第14話 表裏一体 姉のカトレアに隠された秘密。
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
遂に始まった心奏たちが次なる道への激動の二週間・・・
それは、長いようで短くて濃い二週間…。
その最中、心奏の元へとある人物から連絡が入る。
それは・・・心奏と心湊の姉である人物…御堂カトレアである。
カトレアは、心奏のお給仕先のメイド喫茶。。。喫茶"がおけれな"の経営者であって、姉妹店であるメイド喫茶を4件も経営しているというカリスマ性を持っている。
だが・・・それは、カトレアのあくまで表向きに出している顔である。
しかしそんな表向きの顔では、全く尻尾すら掴ませない様に強固な護りで隠している裏向きの顔がある。
その顔こそが・・・鬼のカトレア、百鬼夜行カトレア、鬼神の姉御という異名を持ち合わせた彼女を語る上では、切っても切れない異質な物語がある。
何故、そんな異名を持つ姉カトレアから心奏の元へ連絡が入ったのか・・・
それは、名もなき島に時空を繋ぎし扉【ポータル】が、現れる事件の約三日前まで遡る。
その日は、私立蕾学園の周辺で起きた第一の事件から少し程彫りが覚め、心奏たちの住む常盤市に、ある程度の平穏な日常が戻って来ていたそんな時であった。
その日は、心奏がお給仕で喫茶"がおけれな"に向かい店内の更衣室で着替えていると、更衣室のドア越しに姉カトレアが心奏に向かい声を掛ける。
「かな…。着替え終わったら事務所に来て欲しい。」
姉カトレアは、心奏に要件を伝えると足早に更衣室のドアの前から去り、開店作業の指示を伝えにホールへ向かってしまった。
十五分後...心奏が、着替えと軽いお化粧を済ませて、姉カトレアに言われた事務所へ向かった。
いざ、事務所の前に着くと・・・"ドクンドクン"と心臓が明らかに、緊張状態であるかの様に鼓動している音が聴こえてくる。
「入っていいよ。そこに居るのは、解っているよ"かな”。」
事務所の中から、姉カトレアが心奏に向けて声を掛けてきた。
心奏は、意を決して事務所へ入ると・・・いつもと変わらない姉が待っていた。
「一つ聞かせて欲しいんだ"かな"。今、この世界。。。いや、常盤市を中心に何が起きているんだ?」
心奏が、事務所の扉を閉めた瞬間に姉カトレアがおもむろに心奏へ問いかけた。
だが・・・心奏は、事務所へ入って早々に、姉カトレアから突拍子もない事を聞かれてしまい少し戸惑うが直ぐに、心奏は普段接している姉ではなく裏向きの顔のオーラを漂わせた姉だと、悟り事の展開を打ち明ける事に・・・
「多分…。姉さんなら、事細かに話さなくても理解してくれると思うから、掻い摘んで話すね。事の発端は、私立蕾学園の事件であると考えられる。恐らく、この常盤市…。いや、世界中を巻き込んだ何か大きな事件が起きるんじゃないかなと思っている。」
心奏は、直近で起きた事件が元手で、大きな事件が起きるのではないかと姉のカトレアに打ち明ける。
すると、おもむろに心奏からの話を聞いた姉のカトレアは、脳内ビジョンで描いていた自身の見解を瞬時に纏めて、心奏へ再び問いかける。
「成程ね。そうなって来ると、"かな”も忙しくなるよね。まぁでも貴方は、第一に妹の心湊を護りこの常盤市を護る事に、精を出しなさい。そして、恐らく私の力も必要になってくるはず…。もしそうなったら、こちらから連絡を入れるわ。私の大好きなこの常盤市をこの世界の窮地に、お給仕の事にばかり思考を割くわけにはいかないからね。とりあえず、十日は時間を貰いたい。其の後なら、あなたたちの事に手を貸すことができるから・・・それだけでも私の我儘を聞いて欲しい。」
姉のカトレアも心奏同様に、未来視を使うことが出来る為、大体の事を把握することも可能であるからこその彼女らしい決断を心奏に打ち明けた。
そして、この時は一旦心奏に十日の時間を貰いたいと言った姉のカトレアは、その十日間の限られた限られた時間を使い今後、障壁になってくるであろう雑務を片付けていった。
その間に、名も無き島の時空を繋ぎし扉【ポータル】の事件が起きてそれに伴い、心奏の身にも生死を彷徨ってしまう程の脅威が襲い・・・姉のカトレアとの約束から一か月半遅れになってはしまったが、姉のカトレアは、自身で未来視を使って適正なタイミングで心奏へ連絡を入れたのであった。
心奏へ連絡を入れた翌日・・・姉のカトレアは、神恋島を訪れていた。
「久々に来たわね。たった一か月半の間に、ここまで神恋島の様相も変わってしまうとは・・・」
姉のカトレアは、独り言の様に呟きながら心奏たちが居る島の中心部へ向かった。
島の中心部では、輝夜と心奏が自身に課された試練に挑んでいた。
「力ばかりが強さではない。精神もそれに追い付かないと本来発揮できる力も発揮出来なくなる・・・ん?何か気配が、こちらに近づいてくる。」
心奏は、独り言の様に呟き気配がしたであろう方向へ顔を向ける。
「姉さん!」
心奏は思わず声を出してしまった。
姉のカトレアは、右手を上げて心奏の声掛けに反応を見せる。
そして、姉のカトレアは眼力だけで心奏に向かい衝撃波を打ち放って、心奏を軽く十メートル後方へ吹き飛ばしてしまう。
勿論の事、一瞬の間で起きた事に戸惑いを見せてしまう心奏。
それは近くにいた輝夜ですら認識できるまでに、タイムラグを発生させてしまう程に素早いカトレアの攻撃に、言葉を失っていた。
「あ、ごめんね"かな”...ちょっとばかし貴方に、悪いモノが憑りついていたから払っておいたよ。さて、ウチの可愛い"かな”に憑りついていた奴は、まだ懲りないのかしら?いい加減姿を現したらどう?」
姉のカトレアは、心奏に憑りついていたあるものを取り払う為に、少々荒々しい手段であるが使用して心奏から、その悪いモノを引き剝がして威圧してしまう。
すると、心奏が居た場所から少し離れたところに黒い靄の状態の存在が姿を現した。
「あ、あれはあの時の・・・」
心奏が思わず声を漏らしてしまうが・・・
姉のカトレアは、その心奏が呟いた“”あの時の“”という言葉で、瞬時に脳内ビジョンに心奏の観ていた映像を再生して、事の展開を把握してから心奏と輝夜に向かい声を掛ける。
「少しばかり離れたところに二人は移動して貰えるかな?」
心奏は、姉のカトレアの言葉の強さに危機感を抱き、輝夜の元へ駆け寄って輝夜の手を引き、少し離れたところに移動する。
姉のカトレアは、二人が離れた事を確認してから、先程まで心奏の居た場所に向けて、一発の衝撃波を繰り出してその場にあった岩を粉々に打ち砕く。
すると、ゆらゆらと黒い靄の状態の存在が姿を現して少しずつ人のカタチを成していくのだが・・・
姉のカトレアは、”ふぅ”と息を吐いて、呼吸を整え叫ぶ。
「我が、才とくと見よ!!」
すると、姉のカトレアの額には二本の角が生え容姿はまさに・・・鬼そのものであった。
果たして、姉のカトレアが魅せた姿は一体・・・
そして、心奏に憑りついていた存在とは、何なのであろうか・・・
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




