第23話 時空の歪みと時空を繋ぎし扉【ポータル】~輝夜とカトレア ルート編~
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
心奏と幼馴染の三雲マリンと千歳輝夜と心奏の姉のカトレアの四人は、常盤市に出現した時空を繋ぎし扉【ポータル】を調査を二人一組のペアに分けて行う事に・・・
心奏とマリン。輝夜とカトレアの二手に分かれて調査に乗り出した。
先に、心奏とマリンが常盤市のシンボルマークである電波塔に出現した時空の歪みと、時空を繋ぎし扉【ポータル】を調査に行動を開始しており、それに少々遅れを取るカタチで輝夜とカトレアが常盤市の西端にある海岸へ向けて、歩みを進めたのである。
カトレアは、街が大混乱に陥っていることを逆手に取り、輝夜の手を引き人気の少ない場所へ移動していた。
「ごめんね。輝夜ちゃん。流石に、街中で餓者髑髏を呼び出すわけにはいかないからね。もう少し移動したらそこで、餓者髑髏の力を借りるよ!」
カトレアは、そう輝夜に言い聞かせながら、兎にも角にも人気の少ない場所を目指して、歩いていた。
輝夜とカトレアの二人が歩きだしてから、約十五分後・・・
周りを見渡しても人気がない事を確認したカトレアは、餓者髑髏を召喚したのであった。
「さぁ、力を貸して貰うわよ!我が才此処にあり・・・出でよ餓者髑髏!」
カトレアは、地面に魔法陣を召喚して餓者髑髏を呼び出す。
すると、魔法陣から黒い靄が漏れ出してきたかと思ったが矢先、黒く燃え盛る光の柱が魔法陣から立ち上り不敵な笑いを零しながら、大きな骸骨が現れる。
「姐。此度はいかなる件に、我呼びいだしけり?」
餓者髑髏が、カトレアに話し掛けるのだが・・・
その横では、千歳輝夜がカタカタと小刻みに震えていた。
輝夜は以前にも、餓者髑髏と会ってはいるのだが、如何せん輝夜は妖怪や妖の類には、めっぽう弱いという意外な弱点があったのだ。
だが・・・その様子は、カトレアには勿論の事、餓者髑髏にも見られており、輝夜は一言も発することが出来ずにいたのだ。
「あっ。今回呼び出したのは・・・その…。此処から西に約二十㎞行った所にある海岸を目指しているのだけれど、如何せん街は大混乱に陥っているが為に、移動手段が絶たれてしまったの…。だからこそ貴方に力を貸してもらおうと呼び出したの。」
カトレアは、餓者髑髏に呼び出した理由を事細かに伝える。
すると、餓者髑髏はそっと右手を差し出して”ここに乗って”とジェスチャーでカトレアに伝えて、カトレアは小刻み震えている輝夜に近付き、頭を撫でて”怖くないよ”と諭して、ようやく動けるようになった輝夜をお姫様抱っこで抱き抱えたカトレアは、餓者髑髏の差し出した右手に乗り餓者髑髏へ合図を送る。
「では、向かふぞ姐。そなたの娘には、さても言ふべきや・・・我がさま畏からむ。それに関せば申し訳なし。」
餓者髑髏は、輝夜が怖がっている事を分かっており申し訳ない気持ちになってしまい、怖がらせない様に輝夜に謝り、ゆっくりと大きな体を動かして目的地である常盤市の西端にある海岸へ向かったのである。
幾ら餓者髑髏に乗っているにしろ二人が落ちないように、慎重に目的地に向かっているが為に、少々時間を要したのだが・・・
餓者髑髏とカトレアは、テレパシー意思疎通を図り、どの様な計画で行動をするかと様々な作戦を企てていた。
カトレアの事を"姐”と読んで慕っている餓者髑髏・・・
餓者髑髏は、カトレアと出会うまでの間、これでもかと壮絶な扱いを受けて人々に忌み嫌われていたのだが、カトレアだけが唯一餓者髑髏を心の底から、救ってあげたいと思い行動を起こした人物なのだ。
何十年も何百年も忌み嫌われていた餓者髑髏に、優しく手を差し伸べた心優しき姉カトレアがいたからこそ、今があるといっても過言ではない。
その様な感じで、カトレアと餓者髑髏は思い出に浸ったりしている間に、気が付けば目的地の海岸へ到着していたのだが・・・
海岸は普段通りの姿を見せているが、そこに一箇所だけ空間の裂け目とも時空の歪みとも言えない様な異質な場所があったのだ。
目的地に着いたということもあって、餓者髑髏の右手から降りた輝夜とカトレアは、時空の歪みが起きている異質な場所へ向かい、そこで餓者髑髏に改めてお礼を述べてから、空間の裂け目の前で待っていて欲しいと餓者髑髏へお願いをすると、OKサインを出して"姉どもが、戻り来るまでここに待てり。憂へゆききたまへ”と優しく餓者髑髏は、カトレアと輝夜に語り掛ける。
それからいざ、覚悟を決めて輝夜とカトレアは空間の裂け目へ歩みを進めたのであった。
一体・・・どれくらいの時間が流れたのか。
ふと気が付くと、二人は見覚えのある場所へ辿りついていたのだ。
「此処は・・・私立蕾学園?」
輝夜が見ている視線の先には、普段現実世界でみる私立蕾学園がそのまま建っていたのだが・・・
明らかにおかしな点が即座に理解できてしまったのである。
それは・・・別館の横に建っている真新しい校舎、そして校舎に掲げられている開校年数が、現実世界では百二十年あるのに対して、開校九十七周年と書いてあったのだ。
その瞬間、カトレアは察してしまった。現実世界より二十三年前。。。つまり、カトレアが産まれる一年前であり、心奏の産まれる五年前、そして...心奏の妹の心湊が産まれる七年前だという事を理解してしまう。
現在、心奏と心湊とカトレアの生みの親で育ての親である御堂早紀は、四十歳である為、姉カトレアを授かる約一年前の世界に来てしまっていたのだ。
カトレアは十八の秋に、心奏は二十三の冬に、心湊は二十五の春に生まれている。
それを踏まえて、今カトレアと輝夜が居る世界は、早紀が高校生の時代でありカトレアは決して存在してはいけない世界だということが分かる。
だが・・・この世界にも、何かしらの影響があって開いてしまった為、その要因を調査しなければならない事に...
しかし...それも二人が思っている速度の倍の速さでやって来たのだ。
輝夜とカトレアが二十三年前の私立蕾学園にやって来てから僅か、三十分後・・・
私立蕾学園の近くに、怪しげな靄が掛かり先程まで歩いていた人々が、忽然と姿を消して気が付くと輝夜とカトレアと謎の少女・・・そして、怪しげな雰囲気を醸し出す人物だけが居たのであった。
「人が消えている・・・ねぇ、茉莉花ちゃんは何処?」
謎の少女が、辺りを見渡し繰り返し茉莉花ちゃんと呼んでいる。
カトレアは、その茉莉花ちゃんと言う名前で、今目の前にいる謎の少女が二十三年前の母の早紀である事を認識するのだが・・・
急に、悲鳴が聴こえその方向を見るとそこには・・・謎の雰囲気を醸し出す人物に、襲われている若かりし頃の早紀の姿があったのだ。
「てめぇ!その娘に何しやがる!」
カトレアが言い放った時には、既に謎の人物の鳩尾に正拳突きをお見舞いしていたのだ。
だが・・・謎の人物は、若かりし頃の早紀を突き飛ばすと懐から刃渡り二十センチはあろうと思しき包丁を取り出す。
突き飛ばされてしまった若かりし頃の早紀は、怪我一つなく輝夜が身を呈して受け止めており無事であった。
しかし...カトレアは、目の前の人物のやった事にマグマの如く煮えたぎる怒りを覚えてしまい。
「そんな包丁如きで、私に挑もうなんて身の程知らず目!てめぇの奴は許してはおけない!てめぇの様な女の敵はなぁぁぁぁぁ!」
カトレアは、包丁持って突っ込んでくるのを逆手に取り、左腕に魔力を込めて振り下ろされる包丁を受け止め、すかさず右手で相手の顔面に乙女の怒りを込めた鉄拳を打ち込んで、相手を殴り飛ばしてしまう。
一瞬の出来事に若かりし頃の早紀と千歳輝夜は、目を丸くして見入ってしまうが・・・
「カトレアちゃん左腕!血が出てるよ。」
輝夜の言葉で左腕を負傷している事に気が付いたカトレアは、そのことを気にも留めずに殴り飛ばした相手の元へ向かい胸倉を掴み近くの壁にドンと叩きつけて、何者なのかと吐かせようとするが・・・
相手に無言を貫かれてしまい更に怒りが湧いてきたカトレアは、最終手段に出る。
「てめぇ、黙っていないでなんか言えよ!このクソガキが!!!」
思い切り殴ろうと右手を振りかぶった瞬間、ぼそりと相手が呟く。
「お前たちは、時期に滅ぶ。我がボスである人物によってな!もう泣いて謝っても遅い。K様は偉大なお方だ!」
なんと、カトレアが相手をしている人物があまりにも重大な事を話したのだが・・・
カトレアは、全てを聞き出してから一瞬だけ力を抜いて、謎の人物を開放した。
すると、謎の人物は煙幕をカトレアたちに向けて投げつけて逃走を図るのだが、カトレアは相手の位置を気配だけで探り当てて、どれだけ逃げても無駄な状況を作り出す。
「ごめん。輝夜ちゃん。その娘を学園の入口まで送り届けて貰ってもいい?此処から先は、あまりにも見させられる様なものじゃあないから。」
カトレアは輝夜に、若かりし頃の早紀を学園の入口まで送り届けて欲しいとお願いをして、再び気配を頼りに例の人物を探り当てて、決着を付ける事に・・・
その間に、輝夜は若かりし頃の早紀を学園の入口まで送り届けて、カトレアの元へ向かおうとしたのだが...
「ありがとう助かったわ。ねぇ?あなたたちは一体・・・」
若かりし頃の早紀に問われてしまうのだが・・・
去り際に、輝夜は"名も無き偽善者よ”と言い残して、その場をあとにしたのであった。
一方、カトレアの方は例の人物を見つけて追い詰めていたのだ。
「おい!てめぇのボスに、言っておけ!てめぇの思い通りにはいかないとな!」
そう言い放ったカトレアは、容赦なく相手の心臓辺りに特大の衝撃波を喰らわせて、相手を地面にひれ伏させて、"さようなら女の敵!”と言い残して、右手に溜めた膨大な魔力をゼロ距離で放ち跡形もなく例の人物を消し去ってしまったのだ。
そこへ遅れて到着した輝夜に、笑顔で一言
「やっちゃった。てへっ」
それだけ言って、何事もなかったかのように輝夜の手を引いて、時空を繋ぎし扉【ポータル】を探し出して無事に時空を繋ぎし扉【ポータル】を見つかり、そのまま中へ足を踏み入れる。
すると、入ってきた時と同じ場所に戻ることに成功して、無事に現実世界へ帰還する事が出来たのであった。
こうして、輝夜とカトレアの時空の歪みと時空を繋ぎし扉【ポータル】の調査を終えたのだが・・・
現実世界の私立蕾学園でも、まさかの出来事が起きているとは知る由もないのであった。
果たして、現実世界の私立蕾学園で起きているまさかの出来事とは、一体・・・
そして、カトレアが消し去った人物が言っていたボスの名前のイニシャル、Kとは誰を指示しているのであろうか。。。
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




