第22話 時空の歪みと時空を繋ぎし扉【ポータル】~心奏【かなで】&マリンルート編~
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
心奏が、意識を取り戻してから約二週間が経過した、
能力燃え尽き症候群の重篤な症状に陥ってしまい二度目の生死を彷徨った心奏。
それから、私立蕾学園に侵入した者たちの侵入経緯に、ついては全くと言って検討が付かずにいた。
だが...平穏な日々も二週間しか保つことが出来ずに、今度は常盤市に於いて、至る所で時空の歪みが確認されてしまう事案が発生した。
初めに、時空の歪みが確認されたのは、常盤市のシンボルマークにもなっている電波塔の真下に、突如として、時空を繋ぎし扉【ポータル】が現れては、消えるという謎現象が頻発して、今現在は立ち入り禁止となっている。
次に、時空の歪みが確認され場所は、常盤市の西端で海岸の近くに時空を繋ぎし扉【ポータル】が出現したのだ。
今回の時空の歪みの発生事案は、簡単な問題では済まされないものだ。
ただ単に、時空を繋ぎし扉【ポータル】が出現しただけではなく周りの空間自体が歪んで、時間の流れが異常だというのだ。
しかもその付近では、現実世界での一分が約三十倍の速さで流れており、一分が三十分になるという異常が確認されている。
勿論の事、街中では大騒ぎとなり警察が日夜を問わずして、異常が確認された場所半径約百メートルに規制線を張る等の措置を講じなければならない程に、常盤市全体が大混乱していた。
物流、公共施設、公共交通機関も、更には医療機関にも影響が出始めていたのである。
そんな大混乱を迅速に治める為に、心奏と幼馴染の三雲マリンと友人である千歳輝夜、そして心奏の姉のカトレアの四人で、手分けして時空の歪みそして、時空を繋ぎし扉【ポータル】を見つけ出して、元凶を炙り出して事態の収束へと動き出した。
二人一組で手分けして迅速な対応を取るという流れになり、心奏は幼馴染の三雲マリンと共に行動して、千歳輝夜とカトレアで心奏たちが向かう方向とは、反対側から迅速に対応することとなった。
まず最初は、心奏と幼馴染の三雲マリンのペアから先に行動を起こした。
心奏とマリンは、常盤市のシンボルマークである電波塔へ急いで向かうと、案の定塔の真下に時空を繋ぎし扉【ポータル】が出現しており、二人は躊躇わずに中へ入っていった。
― 荒れ果てたもう一つの常盤市 ―
時空を繋ぎし扉【ポータル】を抜けると、廃墟群が建ち並ぶ今にも倒壊しそうな住宅街に出たのだ。
心奏は、辺りに目を凝らして様子を伺って場の状況を把握するのだが・・・
聴こえてくるのは、風の音と謎の金属音だけであったのだ。
「やはりここは、廃れてしまった常盤市・・・しかも現実世界で僕たちが住む住宅街にそっくりだ。」
心奏は、妙な既視感を覚えて、辺りをもう一度隈なく探ると、今現在二人が居る場所が現実世界に於いての生活圏であり、二人が住む住宅街に瓜二つなのだというのだ。
だが・・・共に来ていたマリンが、時折聴こえてくる金属音に恐怖心を感じ始めていた。
心奏の隣で、ビクビクと金属音が鳴り響くたびに、怯えてしまい心奏は、いち早く金属音の正体を確かめる為に、マリンの手を引き足早に、行動を起こした。
すると、住宅街の中を彷徨う事、十五分・・・
「あっ」
思わずマリンが、声を出してしまい咄嗟の判断で心奏が、口を塞ぎ物陰に隠れ様子を伺う事にしたのだ。
物陰に隠れて様子を伺うと、心奏はボソッと呟く様に言った。
「あの機械兵を倒さないと此処から先には、進めないな。体力は出来るだけ温存しておきたいから・・・アレを使うしかないな。」
ボソッと呟く様に言った心奏は、マリンを物陰に避難させた状態で、目視で約百メートル先に居る機械兵の元へ特攻を仕掛けたのだ。
その間、マリンは機械兵の動きを物陰から監視して、逐一心奏にテレパシーで情報伝達をして意思疎通を図る。
心奏が神風の如く住宅街を走り抜けると、機械兵は心奏の存在に気が付いて、装備されている機関銃を心奏に向かって乱射してくるのだが・・・
心奏は、飛んで来る弾道を五手先まで未来視して、魔力の消費量が少ない武器の具現化を行い、普段聖少女の能力で使う剣を素の状態で具現化させて、飛んで来る機関銃の弾を避け時折、剣で銃弾を斬りながら機械兵へ向かい特攻を仕掛けるというマルチタスクを行っていた。
「この程度じゃあ、リハビリにもならない。」
傍から見れば、常人では決してできない偉業・・・未来視+武器の具現化+剣で銃弾を切るという行為を”リハビリにもならない”と言って愚痴を零してしまいながら、やってのけてしまう心奏心奏。
みるみるうちに、機械兵との距離を縮めた心奏は、至近距離からの機関銃の乱射すらも回避してしまい遂には、右手に魔力を少しだけ込めて機械兵を殴りとばしてしまい、最終的には具現化させていた剣を機械兵に向けて投擲して、一撃で機械兵の弱点のコア諸共破壊する事に成功したのであった。
すると、マリンが物陰から出て心奏の方に駆け寄って来たのだが・・・
心奏は、ゆっくりと目を閉じて時空を繋ぎし扉【ポータル】から、感じる魔力を探る。
「微量な魔力を感じる・・・この程度だと此処から約二㎞は離れているな。」
ボソッと呟く様に声を出した心奏に、幼馴染の三雲マリンが抱きつく。
だが・・・心奏は手慣れた様に、マリンをお姫様抱っこして走り出したのだ。
いきなりの出来事に、困惑している幼馴染の三雲マリンであったが...
それにすら気にも留めることないまま心奏が走りながらマリンにとある重大な事を伝える。
「ごめん。少しの間我慢してて。後、今回はどうやらハズレを引いてしまったようだ。あっちがどうなっているかは分からないけど、一旦この世界から脱出するよ。二㎞先に、時空を繋ぎし扉【ポータル】があるからそこまで、急ぐからね。」
淡々と、マリンに重大な事を伝えていたのだが・・・
当の本人は、心奏にお姫様抱っこされているという状況で、頭の中がショートしかけていたのであった。
それから走ること十五分で、時空を繋ぎし扉【ポータル】の目の前までやって来た心奏と幼馴染の三雲マリンは、入って来た時と同様に何の躊躇いもなく時空を繋ぎし扉【ポータル】へ入っていくのであった。
しばらくして、時空を繋ぎし扉【ポータル】から抜けると常盤市のシンボルマークである電波塔の真下に居る事に、気が付き無事に現実世界に戻って来れた二人であった。
だが・・・心奏は今回入った時空を繋ぎし扉【ポータル】はハズレと言っていたが、まさかその発言が予想だにしない出来事を進める為の重要な鍵であるとは、知る由もないのであった。
果たして、心奏の言っていたハズレとは、一体・・・
そして、輝夜とカトレアの二人の時空を繋ぎし扉【ポータル】は、果たして何処へ繋がりどんな物語になるのであろうか。。。
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




