第8話 Lie or ture ~黒き存在が語りし世界の行く末!~
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
私立蕾学園とその周辺地域を巻き込んだ事件から約一週間後・・・
被害を受けた建物は、全てにおいて取り壊しや修繕が進んでいた。
まるで、一週間前にここで大きな事件が起きたとは思えぬ程であった。
そして...心奏の幼馴染の三雲マリンは、約三日間眠りから覚めず一時期は、生死を彷徨いかけたが…。
無事に、眠りから目覚めた彼女は健康上並びに精神に関しても全く異常な所はなく、健康体そのものであったのだが...
彼女は眠っている間に“”とある存在“”に接触していて、尚且つ自身の将来や心奏の住む街の未来についての事を教えられたのだという。
その者は...姿が黒い靄の状態で彼女に接触し正体を明らかにする前に、彼女の前から消え去ったというのだ。
黒い靄の状態の存在は、彼女に淡々とこの先起きることを話し一方的に消えたという。
その者が、彼女に言ってきた内容は...あまりにも驚愕なものであった。
「この先起きることを貴女に伝えます。貴女の周りに次々と難題や困難が訪れます。ですが、それは貴女自身や貴女の親しき人物の成長にも繋がる重要かつ、受けるべき試練とでも申しましょう。貴女の居る世界にいずれ近いうちに、途轍もない程の脅威が迫り貴女自身や貴女の周りを巻き込み今までに経験したことの無い物語が幕を開けるでしょう。そして貴女は受け入れ難い現実を見ることとなる。」
彼女に淡々と告げた者は、煙の様に消えていったという。
それから程なくして心奏の幼馴染の三雲マリンは、目覚めた。
「此処は...保健室?」
マリンは、約三日間もの間眠りから覚めなかったこともあり、意識は若干混濁気味ではあったが自力で躰を起こして辺りの様子を伺っていた。
そこへ趣向品の珈琲を取りに職員室へ行っていた養護教諭の月夜見先生が戻ってきて開口一番で、マリン
が目を覚まして起きている事に驚き声を上げた。
「三雲さん!何時目を覚ましたの?躰は大丈夫?」
月夜見先生の開口一番の問いに、少し困惑はしたマリンだが...
少しの間を開けてから彼女は、月夜見先生からの問いに応えだした。
「少しばかり体は重いと感じますが一応、大丈夫です。」
彼女の大丈夫ですという言葉を聞いた月夜見先生は、ホッと一安心して趣向品の珈琲を落としかけたが直ぐに持ち直して彼女に対して次の質問を投げ掛けた。
「三雲さん。結構凄い事になってはいたけど・・・記憶ある?」
マリンは、月夜見先生から投げ掛けられた質問に応えようと自身の記憶を遡り思い出そうとするのだが・・・
「ごめんなさい。思い出せないというか分からないんです。記憶がないというか"かな"ちゃんに声を掛けられてから、つい先程目を覚ますまでの間がすっぽりと抜け落ちている感じです。あっ、でも夢の中?で黒い靄の状態の存在に、一方的に話された事は覚えています。」
マリンは、心奏に話しかけられた所からの記憶が抜け落ちた様に思い出せなかったのだが...
彼女が眠っている間の夢の中?での“”黒い靄の状態の存在“”からの一方的に話された事については覚えていた。
彼女が夢の中?で話されたことを月夜見先生に耳打ちで話したのだが...
月夜見先生は、あまりにも内容が驚愕すぎたことで叫んでしまいそうになり咄嗟に、口を押えた。
それもそのはず・・・彼女が言われた事は、決して陰謀論や都市伝説的なものではなくこれから確実に起きる事であったからだ。
そうそれは・・・既に起き始めている事象についての内容であり少し先の未来のカタチそのもの。
勿論の事、その事については取り急ぎ心奏に連絡を入れて呼び出す事態にまで、発展した。
マリンから驚愕内容を話されてから約三十分後・・・
保健室に心奏が到着した。
心奏は、マリンが目を覚ましたことに安堵した直後に、月夜見先生から先程マリンに言われたことをそのままそっくり伝えられたのだが...
月夜見先生の様な驚き方はせずに、むしろ冷静で何か先を見通している様子であった。
そして...心奏は、神妙な面持ちで二人の方を向き語り始めた。
「なんとなくではあるけど・・・僕たちは踏み入れてはいけない場所に、踏み入れてしまったようだ。しかもそれは・・・この世界だけでない。恐らく、もう一つ世界?いや、無数に分裂してしまった世界線。つまり、“”黒い靄の状態の存在“”が言っていた事は、パラレルワールドが存在していて尚且つ、それすらも巻き込んだ大事件が起きると伝えたかったのだろう。そして、オブラートに包むように話してきたところを考えると、その存在は公には言えない国家存亡を左右させる機密情報と同等かそれ以上の事だと思う。絶対的な事とは言えないけれど、改変が起きないようにマリンに接触したのだと思う。」
心奏は、マリンが接触した者が、この世界に改変が起きないようにこの先の出来事をオブラートに包み尚且つ、不安定な状態で伝えてきた事をただならぬ事だと読み取りそれを二人に伝えた。
だがしかし・・・心奏の言っていた事が、あまりにも驚愕というより現実離れしていて二人は呆気にとらてしまっていたのである。
そして、心奏は今一度先程語ったことを嚙み砕いて解りやすく話そうとした。
まさにその時であった・・・
保健室ある通信用端末からけたたましく着信音が鳴り響き端末を開くと・・・
千歳輝夜からのボイスメッセージが送られてきていて尚且つ、再生してみると焦った様子で
「大変よ。神恋島の近くの無人島に、謎の魔力反応があって危機的な状況になっているから、誰か早く神恋島まで来て!!」
恐らく相当に焦った様子で神恋島に居る千歳輝夜からのボイスメッセージに驚いた三人。
そんな中で声を上げたのは、心奏であった。
心奏は、ボイスメッセージを聴き終わると真剣な表情で言い放ったのだ。
「僕が…行ってきます。マリンと月夜見先生は何時でも情報を取得できるようにしていて下さい。妹の心湊には内密にお願いします。ですが・・・母には伝えておいて下さい。」
声を上げた心奏は、言うべきことを言うと、保健室の窓をおもむろに開けて右手を外に出して
「魔法陣展開!」
心奏は、魔法陣を空中に幾つも展開して其のうちの一つに飛び移りそして・・・
「神恋島なら三十分もあれば充分だ。」
独り言の様にそう呟き、魔法陣においた両脚に魔力を込めロケットスタートで、蕾学園を後にしたのであった。
この間、千歳輝夜からメッセージを受け取り五分しか経っていない事に、ふと我に返った幼馴染のマリンが気が付き驚愕したが...
直ぐに、自身の頬をパンと叩き現実と向き合い取り急ぎ月夜見先生と共に、心奏の母の早紀に報告すべく保健室を後にした。
果たして、千歳輝夜の言っていた危機的状況とは・・・そして心奏の言いたかった真実とは一体何を指しているのであろうか。。。
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




