第19話 次なる試練と私立蕾【つぼみ】学園に忍びよる影。
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
謎の人物の介入によって、一時期万事休すの状況に陥ってしまった心奏たち。
謎の人物は、置き土産として巨大な龍を召喚して心奏たちの前から去った。
そして、巨大な龍に真っ先に挑もうとした心奏であったが・・・
能力を解放しようとしても能力が使えないという症状に見舞われた。
そんな時、幼馴染である三雲マリンは、自身の能力である黄泉津大神【イザナミノミコトの異名】を解放して、巨大な龍から放たれた巨大な火球を右手で受け止め跳ね返した。
だが・・・その程度の攻撃では傷一つとして付けられないという苦行に、一緒に来ていた千歳輝夜も妖刀村雨を用いた斬撃の大雨を巨大な龍へ浴びせる攻撃を仕掛けたが、それでも巨大な龍の外殻には傷一つ付かないという絶望的状況下へ転換してしまった。
そこへ思わぬ助っ人が、駆け付けた。
その人物は、心奏の旧友水瀬レンであって、彼は以前心奏と再会した時に交わした約束を果す為に、一歩遅れはとったものの無事に、心奏たちの助太刀としてやって来たのだ。
そして、彼…。水瀬レンは、自身の能力である冥界の王【ハーデス】を解放して、一人で巨大な龍を相手にした。
心奏の幼馴染である三雲マリンと友人である千歳輝夜が、本気で攻撃しても傷一つ付けられなかった巨大な龍を相手に、水瀬レンは余裕を持って半分程度遊び感覚で巨大な龍に挑んでは、軽々と外殻へ傷を付ける事に成功したのであった。
水瀬レンは心奏が魔力を極限まで溜めている事に気が付き、その時間稼ぎとして巨大な龍を弄び怒り狂わせ、彼の策略に嵌めてしまう。
そして遂に、心奏の極限まで魔力を溜めた神の超電磁砲を解放させる事に貢献した水瀬レンは、自身も心奏の攻撃に加勢して巨大な龍が、放ってきた攻撃諸共打ち返し無事に、置き土産の巨大な龍を撃破したのであった。
だが・・・物語はここでは終わらないのだ。
今、心奏たちが居る場所は...パラレルワールドであって心奏たちが住む現実世界ではという事に加えて、入ってきた時に通った時空を繋ぎし扉【ポータル】を探さねばいけないという試練が待ち受けていた。
しかし・・・この今居るこの世界線には、時空を繋ぎし扉【ポータル】から微かに感じる事のできる魔力を一切検知しないと心奏が言っていた事を思い出した幼馴染である三雲マリンは、思わず声を上げてしまう。
「あっ、そう言えば…確か"かなちゃん"が、時空を繋ぎし扉【ポータル】からの魔力を感じないって言ってたよね。だとしたら、どうやって此処から脱出するの?この荒れ果てた世界から現実世界に戻るのに、通らないと帰れないじゃん。」
この言葉で現実に戻されてしまった心奏たちであったのだが・・・
彼、水瀬レンだけは至って冷静に物事を把握して脳内で、ある作戦を画策していた。
「ならさ・・・俺の能力を使ってどうにかしようか?ここに来る時には、既に時空を繋ぎし扉【ポータル】が向こう側では消失していたから・・・俺、無理矢理に時空を繋ぎし扉【ポータル】を創り出してこっちまで来たんだ。」
この水瀬レンの発言が、心奏たちを絶望から救い出すキッカケになったのだ。
勿論の事、心奏たちは水瀬レンの思いもよらぬ発言に、一瞬戸惑いを見せたが・・・
一刻も早くこの世界線から抜け出さないといけない心奏たちにとって、水瀬レンはまさに救世主の様な存在へ成り上がったのだ。
早速、水瀬レンは自身の能力である冥界の王【ハーデス】を解放して、この世界から脱する為の時空を繋ぎし扉【ポータル】を創り出す作業に取り掛かった。
その間に、敵襲が襲って来ないかと緊張感が、心奏たちの間に張り詰めていたのだが・・・
その心配もする間もなく、水瀬レンはいとも簡単に時空を繋ぎし扉【ポータル】を心奏たちの住む街常盤市に繋げる事に、成功したのであった。
「良しこれで、帰れる。だが・・・この時空を繋ぎし扉【ポータル】はそう長くは持たないから急いで中に入ってくれ!」
水瀬レンは心奏たちに、すぐさま声を掛けて時空を繋ぎし扉【ポータル】が長く持たないと説明して、取り急ぎ中に入ってと指示を出して、心奏たちを時空を繋ぎし扉【ポータル】へ案内する。
心奏たちは、水瀬レンに掴まって時空を繋ぎし扉【ポータル】の中へ足を踏み入れた。
それからしばらく間、水瀬レン以外のメンバーは疲労困憊の為か、気を失ってしまうのであった。
次に、気を失った心奏たちが目を開けたのは・・・現実世界の心奏たちが住む街、常盤市の常盤公園であった。
そして、幼馴染である三雲マリンは、周りを見渡してある変化に気が付き声を上げてしまう。
それは・・・人の気配があり尚且つ、人々が行き交う姿が視界に入った事で、此処は現実世界の常盤市なんだと理解して、嬉しさのあまりに涙がマリンの頬を伝う。
「良かった。あたしたち・・・無事に戻って来れたんだ。"ちーちゃん"、"かなちゃん"。遂に、帰還できたよあたしたち住む常盤市に…。」
嬉し涙を流しながら、幼馴染である三雲マリンは、心奏と輝夜に抱き着いて戻って来れたという安心感で、更に感極まって泣き出してしまう。
すると、心奏は旧友である水瀬レンに向かい改めてお礼を伝えて固い握手を交わした。
「助かった。本当にありがとう。レンが居なかったらどうなっていたことか・・・想像しただけで、怖かったよ。でも、レンが助けに来てくれたからこうして、無事に現実世界に戻って来れたんだ。改めて例を言わせて欲しい・・・本当にありがとう。」
心奏からのお礼に、急に恥ずかしくなったのか水瀬レンは、顔を赤くして後ろを向いて小さな声でボソッと呟く様に「べ、別に大したことやってないけどな。」とツンデレ発言をしてしまうのであった。
それから心奏たちは、水瀬レンと別れて私立蕾学園へ向かい今回起きた事案を心奏の母の早紀に、伝えようと常盤公園を後にした。
心奏たち三人が常盤公園を後にして、ひとりになった水瀬レンは、何故か心奏の事を思い出して思い更けていた。
「俺・・・どうしちゃったんだろう?なんで、"かな"の事が気になっているんだろう?なぁどうしたんだ俺よ・・・」
ぼそぼそと独り言の様に呟き、レンも常盤公園を後にしたのであった。
そして、心奏たち三人は私立蕾学園へ到着して取り急ぎで、校長室へ向かった。
校長室へ到着すると中では、妹の心湊と母の早紀が黙々と何かの作業に取り掛かっていて、とてもじゃないが話しかけられる状態にないと悟った心奏が、校長室を後にしようとした時に、心奏の父の神翔が偶々用事があって来ていて神翔の方から心奏たちに声を掛けてきたのである。
「どうした?"かな"?なんか母さんに用でもあったんか?俺でよければ話聞こうか?」
心奏の父の神翔が、母の早紀を気遣って自分が話相手になると持ち掛けて校長室を後して、地下の会議室へ場所を変更した。
地下の会議室へ到着して、部屋の扉を締め切った神翔が話題を切り出した。
それに、心奏が反応して神翔へ例の事案の報告を告げた。
「父さん。実は・・・かくかくしかじかで・・・」
心奏は、要所要所を搔い摘んで、事案の内容を神翔へ伝える。
すると、神翔は心奏からの事案の報告を受けて、成程成程と内容を理解して脳内で整理して事の内容を纏めて心奏の母の早紀へ、神翔自らテレパシーで事の内容を伝えて神翔自身は、心奏に何か聞きたいことがあったのだが・・・即急に、早紀に呼び出しを喰らい慌てて地下の会議室を後にしたのであった。
こうして、無事荒れ果てた世界から水瀬レンのお陰で、現実世界に戻って来れた心奏たち三人であったが・・・
遂に、世界を牛耳ろうする人物が、本格的に動き出して心奏たちが住む常盤市に災いを齎そうと画策していたのであった。
果たして、心奏たちが住む常盤市に齎される災いとは一体何なのであろうか。
そして、動き出した大きな存在の世界を牛耳ろうとする目的とは・・・
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




