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ねこねこあるある ネコとの暮らし

ブラッシングタイムの不思議 ネコ暮らしあるある?を述べる第15弾

作者: 池畑瑠七

 おやつ時間を何よりも楽しみにしているぷーちゃん、スコティッシュフォールド レッドタビー3歳。

 仕事が終わり夕刻帰宅すると、こたつの上に飛び乗ってこちらの様子をジッとうかがいだす。

 キッチンでわちゃわちゃしていると、痺れを切らしニャーニャー鳴きはじめる。

「まだー?」「ねえ、はやくー!」


 一日1本と決めているチュールのおやつタイムは目下、彼の一日のルーティンのなかで最も楽しみにしているひとときである。

 もうまちきれなーい!と兄ちゃんが手に持ったスリッカーブラシに、ぐいぐいと自らカラダや頭を擦り付け始める。そうやっているとチュールがはやく出てくる、と思っている節があるのだ 笑。

 実際それが始まると、もうキッチンで夕食準備の手は止めざるを得ない。


「はいはい!いまいくよー!」

 そして彼の至福の時が始まる。


 筆者がチュールを持ち、兄ちゃんがブラシ掛けをする。

 抜け毛の除去、清拭、毛球症予防、マッサージ効果、ボディチェック、そしてスキンシップコミュニケーション。いいことづくめタイムだ。


 毛量の非常に多い割に抜け毛は少な目なのだが、それでも一回の抜け毛はブラシいっぱいになる。茶色の毛束は分厚い塊になり、ペロッと剥がすとまるでバーガーバンズのようである。

 数回分集めたらぷーちゃん一匹分すぐできるな!と笑う。


 そんな感じで数分間、ブラッシングを受けながら大きな瞳を輝かせ一心にチュールを食するのだが、毎回彼は不思議な行動をする。あと一押し、だけを残して「ごちそうさん!」といわんばかりに、ぷいっと興味を失ってその場をはなれていくのである。


 「ん?」「もういいの?まだあとちょっと残ってるよ?」


 毎回そういって彼の鼻先迄チュールを近づけては、最後の一押しを舐めさせる。

 ぷーちゃんは「んー、別にもういいんだけど…くれるっていうなら、もらってあげなくもないよ」といった感じで、左程嬉しそうな様子も見せず最後の一口を仕方ないなあ、と舐め、ようやく終了となるのだ。そのあとはまあ本当にあっさりとスゲなくその場を去っていき、兄ちゃんの部屋で寛ぎ態勢に入るのが、いつものパターンだ。


 この、最後の一口を必ず残す、のが不思議でならない。

 

 あんなに大好きで楽しみにして猛烈な勢いで喉を鳴らしながら舐めるのに、「もういい」のタイミングがいつもおなじでその後の行動パターンも全く同じなのだ。

 これはどうしてなのだろうか?何でいつも一口だけ、のこす?笑

 まるで昔の高貴な方が「余は満足じゃ」とお膳のご飯を一口だけ残すお殿様ルール、みたいだ。さすが「との」である。


 この謎行動、何かに似てる…どっかで見たことあるような‥と思っていたが先日、たまたま目にしたサザエさんで閃いた。


 「いーい?肩まで浸かって50数えるまで出ちゃだめよー、ちゃんと温まらなきゃねー」

 「いーち、にーい、さーん、・・・」

 「よんじゅきゅうー、ごーじゅう!!!」 

ざばーん!!!

 熱さで真っ赤になってお風呂から勢いよく飛び出す子供!!


 ホームドラマやアニメでよくある昔懐かしいような光景だが、今でも普通にあるのだろうか?

 ぷーちゃんの、「もういい!ごちそうさま!」の瞬間がこれにとても似ていることに気が付いた。つまるところ、ブラシ掛けが「痛いのではないか?」ということに。何とも今更、だが。


 以前はブラッシング大嫌いで難儀していたのが、チュール作戦で上手く出来るようになり毎日の習慣になってしばらく経つ。慣れるに従い段々遠慮が無くなってきて今では毎回、まだまだー!もっともっとー!くらいに結構な力を込めて、全身隈なくガッツリブラッシングしているのだ。

 優しく撫でるくらいでは全然抜け毛が収穫できないぷーちゃんだから、どんどん力が入って行ってしまうらしい。


 で、ぷーちゃんは始めのうちこそチュールに夢中でそれに甘んじているのだが、終盤に近付くと痛さが勝ってくる、よってある程度お腹と心が満たされてくると「もういい!!」となり、すたこら逃げ出す。どうやらそういう事なのではないか、と思い至ったのである。


 最後まで舐め切ることなく、ホンの一口だけをスティックに残してプイっとその場を離れ、少し離れた場所に座って毛づくろいするときの、遠巻きにこちらを見てる若干怒気の混じったような恨めし気?な顔の意味は、ひょっとしてそれだからか!?

Σ(´∀`;)



 そう思い至って、今日。

 それでは!と穏やかに穏やかに、撫でるように弱めなブラッシングに挑戦してみた。

 

 案の定、全然毛は抜けない…。でもぷーちゃん自体はいい調子だ、最後の最後まで喜んで舐め切るかな…と思ったのもつかの間。

「もういい」「ごっさん!」


 ぷい!


 すたこらさっさ。


 ……あれれえ……( ̄▽ ̄;)



 筆者が伸ばした腕の先には、ほんの一口だけが残ったチュールスティックが虚しく宙に差し出されたまま。彼が戻ることはなかった……。


 

 ツンデレ王子と過ごす毎日、面白くて相変わらず、不思議が満ちている。

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