第3話 録画だよな?
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レベルアップ…
限界突破…
レベルアップ…
限界突破…
レベルアップ…
限界突破…
レベルアップ…
限界突破…
……………
……………
上限に達しました。
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目が覚めた。
おかしな夢を見た気がする。
頭の中で、延々と続いていたんだ。
レベルアップと限界突破が。
馬鹿げた夢だ。
ゲームのやりすぎかな。
ぼくは、玄関で倒れたらしい。
懐かしい玄関。
実家そっくりの玄関だ。
ただし、ドアはない。
外見は、卵でびっくりしたけど。
家の中は、ぼくの頼んだ通りだった。
__つっ!
まだ、頭が痛い。
倒れた時に、頭を打ったのかな?
靴を脱いで、家にあがる。
この階には、トイレ、洗面所、お風呂があった。
なんだかんだ言って、親切な女神たちだった。
ここまで、頼みをきいてくれたなんて。
トイレなんて、お尻を洗うトイレだ。
『【浄化】でキレイになるのに、なぜ、いちいち洗うのじゃ?』なんて。
ちょっと、不思議がられたけど。
階段をのぼって、二階へ。
がらんと広い部屋に、対面キッチン。
これも、希望どおりだ。
さらに、三階へ。
この部屋が最上階。
だから、天井がドーム状だ。
タマゴだから、とうぜんだ。
この階は、床がふかふか。
まるで、ベッドみたいに。
ベッドがないからな。
部屋の床じたいを、ベッドみたいにしてもらった。
広い広いベッドだ。
しばらくすると、ドーム状の白い壁に、映像が映った。
のじゃロリ女神だった。
『おめでとう。シュウ・カンザキ君。
おヌシが、この映像を見ることができたとは。
よくぞ、生きておっ……ゲフン、ゲフン。
げ、元気そうでなによりじゃ』
__ん?
今、なんか変なことを言ったような。
まあ、いいか。
『この映像は、いわば、チュートリアル。
【卵ハウス】の使い方など、いろいろと説明するのじゃ。
見終わっても消滅しないから、何度でも見るのじゃ。
まず、最初に言っておかねばならぬ。
今のおヌシは、すさまじくパワーアップしてる……かもしれぬ。
ちからの使い方には、細心の注意を払うのじゃぞ。よいな。
こ、こらっ!
ま、まだ、わらわの説明が終わってないのじゃ。
交代は、その後の約束じゃろう。待つのじゃ!』
ここから、長い説明が始まった。
ときどき、女神が交代した。
うん。やっぱり、ぜんいんかわいい。
あとで、何度も見よう。
『……最後に、魔法の説明ですわ。
いいですか、よく聞いてください。
まず、使っていいのは【氷礫】だけですわ。
そして、【氷礫】を……ここまで小さくするのです。
これができたら、ほかの魔法を使ってもかまいませんわ。
あなたとみんなの幸せのためですのよ。
必ず、守ってくださいませ』
なるほど、パチンコ玉サイズだな。
あそこまで、小さくなるように練習すればいいんだ。
最後に、みんなそろって、手を振ってくれた。
例の女神だけは、そっぽを向いていたけど。
まったく、おとなげないなあ。
かわいすぎて、また、思い出しちゃうじゃないか。
あの、かわいい、真っ白な…
__あれ?
これって、録画だよね。
なんで、女神の前に、また、魔法陣が現れたの?
みんなで、必死に止めてるけど、コレ、録画でしょ。
録画だよな? 映像にすぎないよな?
魔法陣が、ひときわ強く輝いた瞬間、映像が消えた。
__やだな、もう。
つい、焦っちゃったじゃないか。
なんか、ひどい汗をかいたよ。
あとで、お風呂に入らないと。