第17話 再び出現せし時空を繋ぎし扉【ポータル】
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
かつての旧友水瀬レンに、無事再会を果たした御堂心奏。
そして、彼が再会した時に口にしていた。
"また近いうちに会う気がする。"という言葉。
その言葉が、まさか直近で現実のものとなるとは思いもしない心奏。
夏休み期間も半分程が、過ぎ去り私立蕾学園で行っていた・・・
勉強会兼お泊り会も、遂には明日で最後というところまで来ていた。
そして、心奏は課題を颯爽と片付けて、夏休み明けのテストに向けての勉強を自主的に行い、根詰まった時は、一人校庭へ向かい自分自身との戦いに身を投じていたのだった。
遂に、勉強会兼お泊り会も最終日になったのだが・・・
朝からやけに妙な胸騒ぎがすると感じていた心奏は、誰よりも早く起きて身支度を済ませて、母の早紀が居る校長室へ向かった。
― 私立蕾学園 校長室 ―
心奏が来る予感がすると未来視した母の早紀は、心奏の到着を今か今と待っていた。
すると、校長室の扉をノックして心奏が、校長室へ入ってくると母の早紀は、真剣な表情で心奏を迎えた。
「おはようございます。母さん。もう多分僕が、ここに来た理由は何となく察してはいると思います。」
心奏は、挨拶を交わして校長室に来た理由に対して母の早紀が、察しているかと質問を投げかける。
すると、少しの間をおいて母の早紀が、心奏からの質問に答えた。
「えぇ…。察しはついているわ。"かな"。貴方、妙な胸騒ぎがすると言っていたけど・・・具体的に教えてくれると助かるわ。それと…例の件。大方の検討はついているから、其の解については日を改めて話しましょう。今は、貴方の感じた胸騒ぎについて語りましょう。」
母の早紀は、心奏の心を読み例の件については、日を改めて話し合う事に決めて、今心奏の胸騒ぎの根幹に、語ろうと持ちかけた。
すると、心奏は学園内で一番身の安全が保証される地下の会議室へ向かおうと母の早紀に、提案した。
勿論の事、母の早紀は心奏からの提案に、縦に首を振り了承してから二人は、私立蕾学園の地下にある会議室へ向かうのであった。
― 私立蕾学園 地下会議室―
二人は会議室へ入ると辺りに、妙な気配が無いか確認してから本題に入った。
「母さん…。胸騒ぎの具体的な理由についてだったよね。それは、近いうちにまたこの日本の何処かに、時空を繋ぎし扉【ポータル】が現れる予感がする。それが胸騒ぎの理由だよ。」
心奏は、自身が感じた胸騒ぎの理由が、近日中に日本の何処かに時空を繋ぎし扉【ポータル】が出現するというものだと、母の早紀へ打ち明けた。
すると、母の早紀は心奏の眼を見て語り始めた。
「確かに、貴方の未来視は私やお父さんと比較したら、まだまだ練度は低いけど・・・それでも、貴方の未来視では、時空を繋ぎし扉【ポータル】が現れると感じているのね。でも、それは八割程当たってはいると思うわ。私も今朝は、その貴方の感じた胸騒ぎに近しいモノを感じて目が覚めたからね。だけどね一言言わせて貰うわね。"かな"貴方はもう時機苦労に苛まれるから、少し身構えた方が良いわ。」
母の早紀は、心奏の瞳を見てこの先起きるであろう事象を、ある程度オブラートに包み心奏に語り掛けた。
そして、心奏は母の早紀が語っていた事を真摯に受け取り二人きりの会話に、終止符を打ったのであった。
それから心奏は、無事に勉強会兼お泊り会にも終止符を打ち、各メンバーはそれぞれのプライベートの時間に戻るのであったのだが・・・
そんな安寧の日は、そう長続きしなかったのである。
夏休み期間の終わり約四日前のことだ。
心奏は、相変わらず夏休み明けのテストに向けての自主勉と能力を使わない鍛錬、そして週何回かあるお給仕を淡々とこなしていたそんな、心奏にとって普段と何ら変わりのない日にそれは…。突如としてやって来た。
“”ずしん“”と体を揺さぶられる様な感覚に襲われた心奏は、妹の心湊に万が一の事が起きない様に、学園に身を寄せていた方が良いと、妹の心湊に提案してから心奏は、自身の携帯端末で幼馴染の三雲マリンと、千歳輝夜に連絡を入れて常盤公園に集まる様に伝えた。
そして、妹の心湊を連れて心奏は先に、私立蕾学園へ向かうのであった。
心奏から連絡を受けた幼馴染の三雲マリンと千歳輝夜は、先に常盤公園に着いて心奏の到着を待っていたのだが・・・
「マリンちゃん…。可笑しいよね。幾ら今日が平日であっても、学生は夏休み期間であるはずなのにどうして・・・人っ子一人ともすれ違った記憶ないよね?」
輝夜は、マリンに人とすれ違っていない事に疑問を投げかける。
すると、マリンも輝夜と同じ事を思ったのか常盤公園に来るまでの記憶を回想して、記憶を遡り声を上げてしまう。
「ちょっと待ってね・・・。家を出てから"ちーちゃん"と会って、ここに来るまでの間…。確かに、人っ子一人ともすれ違ってないわ。この大都市の常盤市でこんな事が起きるなんて・・・。」
マリンも記憶を遡ってはみたものの・・・人っ子一人ともすれ違ってない事に気が付き、驚愕している所に、学園に妹の心湊を送り届けた心奏がやって来たのだ。
「ごめん遅れた・・・。待たせたよね?」
心奏が開口一番で二人に、謝るのだが・・・
二人は、息を合わせたかの様に、話し出す。
『大丈夫よ。それより本題は?』
二人同時に、一言一句違わない問いに、少し驚いた心奏ではあったが・・・
直ぐに、真剣な眼差しで語り始めた。
「連絡を入れたのは・・・この常盤市に、時空を繋ぎし扉【ポータル】が出現したからなんだ。恐らく、出現した場所は・・・」
心奏は、そう言ってとある方向を指さす。
それは、常盤市に古くからある時計台がある方向だったのだ。
それから、三人は時計台に向けて歩みを進めた。
約五分後・・・無事に時計台に到着した三人の目の前には、今も時を刻み続ける時計台があるのだが・・・
その歴史を刻む時計台と明らかに異質なものが、三人の視界に入る。
「あれって時空を繋ぎし扉【ポータル】よね?」
幼馴染の三雲マリンが、異質なものに対して指さす。
すると、心奏は時空を繋ぎし扉【ポータル】から微かに、漏れ出る気のオーラを感じ取るとギュッと心臓のある辺りを抑える。
その様子を見てか、輝夜が心奏に話し掛ける。
「大丈夫ですか?心奏さん。」
輝夜が、心配して心奏に問うが・・・
心奏は、少し苦笑いを浮かべて呟く。
「大丈夫だよ・・・。でも何だろう?妙な胸騒ぎがする。だけど、立ち止まっている訳にはいかない。」
心奏は、胸騒ぎがするとだけ言って、時空を繋ぎし扉【ポータル】へ近づくと輝夜とマリンも心奏の後ろを追いかける様に、時空を繋ぎし扉【ポータル】へ近づくと・・・
誰も触れていないのに、勝手に時空を繋ぎし扉【ポータル】の扉がガチャリと開き、三人は中へ吸い込まれる様に入っていくのであった。
そして気が付くとそこには・・・
何処か荒れ果てた荒野の様な場所に、三人は立っていた。
周りを見渡す限り、果てしなく続く荒野のど真ん中に三人が居るのだが・・・
幼馴染の三雲マリンが、驚愕な事を口にしたのだ。
「ねぇねぇ・・・。"かなちゃん"、"ちーちゃん"。時空を繋ぎし扉【ポータル】を通って此処に、来たのよね?だとしたら、どうやって此処から帰るの?」
幼馴染の三雲マリンの口にした驚愕な言葉に、ハッと周りを見渡した心奏は、思わず声に出してしまった。
「時空を繋ぎし扉【ポータル】...。そこから微かに感じる気配が、全くない。遠くにあるのか分からないけど・・・この場所からは時空を繋ぎし扉【ポータル】が放つ独特な気配を感じ取ることができない。」
心奏は、普段よりも気配察知に感覚を研ぎ澄ませていたのだが・・・
今、居る地点からは全くと言って時空を繋ぎし扉【ポータル】から微かに感じる独特な気配を感じ取ることができないと、理解した心奏は、マリンと輝夜に少し場所を変えようと提案するのだが・・・
突如として、穏やかであった空模様が明らかに変化して、まるで天変地異を齎すかの様な荒れた空模様となり三人の間に、緊張感が張り詰めるのであった。
果たして、三人は無事に現実世界に帰還する事が、できるのであろうか
そして、心奏の感じた胸騒ぎの理由とは。。。
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




