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第27話 従魔登録と串焼き

「従魔がいるなら、ちゃんと言ってください!


 登録もしないまま、竜を街に持ち込むなんて、信じられません!」


 美少女受付嬢アネットが、怒っていた。



「従魔に登録が必要とは、知らなかっただけだ。


 お前だって、昨日、説明しなかったはずだ」



 あの時、雛竜は、フードで寝てたんだ。


 それが、原因なのはわかってる。


 でも、ぼくは、ちゃんと『テイマー』で冒険者登録したからね。



「うう……。それを言われると……。


 と、とにかく、これで登録は完了です。


 従魔には、首輪か、それに相当するものを付けてください。


 魔物と間違えられると、大騒ぎになります」



「首輪はダメだな。 かわいそうだし。


 あ、そうか。 アレがあったな」



 ぼくは、【卵ハウスの倉庫】から、取り出した。


【赤いベスト】だ。 


 背中に竜の絵がついたやつ。


 天使が、宅配してくれた、女神からの贈り物だ。



「これでもいいのか?」


 ぼくは、【赤いベスト】を見せた。



「【空間収納】まで、使えたのですか……」


 今更、あきれたように言った。



 草を取り出す時、見ていなかったの?



「うん? でも、みんな使えるだろう?」


「使えるわけないでしょう。 嫌味のつもりですか」


 不機嫌そうに言った。



「いや。 だって、ソフィアも、ドワーフのじいさんも使ってたぞ」


「ソフィアって、まさか戦姫さまのことですか?」


「そう」


「では、ドワーフのじいさんというのは、エルダードワーフの族長?」


「そうそう。 お前、よく知ってるじゃないか」


「知らない人なんて、ほとんどいませんよ!」


「へえ、そんなに有名なんだ。 意外だな」


「意外でも何でもありません。


『討伐隊』に参加していた方は、みなさん有名ですから。


 ……って、そんなことより、その赤いベストでかまいません。


 今すぐ、着せてください。


 そして、街に入る時は、必ず、着せてくださいよ!」




「きゅーーっ!」



 着せてみたが、動きづらくはなさそうだ。


 真っ白い竜だから、赤のベストがよく似合う。



「かわいいですね」


 美少女も、うっとりしてる。


 どこの世界も、動物の赤ちゃんは大人気だな。




「ところで、薬草の一覧みたいのはないか?


 依頼票を、一枚一枚見て確かめるのは、なかなか手間だ」


 妖精たちがくれた草は、たくさんあるからな。



「ああ、それなら、二階の資料室にありますよ。


 言ってませんでしたっけ?」


 聞いてないよ。


 この子、やっぱりポンコツだった。





 __なるほど。



 薬草の本を見てわかった。


 妖精たちから貰った草は、かなりの値打ちものだ。


 アレを、定期的に売れば、もう、働く必要はないくらいだ。



 妖精たちには、ちゃんとお返ししないとな。


 また、チョコチップをたくさんあげよう。


 今度は、ジュースもつけようかな。





「竜の兄ちゃんよ。 タライなんか四つも買ってどうすんだ?」


「まあ、いろいろだ。 だが、買いすぎたんなら戻すぞ」


「いやいや。 うちとしちゃ、買ってもらえればありがてえ。


 洗濯用のタライくらい、いくらでも作れるからな」


「そうか。 なら遠慮はしない」



 これって、洗濯用だったんだ。


 そういえば、こっちに来てから洗濯したことないな。


【浄化】で、いつもキレイだからか。


 女神には、感謝しかないな。




 雛竜を頭に乗っけて、買い物をしている。


 だから、どこへいっても、視線を集めてしまう。


『竜の兄ちゃん』なんて呼ばれたりもする。



 隠していたほうが、無難かもしれない。


 でも、家族みたいなものだ。


 肩身の狭い思いをさせたくはない。




 お金も入ったから、昼食は、現地調達することにした。


 雛竜を連れて、食堂に入ったら、面倒なことになりそうだ。


 だから、美味しそうな屋台を探すことにした。



 __ここかな。



 清潔そうな屋台で、おばちゃんの手際てぎわもいい。


「それを三本くれ。つりはいらん」


 大銅貨を一枚出した。


 たぶん、これで、千円くらいなんだと思う。



「ありがとよ。 一本は、塩を振らないほうがいいかい?」



 __塩をふらない?



 ああ、そうか。 雛竜に気を使ってくれたのか。


 でも、この子は、カレーライスでも平気で食べる。



「いや、問題ない。 ふつうでいいぞ」


「なら、これでいいね。 皿は返しておくれよ」



 焼き上がった串を貰って、少し離れた場所に座った。


 下ごしらえがいいのか。 肉の臭みがない。


 香辛料を工夫して、臭みを消してるんだろうな。



 __でも、ちょっと、味が薄いかな。



 雛竜も微妙な顔をしている。



 __すこし、離れてるからいいだろう。



 ぼくは、醤油を取り出した。


 ドワーフの里で、小さい容器をたくさんもらった。


 それに、入れてあるんだ。



 まだ、アツアツなので、ジュッといい音がする。


 わかるんだろうか。


 雛竜も嬉しそうだ。



 __うん。おいしくなったな。



 雛竜も、ばくばく食べている。


 三本だから、すぐになくなった。


 二本は、雛竜が食べたんだけどね。



 __えっ、もっと寄越せって?



 わかったわかった。 もう少し買ってこよう。



「あと、三本くれ。つりはいらん」


 皿を返しながら言った。


「ありがとよ」


 わざわざ、新しい皿に替えてくれた。



 __えっ、冷めるから、さっさと戻ろう?



 わかってるよ。


 この子も、買食いが楽しいのかな。



 また、醤油をらす。


 ああ……。 早く、焼肉のタレが作れるといいなあ。


【自給自足】のレベルをあげないとな。



 雛竜には、胡椒を。


 ぼくのには、一味唐辛子をすこしかける。


 うん。なかなかうまい。



 でも、何の肉なのかな?


 いやいや。 怖いから、考えるのはやめておこう。


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