第21話 姉のカトレアを救い者現る!
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
心奏を襲った能力燃え尽き症候群・・・またの名をオーバーヒート。
前触れもなく突然やって来た。
そして、心奏を襲った能力燃え尽き症候群は、類をも居ない程の重篤な症状であり尚且つ、現状で数例しか確認報告が、寄せられていないという非常に稀有な症状であった。
だが・・・安静にしておくべき状況下に於いて、私立蕾学園に謎の侵入者が訪れた。
それは、黒一色に身を包んだ謎多き人物たち総勢五十人であった。
勿論の事、謎の五十人の偵察に名乗りを上げたのは、偶然にも用事で私立蕾学園を訪れていた心奏と心湊の姉であるカトレアであった。
彼女は、気配を消しながら校庭近くの用具倉庫に身を潜めて、外の様子を伺っていた。
カトレアが用具倉庫に身を潜めてから、約十分も経過したが・・・
未だ、謎の五十人に動きは見られなくむしろ身動きひとつと取っていない様子であった。
「あいつ等、一体何が目的なんだ?」
カトレアのボソッと呟いた独り言が、用具倉庫に木霊した。
すると、謎の人物たちの中の一人が、用具倉庫の方を見ている事に、姉のカトレアが気が付き咄嗟に窓際から離れて身を伏せた。
「まさか・・・ばれたか?」
カトレアの独り言の様な呟きから間もなく、用具倉庫に轟音が響き渡る。
そして、咄嗟の判断で姉のカトレアは、身を潜める事を止めて総勢五十人を相手取る事を決意した。
姉のカトレアは、気配を消しながら動いても意味はないと見解を下して、むしろ敵意を剝き出しの状態で、校庭へ歩みを進めた。
「おい!てめぇ等。この学園に無断で侵入しておいて只では帰さんぞ!」
姉のカトレアの怒号が、私立蕾学園の校庭に響き渡り穏やかに吹いていたそよ風がピタリとやむ。
すると、姉のカトレアは謎の人物の一人が襲い掛かって来るのを直感で感じひらりと避けてかわして、重い一撃を入れようとするのだが・・・
すうーっと、襲い掛かって来た人物の身体を姉のカトレアの拳が貫き思わず声を上げてしまう。
「此奴、実体が無い?まさか・・・」
姉のカトレアの思考に一瞬の迷いが生じた瞬間、姉のカトレアは身体に衝撃を感じた時には、後方へ飛ばされて私立蕾学園の別館に衝突してしまう。
だが・・・姉のカトレアは、ニヤリと不気味な笑みを浮かべて立ち上がりグッと拳に力を込める。
「この世界線の住人ではないか…。なら、こちらとしても好都合だ!」
姉のカトレアは、自身の能力を解放して、異名である"鬼のカトレア"の姿へ変化する。
勿論の事、その光景を見ていた残りの四十九人が、一斉に姉のカトレアへ襲い掛かるのだが・・・
鬼のカトレア状態になった姉のカトレアにとっては、朝飯前とも言わんばかりに、拳に魔力を込めた状態で次から次へとサンドバックの如く殴り掛かりバタバタと、襲い掛かってきた者たちを殴り倒す。
「てめぇ等の様な奴は、次元の壁があるからな。だが・・・もう容赦せん。全力で掛かって来な!侵入者たちよ!」
カトレアの目に、闘争心の炎が燃え盛りまるで、日々のストレス発散と言っても過言ではない位に、次から次へと侵入者へ制裁を下すのだが・・・
何度も何度も殴り掛かってはいるのだが、全くと言って侵入者たちの勢いは収まるどころか、むしろ姉のカトレアが押されている状況へ成り果て、形勢逆転されてしまう。
姉のカトレアも闘争本能をとことん燃やして応戦していくが、次第に息を切らし始めて疲労が垣間見える。
「何なんだ?こいつ等、体力はおろかスタミナという概念がないのか?倒しても直ぐに起き上がって来るし、めちゃんこ腹立たしいわ。」
姉のカトレアは、侵入者たちが全くと言って体力切れはおろかスタミナ切れすらも起こしていない事に、はらわたが煮えくり返りそうになってしまう。
だが・・・その状況でも、姉のカトレアは何者かの膨大な量の魔力を感じ取り思考を巡らせる。
「誰の魔力だ?」
思わずボソッと呟いてしまった次の瞬間、下から突き上げられる感覚を覚えた姉のカトレアは、後方へ後退りした。
すると、私立蕾学園の本館の方から膨大な量の魔力を感じたかと思いきや、瞬きをした時には姉のカトレアの目の前に、膨大な魔力を感じさせる者が居たのだ。
だが・・・その膨大な魔力を感じさせる者を見た姉のカトレアは、思わずボソッと呟いてしまう。
「"かな”?」
それもそのはずあり目の前に居る膨大な魔力を感じさせる者は、なんと実弟の心奏だと言うのだが・・・
姉のカトレアは、思考再び巡らせてしまったのだ。
実弟の心奏は、今現在意識不明であり尚且つ、地下の会議室を改造した仮設の医務室に居るはずなのだからこそ、今姉のカトレアの目の前に居る人物は、一体何者なのだと・・・
すると、その心奏らしき人物は、ゆっくりと口を開き語りだす。
「何奴だ?我が眠りを妨げる不届き物は・・・。」
語りだした完全に声は、心奏なのだが・・・何処か虚ろな目で、其の眼差しには光が宿っていない。
そして、心奏らしき人物は、フッと敵陣の中心部へ移動したかと思った次の瞬間、目にもとまらぬ速さで、敵陣を蹴散らす。
あまりの非現実的な状況に、姉のカトレアの思考が止まりかけそうになったのだが、そこへ月夜見先生からの連絡が入り、我を取り戻す。
〔カトレアちゃん!心奏君が意識を取り戻したわ。用事が済んだら、地下まで来て!〕
月夜見先生は、心奏の意識が戻ったとカトレアに連絡をしてきたのだが・・・
カトレアは再び、目の前で起きている事に、言葉が出ずに固まってしまった。
すると、心奏らしき人物は軽く拳に力を込め侵入者たちへ殴りかかると、次の瞬間侵入者たちの体は灰のように消え去ってしまい総勢五十人と居た侵入者たちは、跡形もなく消え去り校庭に残ったのは・・・
姉のカトレアと心奏らしき人物の二人であった。
そして、心奏らしき人物が姉のカトレアの方を見て呟く。
「早く、心奏の元へ行ってあげなさい。」
姉のカトレアに告げると、すうーっと霧の様に消え去ってしまったのだ。
勿論の事、姉のカトレアは数分間動けずに居たのだが、ハッと思い出したかの様に、校庭を後にして地下の会議室へ向かうのであった。
姉のカトレアが、地下の会議室へ着くとベットの上で半身を起こした状態で心奏が、姉のカトレアが来るのを待っていたのだ。
すると、姉のカトレアは目に沢山の涙を浮かべて、思わず心奏を抱きしめてしまう。
「良かった。意識が戻って・・・一時期はどうなるかと考えてしまったじゃん。」
涙ぐみながら心奏を抱きしめて姉のカトレアは、語り掛けるがふと先程の映像が脳内で再生されてしまいそのことを心奏に伝えようとしたのだが...
「あれは、僕の魂ではない。僕はずっとこのベットで眠っていたから。。。あれは僕じゃない。」
心奏は、姉のカトレアが恐らく話すであろうなと言う言葉を未来視して、先に返答したのだ。
一時期は意識不明に陥っていた心奏であったが・・・
無事に会話を交わせるレベルにまで、回復したのであった。
だがしかし・・・一つ謎が残ってしまっていたのだ。
それは、姉のカトレアを助けたという心奏らしき人物の正体とはと言う大きな謎が・・・
こうして、私立蕾学園の侵入者の無断立ち入りの事案は解決したのであったが、謎の人物たちが私立蕾学園を標的にしたのかは、深い謎に包まれたままになっていた。
だが、そんな大きな謎もこの後直ぐに起きてしまう、常盤市を巻き込んだ途轍もなく大きな事件の手掛かりになるとは、この時の心奏たちは知る由もないのであった。
果たして、姉のカトレアを救った心奏らしき人物の正体とは一体・・・
そして、常盤市を巻き込んだ大きな事件とは一体どの様なモノなのであろうか。。。
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




