第35話 天命を授けられし名も無き聖少女
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
聞き覚えのある声と共に、巨大なエナジーボールが大爆発を起こしてその爆風による嵐が、大地に吹き荒れる。
力を使い果たして地面に倒れてしまっている神翔とレンをも爆風の被害を受けてしまう。
そして、爆風の嵐が過ぎ去り土埃が落ち着くと・・・
一時期は、生死の淵に立たされてそこから復活を果たした心奏が、姿を現した。
勿論の事、心奏は普段の姿なのだが…。
その姿にも違和感を感じてしまう程に、非常に冷静沈着な様子で烏丸を見つめていた。
「その力が、全力か・・・。」
心奏はボソッと呟き、目にも止まらぬ速さで烏丸の目の前に移動する。
だが…打って変わって、烏丸はいきなり自身の攻撃が阻まれて尚且つ、一度倒した人物が目の前に居る状況に、一瞬思考がフリーズしたが即座に我に返って、ほんの少しだけ後方へ後退りしてしまう。
「き、貴様は…。心奏なのか?どうやってあの状況から復活した?やつがれは今まさに、幻覚を見ているのか・・・。」
烏丸は、心奏が復活している状況に自身が幻覚を見ているのかと疑心暗鬼に、なってしまう位に今現在、目の前の出来事がイレギュラー過ぎたのだ。
しかし...心奏は、烏丸から投げかけられた疑問にも冷静に応える。
「確かに信じ難い現実なはず・・・。一度私は、死んだ。だが…天は私に第二の人生を与えてくれた。それが今の私だ。そして、今から始まるのは単なる大決戦ではない。烏丸...貴方の様な唯一神になりたいと言った独裁者を止める為に、戦う名も無き一人の戦士。」
冷静にかつ淡々と語りだす心奏。
そして、どんどんと心奏とは相反する心理状態へ移行しつつある烏丸。
すると心奏は、烏丸の見せた一瞬の隙を見逃さなかった。
”うっ”。という小さな呻き声を上げて、心奏からすかさず距離を取る。
「貴様!!」
烏丸は、思わず声を上げたが・・・
その瞬間には既に、心奏は烏丸の視界から姿を消して烏丸の背後から、重い一撃を喰らわす。
勿論の事、烏丸は防御する事さえ許されない状況で、心奏からの重い一撃を諸にその身に受け近くの岩山へ衝突する。
その光景を離れた所から傍観する神翔とレンは、開いた口が塞がらなかった。
その理由は、勿論の事今まさに目の前で起きている受け入れ難い事実、故の事であった。
だが…それは、烏丸も同じく受け入れ難い事実であった。
そして、烏丸は唯一神になるという野望が今まさに、目の前に居る心奏という人間を葬り去ると言うものに変わってしまう。
「フフッ…。貴様はやつがれの逆鱗に触れたな。貴様はやつがれの手で葬り去ってやる。」
烏丸は怒りに感情を支配されてしまい感情任せに、心奏に対して猛攻撃を仕掛ける。
対して心奏は、烏丸からの猛攻撃を捌きながら、訪れるであろう一瞬の隙を伺っていた。
「真・聖少女モード!」
心奏の叫び声と共に、心奏を白銀の光が包み込む。
遂に、心奏は烏丸からの猛攻撃を捌きながら、覚醒した能力を解放したのだ。
そして、烏丸の怒りに任せ振り下ろした拳を受け止め、そのままの勢いで背負い投げをして地面に烏丸を叩きつける。
だがしかし・・・烏丸は、その顔に笑みを浮かべていたのだ。
しかもその笑みは、まるで勝ち誇ったかの様であった。
「さぁさぁ、もっとやつがれを楽しませてくれよ。」
既に狂気じみた発言を咄嗟の判断で理解した心奏は、攻撃の手を止めて離れる。
烏丸から離れて心奏は、あるひとつの答えに辿り着いてしまっていた。
それは・・・今相手にしている相手が、不死身であるというものだ。
そして、おもむろに心奏は神翔とレンにテレパシーを飛ばして会話を試みる。
(父さん。そして、レン。聞こえているかな?いきなりで悪いのだけれど、私が時間を稼ぐから二人の力を合わせてアレをやって欲しいの。貴方たち二人だけが、扱えるアノ大業をね。勿論の事、限界を既に超えているのは、周知しているけどね。でも、烏丸を対処できるモノが今はソレしかない。だからこそ、貴方たち二人の力を借りるね。本当にいつも一方的でごめんなさい。)
心奏は、神翔とレンにテレパシーで会話を終えてから、幾ら攻撃をしても不気味な笑みを浮かべるだけの烏丸を相手に時間稼ぎする覚悟を決めて、再び攻撃を再開するのであった。
心奏からのテレパシーを受け取った神翔とレンは、躊躇っている時間は無いと悟り仕方なくテレパシーで情報を共有していた。
(”かな"の父ちゃん?聞いた今の内容…。どうですかやれそうですか?アノ大業。)
(レン君…。俺は...覚悟を決めたぞ。むしろ”かな"が、あの判断を下したって事は只事ではないって事だから…。俺はやるさ。アノ大業をね。)
(了解!俺も覚悟決めたので…やりますか…。アノ大業を)
果たして、神翔とレンそして、心奏が言っていたアノ大業とは一体・・・
そして、幕を開けた想像を絶する大決戦の行方や如何に…。
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




