第12話 彷徨う意識が見た諸悪の根源!
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
人類が消えてしまったもう一つの心奏たちが住む街・・・常盤市。
人の手入れが無くなり約五年程の時間が、経過して荒廃していた。
御堂心奏と共に、その世界へ足を踏み入れた千歳輝夜。
名も無き島に出現した時空を繋ぎし扉【ポータル】が、繋がる先がまさにその荒廃が始まっている常盤市であった。
そして、その世界へ着いた二人は、数々の試練や困難に襲われてしまうが・・・
輝夜の身に起きたとある異変・・・既視感【デジャヴ】。
彼女の突如として目覚めたその能力が、この世界を脱する一つの鍵であった。
彼女のその能力が、約五分後の未来の映像を脳内ビジョンでみることが、出来るというもの。
その能力の甲斐があって、怪我一つなく荒廃した常盤市【パラレルワールド】から無事に、脱出することに成功した。
だがしかし・・・時空を繋ぎし扉【ポータル】のあった名も無き島へ辿り着いたのと同時に、心奏に能力の限界が来てしまう。
危機的状況下に置かれてしまった心奏たちに、更なる試練が襲い掛かる。
心奏が元より使えた能力・・・未来視が見せた映像が・・・
戻ってきた名も無き島が爆発を起こすというものであった。
あまりにも現実離れした未来視映像に、一瞬戸惑ってしまう心奏であったが・・・
一か八かの賭けで能力解放して名も無き島を飛び出す心奏。
神恋島の方では、父の神翔が準備万端で心奏たちの帰りを待っていた。
そこへ心奏たちが帰還して、その後に名も無き島が大爆発を起こした。
だが・・・神恋島への影響は父の神翔の能力・・・全知全能の神によって、周辺地域や神恋島への被害を最小限に留める事に、無事成功したのであったのだが・・・
―時は流れ...事件から三日後―
帰還した千歳輝夜においては、軽い意識障害だけで済んだ事もあり、事件から二日後には介助無しで身体
を動かせるまでに、回復していた。
だがしかし・・・心奏においては、未だに深い眠りから覚めていなかった。
心奏は、能力を限界まで使い尚且つ、身を滅ぼしかねない賭けをして神恋島への帰還を果たしたが為に、身体や魔力に関しては、活動限界を遥かに越えてしまい回復には相当な時間が掛かってしまう事に・・・
現実世界の常盤市では、少し前に起きた能力暴走による事件で被害を受けた建物の復興が進んでいた。
妹の心湊をはじめ、母の早紀と私立蕾学園の養護教諭の月夜見先生が、たゆまぬ影での努力が実を結び街の様子は、事件前に比べて八割程にまで活気を取り戻していた。
そして、妹の心湊は暇な時間が少しでもある時は、兄の心奏の様子を見に神恋島を訪れていた。
神恋島にある父の神翔が居る建物には、救護室がありその救護室は大きな救急病院にある様なレベルのものであって、尚且つ本土から医者を手配すれば、手術すらも出来てしまう程高性能な場所である。
そうしてこの日も妹の心湊は、神恋島を訪れて兄の心奏の様子を見てきていた。
救護室は特殊な部屋であり、無菌室になっている為に、妹の心湊は救護室の窓ガラス越しに兄の心奏の様子を見ることしか出来なかった。
「お兄ちゃん...私。寂しいよ…。ねぇ、何時目を覚ますの?早くいつも通りの生活がしたいよ。」
救護室の窓ガラス越しに兄の心奏を見て、涙ぐみながら独り言の様に呟く妹の心湊。
そして、その様子を少し離れた場所から見ている輝夜。
ここ二日間、妹の心湊は神恋島に滞在していて、更には殆ど睡眠を取らずに救護室の窓ガラス越しに兄の心奏の様子を見ていたのだ。
そんな様子を心配した輝夜が、妹の心湊へ声を掛けた。
「ここみちゃん。貴女...殆ど寝てないじゃない。このままだと体に悪いよ。それに、心奏さんが目覚めた時に、ここみちゃんが元気じゃなかったら彼は本気で貴女の事心配するよ。だからこそ、休める時にゆっくり休んで...ね。」
輝夜は、妹の心湊を優しく諭すように声を掛けて、心湊を連れて休憩室へ向かったのであった。
打って変わって、父の神翔は本土にある常盤市に居る心奏と心湊の母の早紀に、逐一報告を入れていた。
勿論の事、本土で起きた事件の事、名も無き島に現れた時空を繋ぎし扉【ポータル】の事についても事細かに連絡していた。
二人の父と母は、遠く離れて生活送っていて、会えるのも年二回位しかない程、互いに多忙を極めていた。
だが二人の父と母の絆...そして愛情深さは、新婚当時と変わりなく年二回しか逢えないのにも関わらず周りが一瞬、ドン引きしてしまうくらいにラブラブであった。
そして、更に時は流れ心奏が深い眠りから覚めぬまま遂には、一か月が経過した。
この間も、妹の心湊は輝夜との約束を護りながら神恋島へ足を運んでは、兄の心奏の様子を見ていた。
そんな時、兄の心奏の様子を見ていた妹の心湊が、驚愕する出来事が起きた。
それは、妹の心湊が少し休憩しようと休憩室へ向かったまさにその時であった。
救護室のベットで深い眠りから目覚めていなかった兄の心奏が、なんと約一ヶ月の時を経て目覚めたのだ。
「此処は...何処だ?」
掠れた声で独り言の様に呟く心奏。
そこへ、少し休憩した妹の心湊が戻ってきたのだ。
勿論の事、兄の心奏が目覚めているとはつゆ知らず戻ってきて、先程と同じ様に窓ガラス越しに兄の心奏の様子を見て思わず声を上げてしまう。
「お、お兄ちゃん!!」
妹の心湊が発した声が、休憩室に居た輝夜の耳にまで届き大慌てで、妹の心湊のところまで駆けつけ声を上げた。
「貴女の声休憩室まで聴こえたわよ...って心奏さん目を覚ましたの?神翔さんや樺音さんに知らせないと・・・」
再び輝夜は、心奏の父の神翔と神翔の部下の樺音を呼びに、大慌てで駆けて行ったのであった。
それから、五分後。。。
騒ぎを聞きつけた神翔と樺音が救護室の前まで来て、樺音が心奏の様子を見に救護室へ入っていった。
救護室の外では、中との会話ができるように準備が進められていた。
反対に、救護室の中では樺音が心奏に点滴を与えて、心奏が会話可能になる様に準備を進めていた。
それから更に、二時間後・・・
点滴を受けながらも会話が可能になった心奏は、救護室の外に居る妹の心湊と父の神翔、そして輝夜に驚愕の事実を打ち明けた。
「あまり大きい声は出せないけど・・・上手く聞き取って欲しい。実は、この眠っている間僕は意識体の状態で、この世界のあちらこちらを彷徨っていた。そこで僕は、見てしまったんだ。この起きた二つの事件の要因が・・・そして、この世界を支配して牛耳ろうとしている悪そのものをね。」
果たして、心奏が意識体となり彷徨っている間に見てしまったという二つの事件の要因とは。。。
そしてこの世界を支配して牛耳ろうとしている悪とは、一体なんだというのであろうか・・・
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




