7話
寝どころである城に空間転移で帰ってきた。
今回は、知らない少女を連れてきている。ここがもし元の世界だったならば、誘拐犯になっていたかもしれない。
しかし、なんでだろうか。――さっきから少女が目を輝かせて辺りを見渡しているのだ。
「君の名前はなんていうんだ?」
少女はこちらを向いて俺の眼を見る。
「わたしの、おなまえ? ……しい。しい、っていうのっ!」少女――しいちゃんは笑顔で答えた。
この笑顔を見ていると俺は――っていかん! 危なかった。しいちゃんの魅力に飲み込まれるところだった。
優奈がまた俺の事を冷たい視線を浴びさせる。なんでだよう。はあ、やっぱり俺が悪いんだろうなあ。
きゅう、と可愛らしい音が鳴る。どうやら音の発生源はしいちゃんからのようだ。
「しいね。おなか、すいちゃった」
「じゃあ、夜ごはん食べに行こうな」としいの目線に合わせて言った。
「うんっ!」
相変わらず優奈の視線は冷たかった。
俺はサイトにしいの分の夜ご飯を出すように、と命令を出した。
サイトがすぐにいいぜ、と言わなかったのでお仕置きをしてやったらしぶしぶといった感じで了承してくれた。
「このおりょうり、すごいねっ!」
「これが普通なのよ」さっきまで黙っていた優奈が冷たく言った。
そんな優奈の受け答えを無視してしいちゃんは喋った。
「そういえば、おにいちゃんとおねえちゃんってこいびとなの?」
途端、優奈の顔が真っ赤に染まった。
「そうかもな」
俺がそう言ったら、優奈は気を失ってしまった。
しいちゃんが心配そうな顔していたので大丈夫だよ、と言って安心させた。