体を暴き、無事に元居た場所に帰還できるのであろうか。
そして、遠くから聞こえてきた何か獣の聲とは一体・・・
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




