第34話 神格化【GOD】のその先へ
究極的融合...それは、二人の力を一つの肉体に集約させて究極生命体へ進化する大技。
だがしかし...その大技にも、それなりの犠牲を伴う。
使った者に、七割の確率で突発性性転換症候群という副作用が起きるという点だ。
それでもなお、今の現実世界の心奏は、その大技を使わねば現状の力量では到底、烏丸の力量の足元にも及ばないと理解していた。
それは・・・今現在、神格化を使って戦いを繰り広げている実の父親の神翔、そして、古き良き友人である水瀬レンに対しても、本気で戦ってないという事実があったのだ。
そして、烏丸は遂に、十割...百パーセントの力を解放すると二人の前で宣言して、能力を解放する。
今現在、この地に居る者全てが身震いしてしまう程に、強大で圧倒的力量差であり尚且つ、誰もが脳内に浮かぶ言葉があった。
それは・・・“”勝てる見込みが見えない“”と言うものだ。
そんな悲観的な考えをこの地に居る者全てが、共通認識してしまう程に烏丸は
異次元の存在へ成り果ててしまった。
だが・・・神格化を使っている二人は、心奏が復活するまで耐えなきゃいけないという使命感だけで、半ば強制的に震え上がる身を動かしていた。
「"かな"が復活するまで、倒れるわけにはいかねぇんだ。そうだろう?"かな"の父ちゃん。」
「勿論だ!レン君。俺の可愛がって来た"かな"の為だ。俺だってとことんやってやるさ。この身が持つ限りはな。」
神翔とレンの使命感の強さを伺える言葉なのだが・・・
百パーセントの能力を解放した烏丸は、言葉一つ発する事なく神格化を使っている二人に、目にも止まらぬ速さでの不意打ちを叩きこむ。
"うっ”という小さな呻き声を上げて、吹き飛ばされる二人。
ドガーンと何かに衝突したであろう轟音が、響き渡る。
「ハハハハハ。百パーセントの能力を解放したやつがれの前に、後何回立ち向かえるかな?御二人さん?いい加減負けを認めたらどうかね。でないとその身が持たぬぞ。」
烏丸は、圧倒的力量で優位に立っている為か、強者の余裕と言うものなのか妙にハイな状態になっていた。
「っち…。とことん容赦ねぇ親父だ…。だが・・・その年齢からしたらその能力…。何時か、限界が来るぞ。」
「これが、百パーセントの能力を解放した”かな”の爺様か…。重すぎるぜ毎度の攻撃がな。だけど、俺だってやるときはとことんやらんと気が済まない。俺の大好きな”かな"にあんな事してくれたんだ。俺は...俺は...こんなところで負けを認めるわけにはいかない!!」
神翔とレンは、烏丸からの重すぎる不意打ちを喰らってもなお、心奏が復活して戻って来るまで耐え抜いてやるという使命感で、身をふるいだたせていた。
だが・・・またしても二人が視認する速度よりも早く、烏丸の次なる一手が繰り出されようとしていた。
「この業に耐えられるかな?」
烏丸のその呟きと共に、巨大な魔力の塊・・・言わば、エナジーボールを作り出していた。
その大きさたるや、ガスを貯蔵しておくガスタンクのおよそ十倍はありそうな大きさの巨大なエナジーボールを頭上に作り出して、二人目掛けて振り下ろす。
“”ゴゴゴゴゴ“”と圧倒的質量と圧倒的魔力の塊が、ゆっくりゆっくり二人の元へ接近する。
そんな状況でもなお、二人の使命感に一切の揺るぐことなくむしろ、巨大なエナジーボールを受け止めてやると言わんばかりに、神格化の限界突破しようと気合いと魔力を高める神翔とレン。
『護るべき使命感がある俺たちを舐めるな!!!!』
『限界突破だぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
高め切った気合いと魔力が、超えてはならない一線を越えて神翔とレンは遂に、神格化・限界突破を果たす。
萌黄色のオーラが、二人を包み込み稲妻が、迸る。
そして、巨大なエナジーボールと二人が接触した瞬間・・・。
音が消えてまるで時が止まったかの様に、静寂に包まれたと思った矢先に、突風が吹き荒れる音を皮切りに消え去っていた音が、帰ってくる。
「さぁ、そのまま息絶えるが良い。足搔けば足搔く程にその身を負の茨が突き刺さるぞ!」
烏丸の圧倒的強者感の余裕ある言葉で、闘志に炎が着く。
『何が、唯一神になるだ?ふざけるな!寝言は寝てから言え!』
神翔とレンが、巨大なエナジーボールを押し返すのだが・・・。
フッと鼻で笑った烏丸は、パチンと指を鳴らす。
すると、巨大なエナジーボールが更に大きくなり始めて二人を押し返し始める。
「やばい...力が…。」
レンが思わず弱音を零した次の瞬間だった。
烏丸の所有する館の方から、白銀の光の柱が立ち昇り烏丸が、その光景を目撃する。
「なんだ?やつがれの館から立ち昇るあの光は?」
烏丸がポツリとそう呟いたまさにその瞬間、烏丸の集中力が若干弱まった事に気が付いた神翔とレンがありったけの魔力と共に気合いを込めて、巨大なエナジーボールを押し返す。
『よそ見してんじゃあねぇよ...独裁者がぁぁ!!』
二人が残された力を振り絞って巨大なエナジーボールを押し返すと烏丸も予想外の出来事に、戸惑いを魅せる。
だが・・・残された力を振り絞ってしまった神翔とレンは、強制的に能力を解除されてしまい立っている事がギリギリな位に、消耗していたのだ。
しかし...巨大なエナジーボールは未だ健在な為、神翔とレンは絶望の淵に立たされていた。
「もう...無理だ。済まないレン君…。」
「俺も…。限界だ。悪いな"かな"の父ちゃん。」
神翔とレンは互いに言葉を交わして、地面に倒れこむ。
その様子を見ていた烏丸は、今がチャンスだ!と巨大なエナジーボールを二人目掛けて蹴り飛ばす。
「次元斬!!」
何処か聞き覚えのある声が響き渡ると同時に、巨大なエナジーボールが真っ二つに割れて大爆発を引き起こした。
果たして、神翔とレンを助けた者は一体何者なのであろうか...
そして、その救世主の正体や如何に。。。




