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第5話 スキル【自給自足】

【古代竜の卵】を持って、三階に来た。


 ここの床は、ふかふか。


 卵を置いておくなら、ここが一番だ。




 さて、こんどは、異世界定番の【ステータス】だ。



 __あれ? 



【ステータス画面】が、真っ白なんだけど。



 ぴこん!



 きゅうに、文字が浮かび上がって来たぞ。



 __________________________



 【表示不能】



 ___________________________




 __【表示不能】って、どういうことだ?



 なんで【ステータス】が、表示できないんだ?


 もしかして、女神にいじわるされてる?



 __いやいや。



 そういう被害妄想はよくない。


 そもそも、あの女神たち疑うなんて、恩知らずもはなはだしい。


 きっと、何かトラブルでも発生したんだろう。



 それに、ステータスなんて、わからなくても困らない。


 数値を見せられても、実感がわかないと意味がないんだから。





 それよりも、問題は【スキル】だ。


 なにしろ、ぼくの異世界生活が掛かってる。



 こんどは、【スキル】のタブをクリックした。


 こっちは、ちゃんと表示された。



【スキル】は、ふたつ。


 ① 【自動言語翻訳】


 ② 【自給自足】(ユニーク・スキル)



 この【自給自足】に、ぼくの生活が掛かってるんだ。


 とにかく、発動させてみよう。



 _______________________



 スキル【自給自足】を発動しますか?


 はい    いいえ


 _______________________




 もちろん、【はい】。




 _________________________



 【作業空間】を構築します…………構築完了。


 【作業空間】に、移動します



 _________________________




 気がつくと、真っ白な空間の中にいた。 


 真っ白なせいか。広さがまったくわからない。


 チュートリアルで、事前に聞いておいてよかった。


 聞いてなかったら、パニックだった。




 ___________________________



【製作用魔法陣】を構築します…………構築完了。


【収納用魔法陣】を構築します…………構築完了。




【製造用魔法陣】を、【アカシックレコード】に接続。


【収納用魔法陣】を、【卵ハウス倉庫】に接続。



 ___________________________




 あっという間に、ふたつの大きな魔法陣が出現した。


 かなり高いところに、ひとつ。


 足元に、もうひとつ。


 どちらも、ゆっくり回転しながら、輝いている。


 これぞ、剣と魔法の世界って感じだ。




 ___________________________




【自給自足】は、物質を製造するスキルです。


 製造者の魔力(魔素)で製造しますので、資材等は不用です。



 製造したい物質を、イメージしてください。



 現在レベル【1】で、製造可能な物質は、以下の通り。


 ① 微小な個体(粉とか粒)


 ② きわめて低濃度の液体




 ___________________________




 要するに、魔力だけで、モノをつくるんだな。


 魔力って、元の世界の素粒子みたいなものなんだろうか。




 _____________________________




【魔素(魔力)メーター】を表示…………失敗しました。



 再度、【魔力量(MP)】を測定…………規格上限に到達。


【総魔力量】は、測定不能です。



【魔素(魔力)メーター】は、表示不能と判断します。


【魔素(魔力)残量】は、体調の悪化等で推測してください。





 _____________________________





 意味が、よくわからない。


 でも、『上限に到達』って?


 もしかして、魔力量がカンストしてるのかな。


 女神が、そこまでサービスしてくれたんだろうか。


 魔力量が少ないと、何も作れないから。


 どっちにしても、魔力量は多いんだと思う。



 __とにかくイメージしてみよう。



 要するに、すごく小さい粒なら作れるはずだ。



 ___むむむっ!




 頑張ってイメージした。



 すると、目の前に、白い塊が出てきた。


 やや厚みのある四角い塊。



 __もうできたの? 簡単すぎない?



 白くて四角い塊は、ふよふよと浮かんでいる。


 じつは、コレは、『塩』。


 小さい粒と聞けば、誰でも『塩』をイメージするよな。



 でも、つい、スーパーで売ってる塩を思い出してしまった。


 ビニールっぽい袋に入った塩だ。


 袋は作れないから、中身の『塩』だけ、四角く出来たんだと思う。


 袋入りの塩だから、きっと『1キロ』はあるはず。




 _____________________________



 製造した物質を、収納しますか?


 はい    いいえ



 *【卵ハウス倉庫】は、【空間収納】です。


 時間が経過しない設定にすれば、変化・変質しません。


 また、いつどこからでも、アクセス可能です。



 スキル 【自給自足】  Lv_1  1/999



 _____________________________




【はい】を選んだ。



 浮いていた塊が、下の魔法陣に吸い込まれていく。



 __なるほど。



 上の魔法陣が、製造用。


 下の魔法陣が、収納用ってことだね。



 __1/999 かあ。



 999回つくらないと、レベルアップしないんだ。


 驚くほど簡単に出来たけど、その分、レベルアップはシビアか。




 _____________________________



 『塩』の製造をつづけますか?


 はい  いいえ



 _____________________________




 チュートリアルでは、具合が悪くなったらやめろって言っていた。


 さっきの画面にも、同じことが書いてあった。



 でも、いまのところ、体調は、まったく変わらない。


 これなら、まだ、やれそうだ。




 _____________________________



 連続して製造可能です。


 回数を、指定してください。


 1/998回



 _____________________________




 なるほど、『1』の数字を押して、回数を指定するのか。



 __うーん。



 やっぱり、最初に、限界を知っておくべきだな。


 ちょっと、怖いけど。


 具合が悪くなったら、すぐにやめればいいんだ。



 数字が止まるまで押してみた。 『998回』だ。



 …………



 目の前で、白い塊が製造されては、下に吸収される。


 まるで、塩の製造工場のようだ。



 …………



 しばらくして、【Lv_2】になった。



 __おかしい。



 ぜんぜん、平気だ。


 とくに何かが減ったという感じもしない。


 魔力が減った気がしないんだ。



 __もう少し、つづけてみよう。



 とにかく、限界は、早めに把握したほうがいい。



 __『塩』の次は、やっぱり『砂糖』か?



 でも、『塩』も『砂糖』も、今のところ使い道がない。


 めたって、腹の足しにもならない。



 せっかく作るんだから、飲んだり食べたりできるものがいい。


 でも、そんな都合のいい『粒』とか『粉』なんてあるかな?



 __うーん、あるといえばあるけど。



 ダメもとで試してみよう。



 …………



 しばらくして、【Lv_3】になった。


 まさか、できるとは思わなかったよ。



『ココア』を作ってみたんだ。



『ココアパウダー』じゃないよ。


 砂糖とか、いろいろ入ったヤツのほう。


 いろんなものが混じってるから、ダメだと思ったのに。



 さすが、剣と魔法の世界。


 元の世界の知識で、『無理だ』って決めつけたらダメだな。



 ふたつ作ってみたけど、まだ、体調はまったく変わらない。


 何かが減った感じもないんだ。



 今度は、『液体』を試してみよう。


 濃度が低ければいいんだよね。



 __できた。



『コーヒー』が、『999リットル』だ。


 イメージどおりなら、レギュラーコーヒーだ。


 でも、ざんねんながら、常温。


 このままでは、とても飲めない。


 鍋にでも入れて、沸かすしかないな。



 あとは、氷を入れてアイスか。


 魔法は【氷礫】で練習しろって、女神が言ってたからね。


『氷』は、作れるはずだよ。



 これで、【Lv_4】。



 うまくいきすぎな気もするけど、ちょっと楽しい。


 なんだか、すっきりした気がする。


 ストレスが、たまっていたのかもしれないな。


 けっこう、いろんなことがあったからな。





 ここまでやっても、『魔力切れ』らしきものはない。


 なにかが抜けた感覚はない。



 __ただし。



『塩』も『ココア』も、『999キログラム』。


『コーヒー』は、『999リットル』できてしまった。



 作る量が、固定されたみたいだ。



 __まあ、いいや。



『大は小を兼ねる』だ。

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