第7話 時空の裂け目!溢れ出す魑魅魍魎
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
幼馴染の三雲マリン(人格、黄泉津大神)と心奏の魔力を集中させた攻撃が、部屋の真ん中で激しく衝突した。
二人の技の衝突によって、思いもよらぬことが起きてしまう。
「流石、黄泉津大神の能力ね。このままだと、僕の攻撃ごと押され切ってしまう。」
心奏は、黄泉津大神の力があまりにも強大なものだと認識したのだが。。。
その一方で、黄泉津大神も久方ぶりの戦いに、心の奥底から湧き上がる興奮と戦闘意欲に、胸を高鳴らせていた。
「我は、この戦ひを求めたりけり。この胸の奥底より湧きいだす闘気が、我に幸福をもたらせり。さる戦ひが今かくしえたる事に、喜べるぞ。心奏。」
黄泉津大神は、今こうして心奏と戦えている事に、心の底から感謝していたまさにその時であった…。
二人の攻撃があまりにも強大であり、高エネルギー同士の衝突だということもあって、今二人の居る空間に歪みをもたらしてしまった。
だがしかし...その事実に気が付かずに二人はどんどんと魔力を高めて高出力で魔力エネルギーを解き放っていた。
すると、空間の歪みが徐々に捻じれひび割れた空間の裂け目から、突如として漆黒の靄が漏れ出して黄泉津大神を吞み込んでしまう。
漆黒の靄に吞み込まれてしまった黄泉津大神は、先程とは打って変わり解き放っているオーラに漆黒の靄が纏わり付き更に、高貴なる黄泉津大神の霊圧がどんどんと禍々しくなっていく。
それは・・・まるで魑魅魍魎とも言わんばかりに、おぞましくおどろおどろしいものに成り果ててしまっていたのだ。
その異変に真っ先に気が付いた心奏は、思わず心の声を漏らしてしまう。
「不味いことになって来た。まさか次元の裂け目を生んでしまう程の高エネルギーを衝突させていたなんて・・・。だけど、早く彼女を救わねば、彼女は魑魅魍魎に呑まれ戻れなくなってしまう。」
心奏は、逸早く彼女に纏わり付いた魑魅魍魎を彷彿させる漆黒の靄を取り払おうと思考を巡らせる。
その間にも、黄泉津大神の周りには漆黒の靄が纏わり付き禍々しさが増していた。
それは、黄泉津大神も感じ取ってしまい内心でパニック状態になり事態が、より一層深刻なものへシフトしまっていたのだ。
だが、その状況を打破しようと心奏が画策して、ついに行動に移す。
「もう彼女を救う方法は、これしかない。一か八かだけどやるしかない!」
心奏は一瞬だけ限界値まで魔力を高めて、拮抗していた高エネルギー同士の衝突を押し切って黄泉津大神の方へ衝撃波の如く攻撃をぶつける。
攻撃を真っ正面から、喰らった黄泉津大神は声を出さずに苦痛に表情を歪め苦しむ。
そこへ、心奏の一か八か作戦をねじ込む。
「ごめん…。マリン…そして黄泉津大神。少しの間だけ持ち堪えて!蒼き龍の咆哮!!」
心奏が右手に集中させた魔力を一気に解き放つ。
そして、彼女の躰を吞み込み大爆発を起こし彼女は、部屋の床に倒れこむ。
そこへすぐさま駆け寄り彼女の体を持ち上げる心奏。
「もう終わったから大丈夫だよ。」
心奏は、彼女に優しく言いかけて部屋を出ていくのであった。
一方その頃・・・母の早紀と養護教諭の月夜見先生は、心奏からのテレパシーで事の重大さを知り大急ぎで、学園内の保健室に向かい心奏の到着を待っていた。
心奏は、保健室に向かいながら今回の事件の整理を脳内で行っていた。
「あまりにも急展開な事が起こりまくる事件だったな。あっ…そう言えば、僕今日バイトの日じゃん。思い切り戦っていたけど…。今着てる服、メイド服じゃん。なんで気がつかなかったんだ?でも、傷んだところとかほつれはないみたいだけど…。一応、お姉ちゃんに謝っておこう。」
心奏は、不意に思い出してしまっていたのだ。
今、自分は今日バイト基お給仕の日であって、お給仕に向かう前に、父の神翔に会ってそれから、学園で事件があったと連絡を受けて大急ぎで学園に駆けつけて、それから事件の要因の重大インシデントを取り払ったところまでは、良かったのだが。。。
着ている服は、お給仕先の制服のメイド服であり心奏はそのことをすっかり忘れていたのであった。
そんな独り言の様に呟いた声で、抱きかかえている彼女が目を覚ます。
「此処は…。何処…?えっ、なんであたしは"かな"ちゃんに抱きかかえられているの?」
そう小さく呟く声にホッとした心奏は、天使のような笑みを浮かべて声を掛けた。
「お帰りなさい。マリン。今は、じっとしていて。詳しいことは後で話すから今はゆっくり休んで。」
あまりにも優しく天使の囁きの心奏の声を聞いたマリンは、安堵の表情を浮かべてゆっくり目を閉じて気を失ってしまうのであった。
心奏は、保健室に到着するとマリンをそっとベットの上に寝かせた。
そして、月夜見先生と母の早紀にテレパシーで伝えていた事の重大さを今一度口頭で説明してから、マリンのことを二人にお願いして保健室を後にするのであった。
こうして、学園の周囲を巻き込んだ大きな一つ事件を解決したのだが。。。
この事件をきっかけに、心奏には別の魔の手がすぐにそこまで迫っていたのだが...
それに気が付くのはもっと先の事でありそして...
この街をこの世界を変えてしまう程の重大インシデントになるとは、知る由もないのであった。
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




