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第5話 顕現!【黄泉津大神】


20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…


その能力自体を悪用し心奏かなでたちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。


そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏かなで心湊ここみとその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。



心奏(かなで)到着まで後七分・・・


火の手は、(つぼみ)学園の範囲六百m地点までに達していた。


街中ではけたたましくサイレンが鳴り響き避難をする者が、地下街へと降りて皆が(つぼみ)学園の方へ歩みを進めていた。


心奏(かなで)到着を待つ母の早紀(さき)と妹の心湊(ここみ)は、学園内に居る教職員に事の重大さを伝えて学園地下の避難シェルターの解放並びに、避難者の受け入れ態勢を整えていた。


街では、消火活動の為にひっきりなしに消防車が行き交いあちらこちらで、消火活動を始めていた。


そんな時、心湊(ここみ)の持つ携帯端末に兄の心奏(かなで)から一報が入る。


心湊(ここみ)!後五分もすればそちらに到着出来る。それまでどうにか持ち堪えてくれ・・・」


心奏(かなで)は、用件だけを簡潔に言い残して電話を切った。


兄の心奏(かなで)からの連絡に少しばかりの安堵感を覚えた妹の心湊(ここみ)


だがしかし...妹の心湊(ここみ)は軽く自身の頬を叩き即座に真剣モードに切り替えて、母の早紀(さき)や学園の教職員のサポートに戻るのであった。


それと時を同じくして心奏(かなで)は、一分一秒でも(つぼみ)学園に向けて急いでいた。


「一応、心湊(ここみ)には連絡を入れたが…。一体何が起きているんだ?幾ら特殊なバリアで護られているとはいえ、莫大なエネルギー消費をするから持っても後十五分だから...マジで急がないとバリアが壊れて学園にまで火の手が回ってしまう。」


心奏(かなで)は、(つぼみ)学園にある特殊なバリアを張る装置に、莫大なエネルギー消費と耐久出来る時間を知っており一刻も早く到着せねばと、焦燥感に駆られているのであった。


そして・・・その間も学園の校庭では、幼馴染の三雲マリンが能力の暴走に苦しんでいた。


代わる代わるマリンの人格と黄泉津大神の人格が顕現して彼女自身を蝕んでいた。


「お願い・・・私の能力。収まってよ!これ以上皆を苦しめたくないよ…。」


マリンは、出てきそうになる黄泉津大神の人格に呼び掛けるのだが・・・


「黙れ!小娘よ。我は、この国を創造せし神ぞ。久方ぶりの世を堪能させよ!」


黄泉津大神の人格は主人格であるマリンを抑えつけて自身が前へ前へ出ようとしていた。


そして・・・マリンの人格が疲弊して弱くなりついに黄泉津大神の人格が、ほぼ優位になりかけたまさにその時であった。


「マリン!!!」


何処か安心できる聴きなじみのある声が学園の校庭に響き渡る。


苦しみに顔を歪めながらそっと顔を上げる彼女の前に、心奏(かなで)が到着したのであった。


心奏(かなで)は、辺りを見回し事の重大さを瞬時に理解を示して、マリンの方を向き声を掛けた。


「助けに来た。マリン…もう大丈夫だ。後の事は僕が引き受けた!」


“”助けに来た“”という心奏(かなで)の言葉を聞いて、少しばかりの安堵感を浮かべそっと目を閉じて校庭に降り立ちゆっくりと地面に倒れこむマリン。


それと同時に彼女を包み込んでいた火災旋風が収まりこれで、一件落着かと思われたその時だった。


体力的にも精神的にも疲弊したマリンの傍に、駆け寄り学園の保健室に運ぼうと心奏(かなで)が近寄った瞬間、突如として彼女自身をまた火災旋風が包み込む。


「まさか...」


心奏(かなで)が思わず言葉を漏らす。


そして・・・彼女の声ではない咆哮が学園の校庭に響き渡り天が黒雲に包まれる。


あまりの終末感を漂わせる空模様に、街中で消火活動にあたっている消防士をはじめこれから避難する人々が思わず空を見上げてしまう程に非現実的な状態になっていた。


すると、街中に広がっていた火の手がまるで噓だったかの様に、消え去り被害が範囲一㎞になる一歩手前で収まった。


だがしかし...(つぼみ)学園の校庭ではマリンの体を包み込む火災旋風がより一層強さを増していた。


「なんて熱さだ。これがマリンの能力だと言うのね。だけど、これは・・・」


目の前で起きる出来事に、言葉が漏れ出してしまう心奏(かなで)


その時だった・・・ゆっくりと彼女が立ち上がり心奏(かなで)の方に眼差しを向け口を開いた。


「我は・・・黄泉津大神。お主は、我がさはりすや?もしさはりせば…容赦ぞせぬ!」


心奏(かなで)の目の前で口を開き言葉を発したのは・・・マリンではなく黄泉津大神の人格であった。


だが・・・心奏(かなで)は状況理解が完全に追いつき今、起きていることを全て把握して彼女に声を掛けた。


「黄泉津大神?確か...イザナミ様の異名。だけど、マリンの身体を借りて顕現したということは、彼女に一体何をした?」


心奏(かなで)は、至って冷静に黄泉津大神に話し掛ける。


すると、黄泉津大神は自身を包み込んでいる火災旋風を収めて、心奏(かなで)に向かいある言葉を投げかけた。


「お主・・・我と戦へ!それが我が望みなり。もし望みを叶へし暁には、この小娘の体を返さむ。」


なんと、黄泉津大神...基、イザナミは心奏(かなで)と戦いと言い放ったのだ。


だが・・・心奏(かなで)は迷っていた。このまま黄泉津大神と戦えば、マリンは帰っては来るが・・・戦いの余波で再び、街に被害が出ることを危惧していた。


「戦うことについては構いませんが・・・これ以上この街に被害を出すわけにはいきません。そこで

一つ提案があります。この学園には例え核弾頭持ちえた激しい戦いを、半世紀行ったとしても傷一つ付かない程の耐久性を持った場所があります。そこでならお互いに遠慮なく戦えます。」


心奏(かなで)は、(つぼみ)学園にある特殊な場所での戦いなら引き受けると、黄泉津大神に提案した。


すると、黄泉津大神は大きく首を縦に振り心奏(かなで)の提案を快く受け入れた。


そして・・・心奏(かなで)は母の早紀(さき)にテレパシーで一連の流れを伝えて黄泉津大神を連れて(つぼみ)学園にある秘匿性のある特殊な場所へと向かうのであった。


心奏(かなで)は、どうにか街中に広がる被害を最小限に食い止めることができたのが…マリンの能力【黄泉津大神】が人格として彼女の体を借りて顕現した。


そして、【黄泉津大神】は、心奏(かなで)と戦いたいと自らの望みを口にしてそれを心奏(かなで)が引き受けるという条件で、今回の事件に解決の兆しが見えたのだが。。。


この事件をきっかけに心奏(かなで)をはじめ妹の心湊(ここみ)...そして、この世界を巻き込んだ事件が起きるのであったが、この時の心奏(かなで)たちは全くもって知る由もないのであった。。。


何時になれば、差別や奇怪な眼差しを向けられずに過ごせるのだろうか...否定ばかりの人生じゃ何も楽しくない。何事も快く受け入れられた時こそが。。。人間としての成長なのかもしれない。

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